SBI日本株4.3ブルとは

大きく儲けたいという方に大人気の商品として「SBI日本株4.3ブル」という投資信託があります。SBIはご存じの通り会社名です。「日本株」はわかりますが、「4.3」とか「ブル」とは一体何のことでしょう?

 

「4.3」というのはレバレッジの倍率の事で、追って詳しく説明しますが、大雑把に言うと通常の4.3倍の値動きをするファンドですよという意味です。

そして、「ブル(bull)」とはあれです。

 

そう、牛です。

出典 :FX・先物相場は僕のATM!? ウォール街の牛
http://fxwin0402.blog28.fc2.com/blog-entry-662.html

 

なぜ牛なのかというと、雄牛が角を突き上げている姿から、投資の世界で「ブル」というのは強気相場(上げ相場)のことを指しています。写真は観光客にも大人気のウォール街にあるチャージング・ブルです。ニューヨークに行かれた際はぜひ立ち寄ってみて下さい。

それでは、話を元に戻してSBI日本株4.3ブルは本当に大儲けできるのか、解説していきたいと思います。

 

SBI日本株4.3ブルの基本情報

出典:投資信託説明書(交付目論見書) SBI 日本株4.3ブル
http://www.sbiam.co.jp/fund/pdf/8931317C_4.3bull_koufu_20171218.pdf

  • 商品名:SBI 日本株4.3ブル
  • 主要投資対象:株価指数先物取引を積極的に活用し株式市場全体の値動きの概ね4.3倍程度となる投資成果を目指す
  • 商品分類:追加型/国内/株式
  • 信託期間:2017年12月19日~2020年12月4日
  • 購入時手数料:2.16%(税抜き2.0%)以内
  • 信託財産留保額:なし
  • 運用管理費用(信託報酬):純資産総額に対して年率0.9504%(税抜0.88%)
  • 委託会社:SBIアセットマネジメント株式会社

 

特徴は何といっても高いレバレッジ

レバレッジって何?

SBI日本株4.3ブルの特徴は何といっても高いレバレッジにあります。

「レバレッジとは、てこの原理で~~」なdと語られることもありますが、要は「借入」です。自分の元手が少なくても、他人の資本を使う事で大きな取引が出来る仕組みのことです。

 

これは、なにもこの投資信託に限ったことではなく、多岐に渡る場面で使われています。

例えば、不動産投資をするときは自分の資本は少ない頭金を入れるのみで、残りは銀行からローンを組んで借入れることになります。数百万円の自己資金を元手に、数千万円単位の物件を買うことも珍しくありません。

FXでも少ない証拠金を入れるだけで、元手の25倍の額もの取引をすることが出来ます。

 

例えば、元手が100万円の人が3倍のレバレッジをかけて300万円の運用をしたとしましょう。市場から+5%の成果を得られると、300万円→315万円となり15万円の利益を手にすることができます。結果、100万円の元手で15万円(+15%)のリターンなので、利回りも3倍になるのです!

このように、レバレッジを使うことで少ない元手であっても利回りを何倍にも増加させることができます。

 

ただ、当然のように大損する可能性も高くなります。

それでは、4.3倍のレバレッジをかけた「SBI日本株4.3ブル」では、どんな値動きをすることになるのでしょうか。イメージ図を見ると次のようになっています。

 

出典:投資信託説明書(交付目論見書) SBI 日本株4.3ブル
http://www.sbiam.co.jp/fund/pdf/8931317C_4.3bull_koufu_20171218.pdf

 

これを見ると、通常の値動きの4.3倍程度の動きをするようです。これを見ると、多くの人が

「じゃあ、儲かる時は4.3倍儲かるんだ」
「損するときは4.3倍損するんだね」

と思いますよね。

 

しかし、恐ろしいことに実際は全く異なる値動きをするのです。細かい値動きを見ていくために、

  • 上昇局面
  • 下降局面
  • 横ばい

と3つに分けて考えていきましょう。

 

上昇局面での値動き

まずは、上昇局面からです。

出典:投資信託説明書(交付目論見書) SBI 日本株4.3ブル
http://www.sbiam.co.jp/fund/pdf/8931317C_4.3bull_koufu_20171218.pdf

 

左側のグラフからいきましょう。こちらは1日も下落することなく上昇し続けた場合を表しています。4日間連続で上昇すると、株式市場が110と10%の増加なのに対して、ファンドは148.4と48.4%の増加を示しており、株式市場の4.3倍以上の成果が出ることが分かります。

一方で右側のグラフを見ると、同じように4日目の株式市場は110で10%の増加です。しかし、こちらは上昇と下落を繰り返していたため、ファンドは134.6と34.6%しか増加しておらず、株式市場の4.3倍を下回っています。

 

このように、数日間で運用成果を見るとSBI日本株4.3ブルのパフォーマンスは株式市場の4.3倍とはなりません。ここで、分かった事をまとめると次のようになります。

  • 1日も下落する日がなく上昇し続ける分には運用成果はどんどん大きくなる
  • 上昇と下落を繰り返しながら上昇すると、伸び率は小さくなる

 

