貧富の差があまりないと言われた日本ですが、それでも最近「格差社会」という言葉が広まってきています。

「格差」の話になると、たいていは貧困層にばかり目がいってしまいますが、一方で「富裕層」の数も増加してるのです。

昔ほど働き方も画一的ではなくなり、若くして億万長者になる人も珍しくなくなりました。

 

そんな富裕層の人たちを専門に仕事をする「プライベートバンク(PB, Private Bank)」というものがあります。今回はそんな、ちょっと気になるプライベートバンクを紹介したいと思います。

 

プライベートバンクとは

プライベートバンカー(プライベートバンクの人たち)は、主に個人の富裕層を対象に、資産保全や資産運用の手段を提供するのが主な役割です。

一口に「資産運用」と言っても、富裕層のそれは一般レベルとはニーズも運用規模も大きく異なります。

そのため、投資信託のような誰でも簡単に購入できる商品ではなく、富裕層向けの資産運用方法が必要になるのです。

 

さらに、資産管理や資産保全をしていく上で、相続などの関係から、親、子、孫など家族構成についても把握し、さらに私的な相談を受けることもあります。

金融知識のみが求められるわけではなく、顧客から信頼を得て幅広い業務を細やかに遂行していく能力が求められるのがプライベートバンカー(PB)なのです。

 

プライベートバンクの種類

そんなプライベートバンク(PB)には、様々な種類があります。ここでは、伝統/近代的・海外/国内の観点から分類して整理していきます。

 

伝統的プライベートバンク

歴史的な背景を振り返ると、プライベートバンクの始まりは、16世紀後半フランスで起きたプロテスタント対カトリックの宗教戦争に端を発すると言われています。

カトリックから迫害されていたプロテスタントの貴族たちが、戦争によって自分たちの資産が奪われないようにスイスの資産管理人たちに子孫の代まで保全してもらっていたことが起源となっています。

この歴史を引き継いでいるのが「伝統的プライベートバンク」です。

 

スイス・チューリッヒの中では最古となる1750年創業のラーン・アンド・ボドマーや、日本にもアセットマネジメント会社と進出しているピクテ、信託会社として進出しているロンバー・オディエ・ダリエ・ヘンチといったプライベートバンクなどが該当します。

ピクテは1805年にジュネーブで創業した老舗プライベートバンクです。スイス・プライベートバンカーズ協会に所属する12行の内の1行にもなっています。

 

このような伝統的プライベートバンクは「一任勘定運用」という、プライベートバンクにすべての運用を委託する方式を採用しています。資産を積極的に増やしていくというよりは、守ることに重きを置いており、資産保全という意味合いが強くなっています。

ヨーロッパの富裕層が主な顧客となっており、中には数百億円といった単位で資産管理を依頼している顧客もいます。

 

近代的プライベートバンク

元々はスイスの伝統的プライベートバンクであったものが、近年の金融システムのグローバル化に伴い、富裕層に対して総合的な資産管理を提供するようになったものが、近代的プライベートバンクです。

メジャーなプライベートバンクの形態であり多種多様な銀行が該当します。

  • EFG銀行
  • UBS
  • クレディ・スイス
  • モルガン・スタンレー
  • バンク・オブ・アメリカ
  • シティバンク
  • バークレイズ
  • ドイツ銀行
  • ロイヤル・バンク・オブ・カナダ
  • ABNアムロ
  • サンタンデール銀行
  • BNPパリバ
  • ソシエテ・ジェネラル
  • バンク・オブ・シンガポール

 

これらのうち、UBS、クレディ・スイス、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカ、シティバンク、ソシエテ・ジェネラルなどは、プライベートバンキング業務以外にも投資銀行、M&Aやトレーディングなど多岐に渡る業務を行っています。

逆に専業でプライベートバンキング業務を行っているところもあり、EFG銀行、バンク・オブ・シンガポールなどそれにが該当します。

 

日本人でも利用可能な海外のプライベートバンク

日本人が比較的利用しやすいのは次の銀行です。

  • UBS
  • クレディ・スイス
  • BNPパリバ
  • EFG銀行
  • バンク・オブ・シンガポール

 

これらは日本人向けのデスクが配置されるなど、日本人にとっての環境が整っており、まずはこちらから検討するのが良いでしょう。

メリルリンチなども以前は日本人にも対応したサービスを行っていましたが、バンク・オブ・アメリカによる買収の影響などによりサービスを停止してしまいました。

 

日本国内に店舗があるプライベートバンク

日本にも外資系銀行のプライベートバンクがあります。例えば以下のような銀行です。

  • UBS
  • クレディ・スイス
  • 三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券
  • ロンバー・オディエ・ダリエ・ヘンチ

 

日本国内の銀行でもプライベートバンク部門という形で、プライベートバンキング業務を行っています。

  • 三菱UFJ銀行
  • みずほ銀行
  • 野村証券
  • SMBC信託銀行

国内では主にこのような大手金融機関にプライベートバンク部門が存在しています。

 

プライベートバンクを利用できる資産額とは

ここまで色々なプライベートバンクを見てきましたが、実際に利用するにはどうすればよいのでしょうか。

当然のことながら、富裕層向けのサービスとなりますのでサービスを受けられる最低資産額にハードルがあります。

 

明確な線引きがされている訳ではないですが、海外のプライベートバンクでは最低でも100万ドル(約1億円)以上が必要だと言われています。高い所だと1,000万ドル以上でなければ受付ないというところもあります。

 

日本のプライベートバンクでも、大体以下が目安とされています。

  • 1億円〜:三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券、ロンバー・オディエ・ダリエ・ヘンチ
  • 2億円〜:UBS
  • 5億円〜:クレディ・スイス

 

このように、資産運用の世界には、なかなか馴染みのないようなハードルの高いものも色々と存在しています。

 

PBほどではなくとも、ある程度の運用資金がなければ預けられないサービスの代表的なものとしては「ヘッジファンド」などが挙げられます。

ヘッジファンドは、まとまった資産を預け、運用のプロであるファンドマネージャに運用を任せる投資サービスです。PBほどではありませんが、一般に1,000万円程度から門戸が開かれています。

あまり目立った存在ではありませんが、富裕層の間では昔から広く親しまれているサービスの一つです。

 

格差の拡大で、富裕層の数も少しずつ増えてきています。

ヘッジファンドにしろ、プライベートバンクにしろ、誰でも活用できるものではありませんが、限られた人にだけ許された、サービスは存在します。また、それらはメジャーではありませんが、有名なものが優れているとも限りません。

PBには手が届かないものの、ある程度の資産があり、よりレベルの高い限られた人向けの運用に興味があるという方にとって、ヘッジファンドは最適なポジションにあります。以下のページで、おすすめのファンドをランキング形式で紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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