資産運用をする際の注意点は様々ありますが、そのポイントは時代によって変化するため注意が必要です。

 

2019年の今、資産運用を始めようと思っている投資初心者は、まず何に気をつけるべきでしょうか?

今回は、これから投資を始める方に向け、絶対に押さえておいて欲しいポイントをまとめました。。

 

資産運用で考えておきたい5つのポイント

運用の目標について

まず最初に考えなければならないのは「運用の目標(ゴール)」。つまり、いくらを目標に資産運用をするかです。

 

これを考えるにあたって『老後2,000万円問題』は外せないでしょう。

金融庁の出した報告書によれば、日本人は老後に備えて"年金とは別に"2,000万円を各家庭で用意する必要があるとのことでした。

 

おおまかに説明すると、各家庭で老後の生活に必要な約26.4万円なのに対し、年金の給付額は約20.9万円しかないため、月5.5万円の不足が30年以上にも渡って続くため、それが総額で2,000万円近くにもなるということです。

この「2,000万円」という金額は必要最低限の額であり、特に都市部で生活する人たちは、最低でも3,000万円〜5,000万円は用意したいところです。

更に言えば、老人ホームの利用や、子供や孫に資産を残すことを考えると、8,000万円〜1億円程度の資産が必要になるとも言われています。

 

資産運用をする際には、運用のゴールが必要です。目標金額を設定するにあたっては、これらの金額が大いに参考になります。

参考記事
  • 還暦を迎える人の平均貯蓄額は2900万円 ただし67%が2000万円以下 - ITmedia ビジネスオンライン
    https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1906/12/news124.html
  • 残念ながら「老後資金2000万円必要」は歴然とした現実である | 老後のお金クライシス! 深田晶恵 | ダイヤモンド・オンライン
    https://diamond.jp/articles/-/205453

 

日本人の金融リテラシー

様々な調査により、日本人の金融リテラシーは先進国で最低レベルであることが分かっています。

これだけの低金利であり、銀行に預けても1円も増えないにも関わらず、国民の資産の半分が預貯金で眠っているという実態が、このリテラシーの低さを物語っています。

 

日本がこれだけ豊かな国であるにも関わらず、日本人がここまで金融リテラシー弱者になってしまったのは、高度経済成長期に(凝った)資産運用をする必要がなかったからです。

 

高度経済成長の時代には、稼いだお金は銀行に預けるか勤め先の株を保有するかだけで何も問題ありませんでした。1991年の銀行預金の金利はは5%もあり、銀行に預金するだけで、十分に資産が増えていったのです。

これは近年の0.001%の低金利とは比較にならない(5000倍!)金利ですが、この頃の「とりあえず預金しておけばOK」という風潮が、現代においても払拭されていないことが問題です。

 

このような時代を長く過ごした日本人にとって、むしろ投資という行為自体がなにか卑しいものであるという風潮が芽生えてしまいました。

投資で得たお金を「泡銭」などと揶揄することもあり、お金を増やすということ自体にマイナスイメージが根付いてしまったのです。

 

このような環境では金融リテラシーが育たないことにも無理はありません。

親が分からないのだから子も分からないという負の連鎖が続き、日本の金融リテラシーは低いままになってしまっています。

 

そんな中で、最近投資に興味を持ち、運用を始める人が増えてきていることは喜ばしいことですが、自分が何も分かっていないということをまずは自覚し、まずは本などを読んで、基本的な金融知識を勉強するところからはじめてみてください。

何に投資をするにせよ、最終的には自分自身の判断が必要になります。そのためにも、知識を蓄え、判断力を鍛えておくことは重要です。

 

参考記事
  • 日本人は金融リテラシーが低いといわれるけれど、それって本当? | コラム | auじぶん銀行
    https://www.jibunbank.co.jp/column/article/00131/

 

投資信託の抱える課題

投資信託は、現在の日本では最も身近な投資商品になっています。

日本には6,000本を超える投資信託が存在し、銀行や証券会社の窓口でも、日々様々な投資信託が売買されています。「投資」と言えば投資信託がまず最初に思い浮かぶ人も多いようです。

 

しかし、金融庁の調査・分析により、それら投資信託のうち、約半数が顧客に損をもたらしていることが分かりました。

 

しかも、この計測期間中、市場平均自体はプラスだったのです。

つまり、「適当に株を買っても勝てる(儲かる)可能性が高い」状況下においても、ロクな成績を残せないのが投資信託のなのです。

その他のデータによれば、9割以上の投資信託は、手数料まで加味すると市場平均に負けている、ということも分かっています。

 

投資をはじめるにはまず投資信託、、、と考えがちですが、実のところ投資信託は全くおすすめできません。「数が多い」「手軽」などといった理由で安易に手を出さないように注意が必要です。

※これを避けるためにも、金融リテラシーの向上は重要です。

 

