投資信託に限らず、投資には必ず「リスク」が伴います。

以下の記事にも書いた通り、リスクは必ずしも怖いものではありませんが、より安定して確実な運用がしたいのであれば、リスク回避の方法は知っておいて損はありません。

 

そこで、今回はリスク回避の手段として代表的なポイントである「分散投資」「割安銘柄の見分け方」について解説していきたいと思います。

リスク回避の手段を身につけて、より確実に運用できるようになりましょう。

 

代表的なリスク回避の方法

分散投資する

リスク回避(リスクヘッジ)の手段として、必ず耳にするのがこの「分散投資」です。分散投資はどのようなもので、なぜリスクヘッジの手段になるのでしょうか?順に解説していきたいと思います。

 

「分散投資」とは、その名の通り資産を"分散"して"投資"することです。1つの銘柄に、全ての資産を投資してしまうのではなく、複数の銘柄に資産を分けて投資することを言います。

仮に1,000万円を自動車業界に投資するとして、Aという企業に1,000万円を突っ込むのではなく、「Aに500万円、Bに300万円、Cに200万円」と分けて投資するのが分散投資です。

 

仕組みは簡単ですが、なぜこれでリスクヘッジになるのでしょうか?

よく「全ての卵を一つのカゴに入れてはいけない(一度に全部割れてしまう危険性があるから)」などとも言いますが、1つの銘柄に資産を集中してしまうと、もしその企業に何か不祥事などがあった際に、その損失を一気に被ることになります。

仮にAの株価が半分になったとしても、分散投資しておけば、損失はそれ以下に抑えられるのです。

  • Aに1,000万円→500万円=500万円の損失
  • Aに500万円、Bに300万円、Cに200万円→Aが250万円=250万円の損失(トータルは750万円)

 

これは株に限った話ではありません。為替においても、円とドルの両方を持っておけば、円高になっても円安になっても資産を大きく減らすことなく耐えることができます。円とドルでも良いですし、同じ業界のライバル企業、買い手と売り手、輸出企業と輸入企業など、組み合わせは様々です。

複数の銘柄に分けて投資する。分散投資は、リスクヘッジの基本であり、王道とも呼べる手法でありながら、最も効果的な手段と言えるでしょう。

 

割安銘柄に投資する

リスクヘッジの手段としてもう一つ有効なのが、「リスクの低い商品」に投資することです。当たり前のことではありますが、色々と銘柄を検討しているとついつい見落としてしまうポイントでもあります。

低リスクな商品には、債券や、それこそ預金など様々なものがありますが、ここでは「割安銘柄」について解説していきたいと思います。

 

割安銘柄とは、その名の通り「株式の価値に対して、価格が割安な銘柄」のことです。株式の価格は、株価や時価総額に表れています。そして、株式の価値(会社の価値)は、その会社の持つ「資産」や「業績(利益/損失)」から測ることができます。

割高 or 割安 の判断はどのようにすれば良いのでしょうか?具体的な例を見て考えていきましょう。

 

日本を代表する企業である「トヨタ自動車(7203)」について考えていきましょう。

四半期報告書(2018年第1四半期)』によると、トヨタ自動車の主なデータは以下の通りです。

  • 純資産:20兆円
  • 純利益:2.5兆円 ※当社株主に帰属する四半期(当期)純利益
  • 総資産:50兆円
  • 売上高:29兆円

また、トヨタ株のデータは以下のようになります(※2018年9月26日現在)

  • 時価総額:22.8兆円(株価:6,981円)

 

トヨタという企業は、20兆円の資産を持ち、2.5兆円の利益を得ています。それに対する市場の評価が22.8兆円なのです。トヨタの株価は、資産の1.1倍、利益の9.1倍であることがわかります。

この1.1倍(時価総額 ÷ 資産)を「PER(株価純資産倍率)」、9.1倍(時価総額 ÷ 純利益)を「PBR(株価収益率)」と呼び株価が「割高 or 割安」の判断の材料にすることができます。

ここでは、四半期報告書などの内容から概算で算出しましたが、PER・PBRは株価を調べると一緒に見ることができます。わざわざ自分で算出する必要はありません。

 

このPER・PBRの値が小さい企業ほど割安と判断することができ、一般に割安な銘柄ほど大きく値崩れする可能性は低くなります。

1つの企業を見ているだけでは判断が難しいですが、日本市場全体で、PER=1.4、PBR=12.7が平均です(※2018年8月現在) 参考:世界各国のPER・PBR・時価総額 (毎月更新) - myINDEX https://myindex.jp/global_per.php

市場全体と比較すると、先述のトヨタ株は割安と言えるかもしれません。

 

資産の算出方法や、利益の計上方法は、企業によって異なるため、必ずしも確実に上下が決まるわけではありません。優秀なファンドマネージャなどは、独自の調査や分析を元に、より正確で詳細な試算をし、それを元に投資判断を行います。

しかし、大まかな参考情報として十分活用できます。気になる企業があったとき、他の企業と比較したり、市場全体の平均と比較するなどして、「割安 or 割高」の判断はしても損はありません。

 

リスクヘッジの注意点

このようにリスクヘッジの方法には様々な方法がありますが、むやみやたらとリスクヘッジすることはオススメできません。「リスクは小さい方が良いに決まっている」などと考えると、投資においては大きな失敗をしてしまうのです。

 

リスクヘッジをするということは、損失を回避するという意味ではなく「安定した運用」をするということに他なりません。つまり、損失する可能性を下げる一方で、利益を得る可能性も下げてしまいます。

 

先の例で言えば、もしA社の株が1,000万円→1,500万円(1.5倍)になったとしても、分散投資していた場合、+250万円(1.25倍)の利益しか得られないことになります。

 

投資の世界には「分散投資は富を守り、集中投資は富を築く」という格言もあります。ポートフォリオの中で適切は配分をすることこそが最も重要なのです。

引用:インベスターZ 13巻より

 

まとめ

リスクは自分で確実にコントロール(リスクヘッジ)することができます。極端な話、投資などせず銀行預金で眠らせておけば、リスクなどない、安定した運用(わずかな利子が付く)をすることも可能です。

 

しかし、リスクを回避するばかりでは、投資をする意味がありません。1,000万円を元手に、守りに守った運用をして、5000円(0.05%)の利益を得ても決して面白くないでしょう。せっかく資産運用をするのであれば、きちんとリスクとリターンのバランスを取りながら、例えば年5~10%の利回りを狙ってこそ意味があります。

重要なのは、不必要なリスクを回避し、自分が求めるリターンに対してリスクを最小化することです。リスク回避の手段を身につけて、きちんとコントロールできるようにしていきましょう。

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