コモンズ投信とは

「コモンズ投信」は長期投資を通じて持続的な価値成長を目指す、独立系の投信会社です。

創業者でもある渋澤健会長は、日経電子版マネー研究所カリスマの直言に寄稿するなどメディアへの露出も多く、日本を代表する投信会社となっております。

以下のように、メディアに寄稿もしているようです。

出典:つみたてNISA半年 さあアクティブの出番(渋沢健)|マネー研究所|NIKKEI STYLE
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO32244430W8A620C1000000?channel=DF280120166593&style=1&page=2

 

このように、「有名」なファンドであることは間違いありませんが、実際にコモンズ投信で運用するときちんと儲かるのでしょうか?

コモンズ投信の特性や運用方針、運用成績などから紐解いていきたいと思います。

 

コモンズ投信ってどんな会社?

企業理念について

どんな会社かを知るにはまず「企業理念」から見ていきましょう。

企業理念を見れば、「その会社が何をしたいのか」を知ることができます。コモンズ投信のHPを見てみると、以下のように記載されています。

「未来志向の日本人が全国から、長期投資を通じて最良な企業と出会える場を提供すれば、持続的な価値創造が可能になる」、そんな熱い想いを持ったメンバーが集まってできた独立系(金融機関のグループに属さない)の投信会社です。
〜(中略)〜コモンズ投信の社名の由来は「Common Ground」です。つまり、同じ想いに共感して集まってくる共有地です。ご自分やご家族、そして、世の中の今日よりもよい明日のために、ゆっくりとしっかりと進む、未来志向の皆さんが集まるところです。一人ひとりは小さくても、大丈夫です。そんな同じ想いがたくさんコモンズに集まれば大きな力が生まれます。さぁ、あなたもコモンズでゆっくりとしっかりと楽しく、お金と想いを育てる投資を始めましょう。

 

色々書いてありますが、大事にしているのは概ね以下の3つです。

  • 長期投資を実践する
  • 持続的な価値創造を行っていく
  • よりよい未来を創るという想いを大切にする

 

長期投資をするというファンドはいくらでもありますが、文章の書き方からも「未来への想い」を大切にすることに重きを置いていることが分かります。

こういった言葉は口にするのは簡単ですが、コモンズ投信では口にするだけではなく、実際に社会企業家の活動支援も行っているようです。

コモンズSEEDCapと題し『コモンズ30ファンド』の収益の一部(信託報酬の1%程度)を元に寄付を行っています。例えば、過去にはNPO法人PIECES(ピーシーズ)などが寄付先に選定されています。こちらのNPOでは子供の社会的孤立を防止する活動を行っています。

SEEDCapは、子供や孫世代に役立つ社会的基盤を構築するための支援ですので、コモンズ投信の中でも本業と位置付けられています。

 

運営者について

では、これだけ社会的な役割を重視するコモンズ投信を創ったのはどんな人なのでしょうか。

創業者は渋澤健会長です。

出典:取締役会長 兼 ESG最高責任者 渋澤 健|コモンズ投信のメンバー紹介
https://www.commons30.jp/company/member/name-shibusawa.php

 

簡単にどんな人か見ていきましょう。

まず、祖先には何とあの渋沢栄一がいます。渋沢栄一は東京証券取引所の設立など、数々の重要な機関や大企業の設立に携わり「日本資本主義の父」とも言われました。最近は、新しい一万円札の肖像に決定したこともニュースになりましたね。

 

渋沢栄一は日本の発展に強く貢献しましたが、三井高福や岩崎弥太郎などの三井、三菱財閥とは異なり、渋沢財閥を作らず公益を重視する考えであったことが知られています。

その結果、各財閥創始者が男爵止まりであったのに対し、渋沢栄一は子爵を授かっています。

 

渋澤健会長もその「公益」を考え抜くという精神を受け継いでいるのかもしれません。

いずれにせよ華麗なる一族なのは間違いないようです。渋澤健会長自身もテキサス大学を卒業後、MBAを取得し有名金融機関を渡り歩くなど活躍されています。

 

