投資初心者がよく陥る悩みに、
「投資信託を買ったはいいものの、いつ売ったらいいのか"売り時"が分からない」というものがあります。
なんとなく勢いで投資を初めてみたはいいものの、そのままズルズルといってしまい、運用とは呼べないような状態になってしまっている人も少なくありません。
値上がりしているときは「もうちょっと」という気持ちが強くなりますし、値下がりしているときは「そのうち回復するはず」と、いつまでも売買の判断を下せなくなってしまうものです。
今回は投資信託の「売り時」について考えてみましょう。
目次
買ってから売り時を悩んでいるようではダメ
「投資信託を買ってから、売り時を悩んでいるようではダメ」なんです。
投資信託を売れないと悩んでいる方には、次のような方が多いのではないでしょうか。
「値上がりして、利益が出てるけど、今後さらに上昇するのでは!!」
「損が出てるから売るに売れない、いつかは買値に戻るはず」
これらは、残念ながらあなたの「願望」であり、ほとんどの場合は希望の通りにことは進みません。結果、ほとんどの人は「いつか上がるんじゃないか」「さらに上がるんじゃないか」と想いを馳せながら保有し続けることになってしまうのです。
また、世界経済や、米中の貿易摩擦、トランプ大統領の発言、、、などと色々なことを調べても、結局あなたの投資信託の売り時は分かりません。
でも、安心して下さい。これは、あなただけではなくほとんどの人がそういう状態になってしまうのです。
これには「行動心理学」的にちゃんとした理由があります。
人は合理的に判断できない生き物である
人間の欲望は果てしない
人間は自分が思っているよりもついつい感情的になってしまう生き物です。特に、お金といった損得が絡むと、ますます合理的な判断を下すことは難しくなってしまいます。
自分は大人だし冷静に判断できるよと思われるかもしれませんが、一つ質問させてください。
「今あなたがお持ちの投資信託で利益がでてるものをすぐに売却することができますか?」
答えに詰まった方も多いのではないでしょうか。
「今、5%の利益だし売ってもしょうがないな」
「今、20%の利益が出てるから、50%くらいになってもおかしくないのでは」
「2倍まで増えたんだから5倍や10倍も夢ではない?」
こういった気持ちが邪魔をして、なかなか「売る」という決断ができなくなってしまうのです。人間の欲望は限りなく、多少利益が出ていてもまだまだ上昇するハズだと、つい願望を持ってしまうのです。
そう、人間の欲望には終わりがないのです。これは、誰にでも起こる気持ちです。
とにかく損をしたくない!「プロスペクト理論」
一方で、損失が出てる場合も中々「売る」という決断を下すことができません。利益が出ているときより難しいと言えます。
先ほどは利益が出ているケースを想定しましたが、今度は値下がりして含み損が出ているときのことを考えてみましょう。そんな人に
「今あなたがお持ちの投資信託で損失がでてるものをすぐに売却することができますか?」
と尋ねてみたいと思います。
ほとんどの人が、再び答えに詰まってしまうのではないでしょうか。
これは、行動心理学的の「プロスペクト理論」と呼ばれる理論が関係しています。
「プロスペクト理論」は、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)とエイモス・ドベルスキー(Amos Tversky)によって考案されたもので、同じ金額の場合、利益よりも損失の方が印象的に大きくなってしまうというものです。
つまり、人間はとにかく損をしたくない生き物なのです!
出典:実践・行動心理学!プロスペクト理論で購買機会を増やそう | エビスマーケティングカレッジ-EBIS MARKETING COLLEGE
https://blog.ebis.ne.jp/attract/increase-the-purchasing-opportunity-use-prospect-theory/
「5%損失が出てるなぁ、このくらいは誤差かな」
「10%損失が出てる、これくらいならすぐに戻るから大丈夫」
「20%、もう諦めて売った方が良いのかな?でも売った後に戻っちゃったらイヤだな」
「30%、一時的だよね?すぐに戻るハズ。。。戻るよね?」
「50%、ウソでしょ。。。もう知らない。」
こうなってしまってはもう売れません。こうやって、塩漬けの投資信託がどんどん生まれていってしまうのです。
「投資信託の売り時」は買う前にプランニングしておこう
損切りのラインは20%
今まで見てきたように、投資信託を保有してから、状況に応じて「売り時」を考えていのでは冷静な状態で判断することは出来ません。
重要なのは、投資信託を買う前に、
- いくらまで下がったら損切りをして
- いくらまで上がったら利確をしよう
というプランニングをしておくことです。
「利確10%損切り5%」などという格言もありますが、これは「利益が10%出たら売却、含み損が5%を超えても売却する」という、投資のセオリーの一つです。
株式のように、株式価値を正確に見積もることができるのであれば「〇〇円まで到達したら売却」などと設定しても良いでしょうが、投資信託の場合は難しいでしょう。
まずは、割合で設定するところからはじめましょう。
投資信託を買った時にあなたの成功の可否は決まっている
「そうはいっても損失を確定させるのが嫌だ」という方は、残念ながら自力での運用を諦めて下さい。
あなたの投資が上手くいくかどうかは、あなたがその銘柄を買った時に決まってしまっています。投資信託を購入した後に色々考えても遅いのです。
基準価格が5%も下がってしまったのなら、その投資信託を選択したことはミスだったと潔く諦め、別の商品に投資をした方が効率よく資産を活用できるでしょう。
自分で売買するのが難しい人は専門のサービスを活用するのもおすすめ
とはいえ、実際に大切な資産を運用していると、決めたつもりがなかなか実践に移せないのが"人"というものです。資産運用を成功させたいのであれば、そこを乗り越える冷静な判断力と精神力が求められます。
もし自信がないという人は、自分自身で投資することだけを検討せずに、運用を任せられる専門のサービスを活用することをおすすめします。
富裕層向けの資産運用サービスであるヘッジファンドは、投資のプロであるファンドマネージャに資産を預け投資を一任するものです。ヘッジファンドのファンドマネージャは、一流の投資家であり、冷静に合理的な判断の元、投資をする能力があります。
日本ではまだまだ馴染みがないかもしれませんが、少しずつ出資のハードルも下がり、一般的なものになってきました。具体的にヘッジファンドがどういったものか気になる方は次の記事も参考にしてみて下さい。