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GWの投資は注意が必要
ゴールデンウィークが近づいてきています。今回(2019年)のゴールデンウィークは、平成から令和に元号が変わる節目でもあり、例年にも増して長い連休となっています。
5月1日が「即位の日」として特別に祝日になり、前後も休日となった結果、4月26日〜5月6日まで10日間もの大型連休なのです。
旅行などを考えている人も少なくないとは思いますが、この連休中に溜まっていた仕事を片付けたり、趣味に費やしたり、何か新しいことを始めたいと考えている人もいるでしょう。
この期間に、興味のあった投資を始めてみよういう人もいるはずです。
確かにまとまった時間は新しいことを始めるのに適していますが、クリスマスや、年末年始、ブラックマンデーをはじめ、GWのような連休の前後は普段とは異なる点があるため注意が必要です。
既に投資をしている人も、これから投資を始めようと考えている人も、注意しなければならない3つのポイントを整理していきます。
GW前後の相場の3つのポイント
日本の市場は閉まっている
株式投資をしている人にとっては当然の話かもしれませんが、GWは日本の株式市場は閉まっており、売買をすることはできません。
日本の証券取引所は、平日の9:00~15:00(休憩が11:30~12:30)でしか開かれておらず、24時間365日自由に売買できるわけではないのです(注文はできますが)。
まだ、実際に売買をしたことがない人は、ついつい見落としてしまいがちなポイントなので注意をしてください。
しかし、GWなど関係のない海外の取引所は土日を除いて開いていますし、もちろん世界の経済は常に動いています(GWは世界的な休暇でなく、日本特有の連休です)。
5月の頭には、FOMC(連邦公開市場委員会)によって、アメリカの4月の雇用統計や5月以降の経済政策なども発表されます。
当然のことながら、この発表には世界中の投資家が注目しており、アメリカだけでなく世界中の経済に大きな影響を与えるのです。
つまり、株価が動く要素は着々と溜まっているのです。そのため、GW連休明けには取引が活発になり相場が大きく荒れることも想定されます。
そういった動きを懸念した投資家に一定の動きが生まれ、相場の動きにも次に挙げるような特徴が見られるのです。
連休前は利確狙いで下がりがち
連休のうちに経済が荒れてしまい、連休明けに損をすることがないように、連休前に「利確」すなわち、株式を売却して現金化してしまおうという投資家も少なくありません。
つまり売り注文が増加するため、株価が少し下がることが予想されます。
しかし、その際に売りに出る投資家は消極的なタイプのため、市場には積極的でアクティブな投資家だけが残ることになり、連休の中日には、跳ね返りで株価が上がる傾向もあります。
ちなみに昨年2018年は4月28~30日の3連休と5月3~6日の4連休にGWが別れていたため、中日の5月1日, 2日には株価が反発しています(2019年ははGWに切れ目がないため関係ありませんが...)。
もちろん株価が決まる要素はこれだけではなく、そもそもの経済情勢なども大きく関わるため一概には言えませんが、一つの特徴として覚えておいて損はありません。
円高になりやすい
GW前後には円高に振れやすいという傾向もあります。過去10年の為替の推移を確認してみましょう。
連休前 | 連休明け | 連休後 | 円高/円安 | |
2018年 | 109.05 円/ドル (4月27日) |
109.09 円/ドル (5月7日) |
109.39 円/ドル (5月11日) |
ー |
2017年 | 111.55 円/ドル (4月28日) |
113.25円/ドル (5月8日) |
113.34 円/ドル (5月12日) |
円安 |
2016年 | 106.36 円/ドル (4月29日) |
107.12 円/ドル (5月7日) |
109.03 円/ドル (5月12日) |
円安 |
2015年 | 120.17 円/ドル (5月1日) |
120.14 円/ドル (5月4日) |
119.81 円/ドル (5月8日) |
ー |
2014年 | 102.02円/ドル (4月28日) |
102.14 円/ドル (5月5日) |
101.86 円/ドル (5月9日) |
円高 |
2013年 | 97.33円/ドル (4月29日) |
99.02円/ドル (5月7日) |
101.61 円/ドル (5月10日) |
円安 |
2012年 | 81.32円/ドル (4月25日) |
79.85 円/ドル (5月4日) |
79.96円/ドル (5月11日) |
円高 |
2011年 | 82.7円/ドル (4月27日) |
79.57円/ドル (5月5日) |
80.17 円/ドル (5月9日) |
円高 |
2010年 | 93.86 円/ドル (4月30日) |
94.9円/ドル (5月5日) |
87.9円円/ドル (5月6日) |
円高 |
2009年 | 99.57円/ドル (5月1日) |
99.7円/ドル (5月5日) |
94.7円/ドル (5月15日) |
円高 |
参考:USD JPY 過去データ - Investing.com
https://jp.investing.com/currencies/usd-jpy-historical-data
2009年から2018年の10年間で見ると
- 円高:5回
- 円安:2回
- ほぼ横ばい:3回
と確かに円高になる回数の方が多くなっています。
原因としては、アメリカでも売りが先行する(「May in Sell(5月に株を売れ)」というアメリカの投資家に広がる格言)ことや、日本の市場が停滞することを見越して海外の投資家が参入してくることなどが考えられますが、それらに加えて過去のデータを見ても、円高になる可能性が高いことが経験則的に知られています(これを「アノマリー」と言います)。
円高に触れると、その分日経平均などの値も下がることが予想されるだけでなく、自動車をはじめ輸出企業の業績には向かい風となります。為替だけを見ても、株価が大きく動くことが予想されるため注意しておきましょう。
さいごに - 投資家が気をつけたいこと -
このように、GWのような連休の前後には相場が大きく荒れることが予想されます。それだけでなく、日本で一般的な3月決算の会社の多くが4月末〜5月中旬に決算発表をするため、その内容(事業計画や経営目標など)によって、株価が左右されます。
市場全体だけでなく、個社単位で見ても株価が大きく動く可能性は様々あるのです。
重要なのは慌てずにじっくりと構えられる備えをすることです。せっかくのGWに株価に気を揉んで、休みを満喫できなくなってしまうのは残念です。
長期の休みを利用して、投資を始める準備をする(口座を開設したり、投資先の企業の調査をしたりなど)のには賛成ですが、慌てて変な銘柄に手を出したりしないように注意しましょう。