世界的なベストセラーになった、トマ・ピケティ教授の「r > g」という理論をご存知でしょうか。

彼はこのシンプルな数式により経済学に激震をもたらしました。

今日は、彼の提唱した理論をおさらいしつつ、この理論を前提にした場合、なぜ今の日本社会では資産運用をすることが大切になってくるのかを説明したいと思います。

「r > g」ってどういう意味?

そもそもこの数式はどういう意味なんでしょうか?

「r」というのは資本のリターン(=投資のリターン)、「g」というのは世界経済の成長率を表しています。

つまりこの式は、投資のリターンが、世界経済の成長率よりも大きくなりますよ、ということを示しているわけです。

実際、直近25年間を振り返ってみると、全世界の資産へ徹底的に分散投資した場合の投資リターンは年率5.9%であるのに対して、世界経済は年率3.7%のペースで成長してきました。

トマピケティの言う通り、「r > g」が成り立っていたことが、分かります。

 

「r > g」が成り立つ理由とは?

このように投資のリターンが世界経済の成長率を超える理由は、一体何なのでしょうか?

 

それには、(細かく言えば色々あるのですが)大きく2つの理由があります。

一つ目の理由は、リスクプレミアムと呼ばれるものです。

深掘りするととても難しい話なのですが、経済学の世界では「リスク」を取るということ自体に対して、一定の見返り(=プレミアム)が発生するということが分かっています。それが存在しないと、誰もリスクをとろうと思わないはずです。

このリスクプレミアムというものが、非常に少ないにしろプラスの数字として存在しているのです。

非常に広い意味で言えば、何かしらのリスクをとって投資を行うという判断をした時点で、一定の利益が出ているとすら言えるのです。

 

そして二つ目の理由は、税金です。

日本を始めとした先進国では、投資のリターンに対して20%前後の税金が課せられています。

一方で、投資ではなく通常の経済活動から得られた利益に対しては、所得税や法人税といった形で税金が30~60%課せられます。

この差分が、投資をする場合の相対的なリターンを高めます。

先進国は投資活動を税制面で優遇することによって資金を流入させ、それによってイノベーションを起こして、経済活動を促進させ雇用を増やす、という狙いをもっているのです。

「r > g」によって何が起こるの?

この、r > gという大前提があると、いったい何が起こるのか。

結論は非常にシンプルで、格差社会が広がっていきます。

富裕層が投資により「r」のペースで資産を増やせるのに対して、そうでない多くの層は自分の資産を「g」のペースでしか増やせないのです。

これが、年々積み重なり、大きな差となっていきます。トマピケティは、「人類社会の本質は格差社会である」とまで断言したのです。

 

例外はないの?

この「r > g」という法則には、例外もあります。

過去20世紀においてそれが起こったのは、世界大戦の時です。

世界大戦が勃発し、各国が多額の資金を必要とすると、富裕層からの課税を大幅に強化します。

これにより、格差は一気に狭まります。

日本においても、戦争にともなうインフレや預金封鎖で、富裕層は資産を一気に失いました。

また農地改革により地主と小作人の格差もなくなったので、戦後、一億層中流という社会が一時的に実現します。

 

とは言え、平和な世界においては常に「r > g」が成り立つのです。

世界を巻き込んでの戦争が起こらない状態では、格差はどんどんと広がっていきます。

今こうして私たちが暮らしている2019年も、過去に例をみない程の格差社会となっているのです。

 

格差社会を是正するためにどうすれば良いのか

トマ・ピケティ教授は、この加速していく格差社会を是正する為には、富裕層からの税金の徴収を強化するしかないと主張しました。

「r」のペースでお金を増やしていく富裕層から税金をより大きくとり、それにより社会保障を充実させるのが、この「r > g」という原理を乗り越えていく施策だと彼は説いたのです。

 

日本の現状に、この対抗策を当てはめると、どうなるか

日本は現在、史上まれに見るほどの格差社会となっています。

では、日本でもピケティの言う通り富裕層からの徴税を強化すべきなのでしょうか。

結論から言うと、これを日本で実現するのは非常に難しいだろうと思います。

現在、日本の個人金融資産合計1800兆円のうち、2/3に当たる1200兆円は60歳以上の方々が保有しています。

つまり、富裕層と呼ばれる人はほとんどが高齢者なのです。

ピケティ教授の主張するアイデアをそのまま日本に当てはめたとすると、「60歳以上の高齢者への税金を高くし、待機児童問題の解消など働く世代の社会保障を強化する」ということになります。

しかし、日本という国は行き過ぎた少子高齢化により、高齢者にデメリットのある政策が受け入れられなくなっているのです。

少子高齢化が進めば進むほど、働く世代の声というのは反映されづらくなっていきます。

日本で、富裕層からの徴税を強化するのは、実質的には無理なのです。

 

日本の、「働く世代」はどうすれば良いのか

では、日本の富裕層ではない「働く世代」は、どうすれば良いのでしょうか。

ここまで読んできた聡明な皆さまならもう答えが分かっていると思います。そう、一般層の人が積極的に投資を行うことで、「r」のペースで資産を増やしていけば良いのです。

数十万円、数百万円、数千万円。こういった、富裕層からみれば小額ともとれる資産を、現預金で保有することなく投資にまわしてくこと。それにより、世界経済の成長ペース以上のペースで資産を増やしていくこと。

これこそが、今の日本の働く世代のやるべきことなのです。

 

まとめ

以上、今回は、トマピケティ教授の提唱した「r > g」理論の意味を解説し、それを日本経済に当てはめてみました。

ぜひ本サイトで資産運用の勉強をし、「r」のペースで資産を増やしていきましょう。

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