女性活躍応援ファンド「椿」とは

女性活躍応援ファンド(愛称:椿)をご存知でしょうか。

数ある投資信託のランキングで軒並み上位に名を連ね、圧倒的な勢いで資金を集めた人気ファンドです。

参照:女性活躍応援ファンド 投資信託説明書(投資目論見書)
http://www.daiwa-am.co.jp/funds/doc_open/fund_doc_open.php?code=3256&type=1

 

その勢いは凄まじく、純資産総額が高くなりすぎたが故に、ついに募集(新規買い付けの申込受け入れ)を停止してしまったほどです。

弊社運用の投資信託「女性活躍応援ファンド(愛称:椿)」(以下、「当ファンド」)につ
きまして、7 月 20 日(金)のお申込み分をもちまして新規買付のお申込みの受付けを一時停止さ
せて頂きます旨、ご案内申し上げます。
当ファンドは、女性の活躍や社会進出、女性向け商品やサービス、女性の所得が増加することに
より恩恵を受ける企業に着目し、業績拡大が期待できる企業に投資するファンドです。近時に入
り、当ファンドの純資産総額が急拡大していることを受け、弊社は高い付加価値のご提供が困難
になる可能性が高まったと考え、今般新規買付のお申込みの受付けを一時停止することに至りま
した。

※投資信託の規模(純資産総額)が大きくなりすぎると、パフォーマンスにネガティブな影響が出る(儲かりにくくなる)話はまた別の機会に詳しく解説したいと思います。

 

このように大人気ファンドである女性活躍応援ファンドファンド「椿」ですが、果たして本当にそこまで人気が出るほど魅力的な投資信託だったのでしょうか?

ここでは、人気ファンド「椿」の投資戦略や実績から、本質的な価値を紐解いていきたいと思います。

 

女性活躍応援ファンド(愛称:椿)の基本情報

  • 商品名:女性活躍ファンド(愛称:椿)
  • ファンドの目的:わが国の株式の中から、女性の活躍より成長することが期待される企業に投資し、信託財産の成長を目指します。
  • 商品分類:追加型投信/国内/株式
  • 信託期間:2015年3月31日〜2025年3月19日
  • 購入時手数料:販売会社が定める率〈上限:2.16%(税抜き2.0%)〉
  • 信託財産留保額:なし
  • 運用管理費用(信託報酬):年1.566%(税抜き1.45%)
  • 委託会社:大和証券投資信託委託株式会社

参考:女性活躍応援ファンド 投資信託説明書(投資目論見書)
http://www.daiwa-am.co.jp/funds/doc_open/fund_doc_open.php?code=3256&type=1

 

ファンドの価値を検証する

あらかじめ断っておきますが、私は女性が働く企業や社会を否定するつもりはありませんし、むしろ特に日本のように人口が減少している社会においては積極的に女性の社会進出を支援するべきだと考えています。

もちろん、女性の登用が上手く行っている企業に投資し、応援することを否定するつもりもありません。

 

ですが、それ(女性の活躍を応援)をテーマにしたファンドでの運用を考えたときに、それが利益になるかどうかを判断するとなると話は別です。

女性が活躍する企業を応援したくて、社会のために投資するのであれば話は別ですが、投資信託で運用をするのであれば、自分の利益になる(儲かる)ことが重要でしょう。

 

ここでは、当ファンドに投資をすることで利益を得られるのかどうか、という観点で以下の3つのポイントからファンドの価値・魅力度を評価していきたいと思います。

・投資戦略(ポリシー)
・投資先の選定基準
・パフォーマンス(実績)

 

投資戦略(ポリシー)

女性企業応援ファンド「椿」の投資戦略は以下の通りです。

出典:女性活躍応援ファンド(愛称:椿) / 大和証券投資信託委託株式会社
http://www.daiwa-am.co.jp/special/tsubaki/index.html

わが国の株式の中から、女性の活躍より成長することが期待される企業に投資し、信託財産の成長を目指します。

 

「女性の活躍により成長することが期待される企業」と聞くと、聞こえは良いですが、きちんと考えてみると一体どんな企業に投資するのか不明な点が多くあります。

当ファンドでは、女性の活躍は大きく以下の4つに分けられています。

・(社内で)女性の活躍を推進
・女性の社会進出をサポート
・女性向け商品の提供
・(女性の)所得増加の恩恵

出典:女性活躍応援ファンド(愛称:椿) / 大和証券投資信託委託株式会社
http://www.daiwa-am.co.jp/special/tsubaki/index.html

 

そもそもこれらの4種類の銘柄を同じように運用してよいのでしょうか?