参考記事
  • 銀行の投資信託、46%の個人が「損」 金融庁問題提起:朝日新聞デジタル
    https://www.asahi.com/articles/ASL755DSNL75ULFA023.html
  • 投資信託の販売会社における 比較可能な共通KPIを用いた分析 <対象:主要行等9行、地域銀行20行> 2018年6月29日 金融庁
    https://www.fsa.go.jp/news/30/sonota/20180629-3/03.pdf

 

アメリカ株が暴落する可能性

アメリカの株式市場が暴落するリスクについても注意しなければいけません。

アメリカの株式市場はここ10年間上がり調子が続いていますが、歴史的に見ると、数年内に大きなより戻し(=暴落)が起こることが十分に懸念されます。

 

ここで重要なのはアメリカの株式市場が暴落すること自体ではなく、その余波が確実に日本をはじめとした世界中部押し寄せるであろうということです。

特に重要なのは、日本の投資信託です。日本の投資信託の多くは米国株式に偏重しています。例えば、以下に挙げるような人気の投資信託は、アメリカ株の占める割合がいずれも50%を超えています。

  • 楽天・全世界株式インデックス・ファンド ⇒ 52%が米国株
  • ニッセイ外国株式インデックスファンド ⇒ 68%が米国株
  • 楽天・全米株式インデックス・ファンド ⇒ 100%が米国株

 

投資信託自体にも問題点があることに加えて、このように米国株に偏っているということは、今後、今まで以上の大損失を招くリスクがあるということです。この点には、くれぐれも注意してください。

 

参考記事

 

高額資産向け運用サービスの台頭

最後に、少し明るいニュースについても触れておきましょう。

近年、富裕層に向けた高額金融商品(サービス)が、続々とリリースされています。

代表的なものは「ラップ口座」「ヘッジファンド」です。

 

ラップ口座とは、高額の資産を運用する人に向けて、投資一任契約をすることで、銀行や証券会社に資産の運用を依頼するものです。

高額と言っても数百万円程度からスタートできるのがこのラップ口座の特徴で、主に退職金を受け取ってまとまった資産がある高年齢者をターゲットとしています。

 

しかし、ラップ口座ははっきり言って運用先としておすすめできません。

手数料を支払うことで、「顧客のために〜」などと言ってそれっぽいアドバイスをしてきますが、実際はほとんどが顧客のメリット(利益)になっていません。

(これは投資する側にも問題がありますが)金融リテラシーの低い人を狙って、「銀行」という看板を掲げ、専門的な用語を並べることで、それっぽい雰囲気を醸し出しているにすぎないのです。

 

そもそも、一人一人にあった運用などを考えて実践できるなどという考え方自体が大いに間違っています。

 

仮に、プロの運用を享受したいのであれば、その人(投資の専門家、プロ)が練りに練って実践している運用に相乗りするかどうかです。その人自身が、自己資金を含めてその運用を実践しており、他者のために小細工するのではなく、最も利益を追求できる運用を継続してこそ最大の成果につながります。

 

それを実現しているのが「ヘッジファンド」です。

ヘッジファンドは、運用のプロであるファンドマネージャ(及びその組織)に資金を預け、そのファンドの投資に相乗りすることで、運用の成果を得ることができます。

優れたファンドマネージャーが小規模に運営するヘッジファンドは、市場の平均を大きくアウトパフォームする(超える)ことも歴史的に証明されています。

 

ヘッジファンドの場合、最低でも1,000万円程度の資金がないと投資をスタートできないため、ラップ口座よりもさらにハードルは高いですが、本気で資産運用を考えている人にとってこれ以上の選択肢はあり得ないでしょう。

加えて、「私募(※)」であるファンドは、銀行や証券会社で問い扱われているものではなく、ファンドそのものを自分で見つけ出し、問い合わせる必要があります。

※銀行や証券会社などで扱われている一般の金融商品と異なり、自己(自社)募集のみであること。

 

誰にでも簡単に手が出せるものではありませんが、資金に余裕のある人は、是非ヘッジファンドのような新しい金融商品(サービス)も検討してみてください。

 

参考記事
  • 一般人もできる!高利回り15%「ヘッジファンド」の始め方とリスク(花輪 陽子) | マネー現代 | 講談社(1/4)
    https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59124
  • ラップ口座が明らかにダメな4つの理由 | 山崎元のマルチスコープ | ダイヤモンド・オンライン
    https://diamond.jp/articles/-/66874

 

さいごに

日本人は世界的に見ても投資には明るくなく、実際に資産運用をしている人も決して多くはありません。

そのせいもあって、一人一人の金融リテラシーも低く、金融市場にも粗悪な商品・サービスが蔓延っている、まさに劣悪な環境にあります。

 

しかし、ネット証券の普及などで、誰でも簡単に投資を始められる環境が整い、ヘッジファンドのようにレベルの高い運用をする組織も増えてきました。

今後、資産運用はますます一般的なものとなり、それぞれにより高い運用の成果が求められる時代はもう目の前に迫っています。

少しでも周りに差をつけるためにも、一歩先に投資について本気で考えてみてはいかがでしょうか。

 

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