投資信託は本当に低リスクか?
最近、投資信託がまるで安全・安心な金融商品のように取り扱われているのをよく目にします。
「銀行や証券会社もおすすめしているし、投資信託なら安心して運用を任せられる。」
そんな風に考えていませんでしょうか?
投資信託が良いとされるポイントには以下のようなものがあります。
- 少額からはじめられる
- 分散投資になる
- 個人では買いにくい株式(海外など)にも簡単に投資できる
確かにいずれもウソや間違いではありません。
ですが、いずれも投資家にとってメリットになるかというとそうとも限りません。
少額からはじめられることがメリットになることもありますが、数百万円〜1,000万円超の資金を運用したいと考えているような人にとってはほとんど関係ありません。
投資信託を購入すると間接的に複数の株式に投資することになるため確かに分散投資にはなります。
しかし「分散投資=良いこと」と考えている人もいるようですが、そうとも限らないので注意が必要です。
分散投資は、確かに単一の株式に投資するよりも価格変動のリスクを抑えることができます。
ですが、"きちんと"分散投資をしなければ正しい効果は得られません。
このあと紹介するような「テーマ型投信」の場合、状況によってはそこに含まれている銘柄が一気に共倒れすることになることも十分考えられます。
例えば、「自動車業界」をテーマにした投資信託の場合、自動車業界そのものが傾くと、何社に分散して投資しようとも全ての業績が悪化するかもしれません。
一方で、ヘタな分散投資は、収益性も分散させてしまいリターンも低減してしまいます。
収益性(利回り)を確保しようと思ったら、ある程度の集中投資が必要になります。
海外に投資できることは確かにポイントですが、海外の経済市況をきちんと分析し、本当の意味で投資魅力を見出している人はどの程度いらっしゃるでしょうか。
「海外投資=良い」とも限りません。国内の市場でさえ、まだまだ投資余力を残していますし、きちんと調べ・理解できる企業に優先して投資することをおすすめします。
このように、投資信託は決して手放しで安全・安心だと思える金融商品ではありません。
「投資信託=低リスク」ではありません。投資信託でも大損する可能性は十分にあるのです。
投資信託で損をする3つのパターン
ここからは、投資信託の運用を考えるときに、危険なタイプを3つ紹介します。
- レバレッジ
- テーマ方
- 毎月分配型
これら3つのポイント該当する投資信託には十分に注意してください。
①レバレッジをかけた投資信託
絶対に避けたいのがレバレッジをかけた投資信託です。有名なところに「楽天日本株4.3倍ブル」などがあります。
これは日本の株式市場の値動きの4.3倍の大きさで値動きする投資信託です。利益が出るときは4.3倍、損失も4.3倍になります。
上手くいけば儲かりますが、失敗したら元手(元本)なんど簡単に吹き飛んでしまいます。
投資の世界では、大きく儲けるよりも、大損しないようにすることが重要です。
レバレッジ型の投資信託は大損する可能性が高いので避けるようにしましょう。
②流行りもののテーマ型投資信託
続いて注意したいのは「テーマ型」の投資信託です。ロボット、AI、ゲノム、FinTech、中東、インド、、、
今後の流行・成長が期待できる技術・業界・地域に関連する企業に投資する投資信託です。
テーマ型の投資信託は、"引き"が強く人気を集めやすい特徴があります。
しかし、投資信託が設定される頃には、そのテーマ(業界や技術など)には既に十分にスポットが当たっており、十分に株価が高騰(割高)になっている場合がほとんどです。
皆がまだ気づいていない企業に先行投資する分には構いませんが、既に投資信託として広く多くの人に売られているようなものを、期待感を理由に買うのはNGです。
もし、テーマ型の投資信託で運用したいと考えるのであれば、まだ世の中が評価していないような最先端の領域を自分で見出さなければいけません(そんなテーマの投信が設定されているかはわかりませんが...)
「今後、成長しそう」「次世代の技術っぽい」という安易な理由で投資先を決めてはいけません。
運用を考えるのであれば、きちんと業界のことを研究し、企業(業績や株価など)を分析・評価して判断するようにしましょう。
③毎月分配型の投資信託
最後は「毎月分配型」の投資信託です。
日本では人気のタイプの投資信託ですが、これが最も注意しなければならない投資信託のタイプかもしれません。
毎月分配型の投信は、毎月「分配金」を手にすることができます。手元にお金(現金)が入ってくるので、お得に感じる人も多いようです。
しかし、毎月分配型というのは実は最も儲かりにくい仕組みです。
投資においては、当然のことながら、元手が大きいほど利益も大きくなります。
運用で利益が得られた場合、それを積み立てて運用し、次の元本として運用してこそ「福利の効果」が働き、雪だるま式に資産を増やすことができるのです。
ですが、毎月分配型の投資信託では、毎月自動的に資産を切り崩して分配金を受け取ることになるため、元本を減らすことになり、この「福利の効果」が得られません。
例えば、以下のケースでシミュレーションしてみましょう。毎月1%の利回りで運用できる商品について分配金(月2万円)のあり/なしで運用した場合の結果を比べてみましょう。
分配金あり | 分配金なし (資産残高) |
||
運用額 | 配当金(累積) | ||
1か月後 | 99万円 | 2万円 | 101万円 |
6か月後 | 93.8万円 | 12万円 | 106.2万円 |
12か月後 | 87.3万円 | 24万円 | 112.7万円 |
24か月後 | 73万円 | 48万円 | 127万円 |
収益合計 | 21万円 | 27万円 |
この結果を比べても、長く運用すればするほど、分配金がない運用の方がトータルで得られる収益は大きくなります。
長期でしっかりと資産形成していきたいと考えている人に、毎月分配型の投資信託はおすすめできません。
さいごに
投資信託は「少額からはじめやすい」「低リスクに見える」という理由で多くの投資家から人気を集めています。
ですが、その本質はそんなに甘いものではなく、パッと見の良さにダマされると大損する可能性があります。表面的なアピールに惑わされることの無いように十分に気をつけてください。