投資はマネーゲーム?

「投資」や「運用」という言葉に対して、ネガティブなイメージを持つ人がいます。特に日本人に多い考え方の一つですが、投資によってお金を稼ぐことを良しとしない風潮があるのです。

金融業のことを虚業と呼ぶような人たちは、汗水垂らして働く農家や、ものづくりをしている人たちの仕事にこそ価値を感じ、それ(労働)によって得るお金こそ美しいと考えているようです。

 

そういった人たちは、特に投資によって得たお金を「あぶく銭」として、楽して労せずに得ることができると考えてしまう傾向にあります。投資家やトレーダーをギャンブラーとして扱い、トレーディングという「業務」を正しく評価しないのは本当に正しいのでしょうか?

 

この考え方には異を唱えなければいけません。投資も立派な仕事であり、それによって収入(利益)を得ることは決して卑しくも汚くもありません。もちろん、決して簡単なことでもありません。

「金転がし」などと揶揄されることもあるようですが、例えば同じ金融業である銀行も、投資(出資)や融資(金貸し)を主な事業としています。

最近は小説やドラマなどで銀行を舞台にしたものも人気がありますが、お金のやりとりをする裏で調査や分析、試算、交渉など、思いのこもった熱いやりとりがあることが描かれています。

 

それは、金融機関だけに限らず、個人が投資をする際にも関係してきます。個々人の投資にもお金を稼ぐ以外の意義や価値があるのです。

ここでは代表的な投資の手段について、お金を稼ぐ(収入を得る)こと以外の意義を考えていきましょう。

 

運用手法ごとの特徴と「意義」

株・投資信託

株式投資を通じて、企業の株を取得するということは、その会社の株主になるという意義があります。

株式投資というと、買った会社の株が上がった、下がったというチャートとの戦いのようなイメージもありますが、元来、企業の会社の株を取得する(=株主になる)ということは、その会社の業績に対して責任を持つという意味があるのです。

 

そもそも会社が株式を発行して、市場から資金を調達するということは、会社を応援する人を募っているという意図があります。つまり、株式投資を通じて、株を取得するということは、その会社を応援しているのと同義なのです。

企業から付与される「株主優待」も、そんな応援に対する企業からのお礼にすぎません(その企業のファンである株主により自社の製品・サービスを楽しんでもらうためのものです)。

優待券も、配当などと同じように利回り(リターン)の一部に換算する人もいるようですが、本来の意義も見失わないようにしたいところです。

従業員に自社株買いを勧める企業が多いのもこのような理由からだと考えられます。

 

また、投資信託も似たような意義があります。投資信託の場合、特定の企業ではなく、国や業界単位に投資をするということになります。例えば、以下の「グローバル・ロボティクス株式ファンド」に投資をするということは、ロボティクス業界に対する期待や応援の現れにもなるのです。

 

株や投資信託を通じて企業に投資をするということは、その企業や業界の応援に繋がるのだということを覚えておきましょう。

 

不動産

不動産は、株やFXなどと比べて、「土地」や「物件」という形ある"モノ"を所有するという特徴があります。もちろん買った土地の値段の上下によって利益や損失が出ますが、証券と異なるのは、必ず現物が残るという点にあります。

つまり、不動産投資は、資産の形を変えて維持できるという価値があります。

そのためか、不動産投資の場合は、ローンというかなり高額な貸付(借金)をいとも簡単に銀行から得ることもできます。ローンという負債を含めて自分自身の資産を見つめ直しコントロールする、形を変えることで現金や有価証券だけではない資産を持てるという価値が投資家自身にとってあります。

 

FX

FXも、その通貨が流通している国に対する期待や信頼の現れと捉えることができます。例えば、日本円を大量に取得すると、円高になり、その国の資産は相対的に増えていることになります。

また、円を持つ場合、円高になると投資としても成功(利益になる)となりますが、円高になるためには、その国の経済や情勢が安定し、また発展するという評価が高まる必要があります。

 

つまり、仮に日本の今後の安定や発展を期待するのであれば、資産は円で持つに越したことはありません(もちろんリスクヘッジのために、複数の通貨で資産ポートフォリオを組むことも有効です)。

FXにもチャートを追いかけるマネーゲームだけではない意義があるのです(「国」という単位のスケールが大きすぎて実感は沸かないかもしれませんが...)

 

ファンド

ファンドへの出資もそのファンドが投資している企業に間接的に投資していることになるため、株式投資と同じような意味があります。ですが、ファンドを通じて投資することで、その選択の幅や可能性は大きく広がります。

例えば、トータスパートナーズ(Tortoise Partners)というファンドは非上場の企業に投資する中で、投資先の多くの中小企業が抱える後継者課題の解決に着目し、そこに投資のチャンスと社会的な意義を見出しています。

また、鎌倉投信の運営する結い2101などは、「共創」という独自のキーワードで伝統的な企業に投資することを重視しています。

 

このようなファンドに投資することで、日本の社会問題の解決に寄与することにも繋がります。どのような投資の理念や戦略があるかはファンドによって異なりますが、それぞれのファンドを通じて、日本の経済の発展や地方経済の再生に関わることもできるのです。

 

お金との向き合い方を考えてみる

このように、投資をするということは、単に金儲けをするということだけでなく、自分自身の資産のあり方を考え、また国や企業、社会と繋がるという大きな意味もあるのです。

そのため、単に「儲かる」という観点だけに止まらず、その投資の意義や価値について考えてみるのも面白いでしょう。実際、社会的にも価値がある投資は、結果として金銭的な収益も上げやすくなります。

 

もちろん、どんな意義のある投資をしても損をすることはありますし、投資先を決定するときには、自身の資産のあり方や、ポートフォリオのバランスも考慮しなければなりません。是非、様々な投資先に目を向け、よりたくさんの選択肢から吟味するようにしてみてください。

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