具体的にどう運用しているのか

それでは、具体的にどんな運用をしているのかを見ていきましょう。

コモンズ投信には

  • コモンズ30ファンド
  • ザ・2020ビジョン

という2種類のファンドがあります。

どちらも長期投資をするファンドですが、今回は「コモンズ」の名が冠されているコモンズ30ファンドについて詳しく見ていきまましょう。

 

「コモンズ30ファンド」の基本方針には以下の6点が挙げられています。

○ファンドの基本方針
1. 投資の目線は30年とします。
2. 投資対象は、原則として30銘柄程度とします。
3. 企業との対話を重視します。
4. 生活者(個人投資家)の参加する場を数多く提供します。
5. 直接販売を主とします。
6. 信託報酬の一部を社会貢献に活用します。

 

抽象的に「長期投資」と表現してきましたが、「30年」という具体的でとても長い時間軸で企業を見ていることが分かります。

30歳の人も30年たったら定年を迎えてしまいます。長期的に価値を作り育んでいくということだとは思いますが、少々目線の設定が未来のこと過ぎて不安を覚えます。

 

続いて、投資銘柄はどのように選定していくのでしょうか。

出典:投資信託説明書(交付目論見書)|コモンズ30ファンド
https://www.commons30.jp/fund30/pdf/pdf-id-1803.pdf

コモンズ30ファンドでは、銘柄選定にあたって以下の5つの軸を挙げています。

  1. 収益力
  2. 競争力
  3. 経営力
  4. 対話力
  5. 企業文化

 

ポイントはこれらの項目のうち2~5までが見えない価値(=非財務情報)となっている点です。

財務情報は誰でも簡単に取得することができますが、非財務情報はそうはいきません。特に個人投資家では難しいでしょう。

「コモンズ30ファンド」ではそういった非財務情報を企業訪問や工場などの現場視察によって手に入れているようです。

 

また、コモンズ30ファンドでは投資銘柄の数も30程度に絞られており、一般的な投資信託と比較して非常に少なくなっています。

これも、1銘柄ずつ手間をかけて企業の調査を行っていることの裏付けとも言えるかもしれません。

 

一方で、気になった点は投資の「意志決定プロセス」です。

新規組入銘柄や全売却銘柄の判断は、「原則全員一致」となっています。

皆で決めるのは、日本の伝統的な文化かもしれませんが、責任の所在が曖昧になり、結局は批判が出にくい無難でスタンダードな決断になってしまいます。本当に優秀な投資家であれば、少人数でズバッと意思決定できるものです。

優れた組織や、ビジネスは優秀なリーダーによって導かれてきたのです。

そのため、「ありきたりな運用結果になってしまう」という可能性が懸念されます。

 

気になる運用成績は

実際にこれまでの運用成績はどのようなものになっているのか、気になるパフォーマンスを確認してみましょう。

 

出典:基準価額推移・運用成績|コモンズ投信の投資信託 -コモンズ30ファンド
https://www.commons30.jp/fund30/value.php

 

まず、チャートを見てみます。TOPIX(配当込)と比較すると、同じような動きをしていますが、一応アウトパフォームしている(上回っている)ことが分かります。

ここ1年で比較すると

  • コモンズ30ファンド:+13.91%
  • TOPIX(配当込):+10.63%

とその差は3.28%ですが、設定来で見ると

  • コモンズ30ファンド:+222.08%
  • TOPIX(配当込):+161.44%

となっており、60.64%もの開きが出ています。

 

TOPIX(配当込)と連動した動きをしていることから「独自性があって圧倒的に素晴らしい運用をしている!」とは言えないかもしれませんが、TOPIX(配当込)をアウトパフォームしているのは事実であり評価できる結果と言えるのではないでしょうか。

 

まとめ

コモンズ30ファンドについて、ここまでの検証結果をまとめてみましょう。

  • 30年と言う超長期投資はやや不安もある
  • 社会企業家の活動支援も行っている
  • 銘柄数も30程度と少数精鋭
  • 見えない価値(=非財務情報)も重視する
  • TOPIXと連動する動きは見せるもののアウトパフォームしている

 

以上より、運用成績も問題ありませんし、社会貢献活動も支持できるポイントではないでしょうか。特に公益を考える方にはおすすめできるファンドと言えそうです。

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