実際の相場では、上昇局面であっても株式市場というのは上昇や下落を繰り返しながら上昇トレンドを形成していきますので、SBI日本株4.3ブルも後者に近い値動きをすることが多くなることが考えられます。

 

下降局面での値動き

続いて、下降局面を見ていきます。

出典:投資信託説明書(交付目論見書) SBI 日本株4.3ブル
http://www.sbiam.co.jp/fund/pdf/8931317C_4.3bull_koufu_20171218.pdf

 

まず、左側のグラフを見てください。こちらは1日も上昇することなく連続で下落し続け、4日目には株式市場が90と-10%となっている中で、ファンドは62.2と-37.8%を記録しています。この場合は初日と4日目で比べると株式市場の4.3倍の下落よりも小さい値に収まっています。

一方で右側のグラフを見てみましょう。こちらは上昇と下落を繰り返しながら下降していった例です。こちらも株式市場は先程と同様90と-10%となっている中で、ファンドは53.4で-46.6%と大幅な下落を記録しています。これは、株式市場の4.3倍を超える下落で大きな損失となっています。

 

ここで分かった事は、下降局面の場合でも、上昇と下落を繰り返しながら推移していった方が大きな損失を被る、という事です。

株価の値動きですから、残念がら上昇局面の場合と同様、一方的に下落していくというよりは、上昇と下落を繰り返しながら下降トレンドを形成することが多いはずです。つまり、この投信は下降局面で4.3倍以上の損失を被る可能性が高いということが考えられます。

 

横ばいの時の値動き

それでは、最後に最終的に横ばいの値動きとなるケースを見てみましょう。

出典:投資信託説明書(交付目論見書) SBI 日本株4.3ブル
http://www.sbiam.co.jp/fund/pdf/8931317C_4.3bull_koufu_20171218.pdf

 

株式市場は100からスタートして上昇と下落を繰り返しながら100に戻っています。

一方で、レバレッジのかかっている当該ファンドは大きく上昇と下落を繰り返しながら、最終的には69.9と約30%もの損失を被っています。 レバレッジをかけていたばっかりに30%と大幅な損失を被ってしまっているのです。

これは、大変恐ろしい結果ですね。安易にレバレッジをかけてはいけないというのがよく分かります。

 

SBI日本株4.3ブル活用の仕方

上手く収益を上げるには

では、SBI日本株4.3ブルを上手く活用するにはどうすればいいのでしょうか。こちらを見てください。

出典:投資信託説明書(交付目論見書) SBI 日本株4.3ブル
http://www.sbiam.co.jp/fund/pdf/8931317C_4.3bull_koufu_20171218.pdf

 

基準日の翌日は株式市場が110に対して、ファンドは143と大きく儲けています。翌々日は基準日と比べると、株式市場が99の-1.0%に対して、ファンドは81.5で-18.5%という大きな損失が出ています。

これはなぜかというと、基準日の翌日で大きく儲けたがゆえに、翌々日の下落幅が大きくなってしまうからなのです。

 

「SBI日本株4.3ブル」で損失が大きくなってしまう理由は、儲けた後に下落すると下落幅が大きくなるためです。

つまり、SBI日本株4.3ブルを活用しようと思ったら、上昇する日しか保有してはいけないのです。下落するまえに売却します。

 

つまり、必然的に「短期の運用」が求められます。

「今日、明日、明後日は、必ず株式市場が上昇するはずだ!」との見通しを立てて、細かく売買を繰り返すことが重要になってきます。

 

これは絶対に見逃せない!日本株4.3ブルファンドの大欠点とは

上昇局面で保有し、値下がる前に売る。短期で保有するワケですから、活用しようと思ったら売買を繰り返していく事になります。

ここで、ボトルネックとなるのが「購入時手数料」です。「SBI日本株4.3ブル」の購入時手数料は2.16%(税込み)以内と設定されています。

 

この2%という手数料は短期売買では非常に大きな足かせとなります。

極端な話、1日単位で売買するのであれば、1日で2%以上の成果を出さなければいけません。もちろん、確実に上手くいくとは限りませんし、損失するケースも含めて考えれば、より高い成果を求めることになります。

 

まとめ

それでは、最後に「SBI日本株4.3ブル」についてまとめてみたいと思います。

  • 日本の株式市場の概ね4.3倍の動きをするファンド
  • 1日も下落することなく上昇し続ければ大儲けすることが出来るが、上昇と下落を繰り返すと大損する確率が非常に高い
  • 株式市場は基本的に上下に動くので、現実的には長期保有には向かない
  • 上昇局面だけ保有するという短期売買なら可能性はあるが、購入時手数料(2.16%)がボトルネック

現実的に考えて、このファンドで運用して大きな成果が得られるとは考えにくいというのが結論です。資産運用を検討するなら、違うファンドでの運用をおすすめします。

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