これら4つの特色はいずれも「女性」には関わっているものの、それらの業績の伸びに関係があるのかというとそうとは言い切れないでしょう。

 

そもそも

・社内で女性が活躍する → その企業の業績が伸びる
・女性の活躍が求められる → それをサポートする企業の業績が伸びる
・女性が活躍する(した) → 所得、消費が増え、関連商品&サービスが伸びる

の、どのロジックに期待をしているのかもわかりません。これらを明確にしなければ、本当に儲かるものに投資しようとしているのか判断もできません。

 

「女性の活躍を応援!」という耳障りのいい言葉に惑わされてしまいますが、実は何に(どんなものに期待して)投資しているのかはっきりとしていないのです。

 

投資先の選定基準

そもそも「どんな企業に投資したいのか」という理念(ポリシー)が定まっていないという話をしましたが、これら4つのポイントを重視したとして、具体的な投資先の銘柄はどのように選定されているのでしょうか。

女性が(社内で)活躍している企業であれば、

・女性の正社員率、役員比率が〇〇%以上
・産休、育休の取得率が〇〇%以上
・社内に託児所制度がある
・"明らかに"女性向けの商品/サービスを提供している

などといった客観的な基準を元に投資先を選定しているべきだと思います。

 

また、銘柄の選定こそファンドの仕事の"肝"であり、ここにファンドの特色や個性、実力が発揮されるとも言えます。

 

しかし、参考銘柄として挙げられているのは、「なでしこ銘柄」や「えるぼし」認定企業など、行政によって評価・認定された銘柄ばかりです。

これらの銘柄に投資するだけであれば、自分でなでしこ銘柄を調べればこと足ります(なでしこ銘柄は経済産業省のHPで対象企業が全て公開されています)女性活躍に優れた上場企業を選定「なでしこ銘柄」(METI/経済産業省)

 

また、(社内での女性の活躍ではなく)女性が活躍する世の中になることで業績が伸びると期待されている企業も、アルバイト求人サービスや美容機器のメーカー、海外旅行関連など、本当に女性が活躍することで業績が伸びるのかは怪しいものがあります。

 

女性の正社員雇用が増えれば、パートやアルバイトは減るかもしれませんし、ビジネスの第一線でバリバリ働く人が増えれば、美容よりも女性用のビジネス用品などの方が売上が伸びる気もします。

女性は旅行にお金を費やす傾向があるようですが、ここで挙げられている企業は、旅行での贅沢によって利益が上がるようなものではなく、Wi-Fiのレンタルなどを事業としている企業です(女性の消費によって支えられているサービスなのでしょうか?)。

 

いずれの企業も、決して悪い会社ではありませんが、女性の活躍との関連が高いかは疑問が残ります。

銘柄の選定ルール・参考企業共に、このファンドを通じて投資する意味は見出せませんでした。

 

パフォーマンス(実績)

ポリシー・投資先共に疑問が残りましたが、とは言え実績(利益)があるのであれば、ひとまず問題ありません。

最後に設定来のパフォーマンスを確認してみましょう。

出典:女性活躍応援ファンド(愛称:椿) / 大和証券投資信託委託株式会社
http://www.daiwa-am.co.jp/special/tsubaki/index.html

 

2015年の3月に設定された当ファンドは、約3年(2018年の3月末時点)で、+75%とまずまずのパフォーマンスを見せています。値動きについてもボラティリティ(振れ幅)が小さく、安定していると評価してよいでしょう。

一見すると十分なパフォーマンスにも見えますが、少し視点を変えて分析してみましょう。

 

投資信託の交付目論見書を見ると、組み入れ銘柄の内、上位10銘柄が公開されています。当ファンドの2018年3月20日時点での、上位10銘柄は以下の10種です。

参考:女性活躍応援ファンド(愛称:椿) 交付運用報告書 
http://www.daiwa-am.co.jp/funds/doc_open/fund_doc_open.php?code=3256&type=4

 

これら10銘柄を2015年3月から2018年3月までの3年間、上記と同じ割合で保有した場合のパフォーマンスは以下のようになります。 ※期間の途中で上場した株式については、その時点から保有しています。

 

すると上記のように、+240%超(3.4倍以上)にもなるのです。

この差が、手数料やその他のコストによるものなのか、これら10銘柄以外(1つ1つの割合は小さくとも全体の72%を占める160以上の銘柄)のパフォーマンスによるものなのかはわかりませんが、2倍近い差が現れているのは事実です。

 

具体的にどの企業に投資しているのかが明らかになっているのであれば、ファンドを利用せずともそれ以上のリターンを自分で生み出すことができます。

 

 

本当に投資価値は高かったのか

ここまで見てきたように、女性活躍応援企業ファンド「椿」に投資せずとも、なでしこ銘柄やえるぼし認定企業を探し出せば、当ファンドと変わらない企業に投資することができます(もちろん、数多くあるこれらの企業について、財務状況などの分析をして絞り込む必要はありますが...)。

 

また、具体的な銘柄についても、ファンドが組成している上位10銘柄に同じように投資するだけで、ファンド以上のリターンを得ることも可能なように思えます。

 

銘柄選定やパフォーマンス(実利益)を考えた時に、このファンドに投資する価値があるとは思えませんでした。

資金が集まりすぎたという理由で、販売停止にはなってしまいましたが、悲観する必要もなく、自身で同質の運用をすることが可能でしょう。

 

ただし、これらはあくまでも「投資として利益を得る」という視点で評価した場合です。

「女性の活躍する企業を応援したい!」「女性の活躍する社会に貢献したい!」と考えている場合は、このようなファンドを購入することを通じて、社会的な価値に投資してもよいかもしれません。

 

「女性が活躍する!」ということに投資するという観点は、決して悪いものではないと思いますが、手数料を払ってプロ(専門家)の知恵や労力を買うと考えると、当ファンドの価値には疑問が残ります。

 

当サイトでは、これ以外にも様々なファンド(投資信託)の分析・評価をしています。その中から厳選したおすすめファンドもまとめているので興味のある人はぜひ参考にしてみてください。

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