NISAとは
株式や投資信託で運用をしている人ならば、必ず知っておきたいのが「NISA(少額投資非課税制度)」です。NISAは、その名の通り、投資で得た利益にかかる税金がゼロ(非課税)になる制度で、うまく活用することで投資家にとって大きなメリットがあります。
非課税にすることができるのは、年間120万円まで、最長で5年間という制限がありますが、最大で600万円までNISAで運用することができます。また、満期の5年間を迎えた後には、一般の口座(課税口座)に移行することも、売却することもできますし、翌年の非課税対象枠にロールオーバーすることもできます。
NISAの口座を開設できるのは、1人1口座、その年の1月1日時点で20歳以上、日本に在住している人に限り、投資可能期間は2014年~2023年です。
出典:NISAの概要:金融庁
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa/overview/index.html
NISAの仕組みについて簡単にまとめると以上のようになります。
一見すると、メリットしかないように見えるNISAですが、実はあまり知られていない注意点もあります。しっかりと制度を理解して、十二分に活用できるようにしましょう。
NISAのメリット
まずは、NISAのメリットからです。先述の通り、投資で得られる利益が非課税になるというものですが、どういうことなのか具体的に掘り下げていきましょう。
仮に100万円を1年間運用して「100万円→110万円(+10%)」の成果を得られたとします。この投資で得た「10万円」の利益について、一般には20.135%課税されるため、
10万円 × 20.135% ≒ 2万円
を納税しなければいけません。
つまり、投資で+10%の成果を出しても、手元には8万円しか残らないのです。
ですが、これをNISAで運用していれば「非課税」となるので、10万円の利益を丸々手にすることができます。
これがNISAのメリットです。20%の課税がゼロになるということは、投資の実質的な利回りを1.25倍(100% ÷80%)にしているのと同じだけの効果があります。
NISAの限度額120万円を5年間、600万円を運用し、+10%(60万円)のリターンを得たとすると、
60万円 × 20.135% ≒ 12万円
も手元に残る金額は変わってきます。
もちろん、より大きなパフォーマンスを得られれば、NISAによるメリットも大きくなります。NISAは2023年までですが、2019年から始めれば、最長の5年間活用することができます。来年が、NISAを最大限活用するための最後のチャンスです。
NISA活用時の注意点
NISAにはメリットばかりではなく、実は活用の際の注意点があります。NISAでは「損益通算」も「損益繰越」もできません。これらがどのように不利になるのかそれぞれ見ていきましょう。
デメリット①:損益通算ができない
NISAの枠は年間120万円(5年間で600万円)と定められているため、十分な資産がある人は、NISA"外"でも運用をしている可能性が多分にあります。例えば、運用資金が1,000万円の人は、NISA"外"で400万円を運用する必要があります。
NISAを活用せずに運用していれば、運用で得た利益は全て合算して処理することができます。
600万円→540万円(-10%)、400万円→480万円(+20%)となった場合、+60万円に対して課税するのではなく、-60万円と+80万円を合算した+20万円に対してのみ課税されます(投資で得た利益は1,000万円→1,020万円の20万円なのですから当然ですね)
ですが、この600万円をNISAで運用していた場合、-60万円と+80万円を合算することができません。つまり、+80万円に対して20.315%(約16万円)が課税されてしまうのです。
NISA以外でも運用する予定のある人はこの点に注意しなければいけません。NISA枠で投資するものは「必ず利益になるもの」を選ばなければいけないのです。
これは決して簡単なことではありません。確実に利益を得られるものがわかれば、誰も投資・運用で苦労はしません。NISAを活用する際には「損益通算できないということ」を十分注意しなければいけません。
デメリット②:損益繰越ができない
また、NISAのみで運用している場合でも注意が必要な場合があります。
100万円を元手に、それが90万円に減ってしまったとしましょう。もちろんこの「-10万円」に課税はされません。この90万円を、翌年100万円に「戻した」としても"一般には"課税されません。
100万円(元手)→90万円(1年後)→100万円(2年後)と上げ下げをしているだけで、利益を得られていないのですから当然です。1年目も「-10万円」と2年目の「+10万円」を合算することを、「損益繰越(前年の損失を翌年の利益から控除すること。3年間が上限)」と言いますが、NISAを活用するとこの「損益繰越」ができません。
NISAで100万円を90万円に減らしてしまうと、その損失の10万円は"確定"してしまいます。翌年以降もNISAで運用できるのであれば問題ありませんが、NISAには適用期間の限界が存在します。
仮にこの90万円を一般口座に移し、100万円に「戻した」とすると、この+10万円に対して課税されてしまうのです。元の100万円に戻しただけなのに、20.315%の課税で約2万円を納税すると、元本を下回る98万円しか手元に残りません(課税分、損をします)。
出典:5年間非課税のNISA。デメリットとメリットを知って賢く利用しよう
https://ニーサ比較jp/nisa/nisaニーサのメリットばかり強調されるけど.html
このように、NISAを活用する場合には、適用期間やその後の繰越にも注意しなければならないのです。先述の通り、NISAは2023年(5年後)に終わりを迎えるので、ますます緊張感は高まってきます。
NISAにおすすめの証券会社
このように注意点もあるNISAですが、きちんと活用すればメリットがあることは間違いありません。証券会社でNISAを活用する際の注意点として、取り扱い商品や手数料、取引時間などの差があることです。
NISAの口座を解説するのであれば、やはりSBI証券が最もおすすめできるでしょう。100万以上の口座が開設されている実績があり、ネット証券の中ではNo.1の人気を誇ります。
投資信託だけでなく、ミニ株やIPOなどにも対応しており、手数料も無料とまさに言うことなしです。
NISAに限らず、制度や仕組みには、メリットだけでなく必ず注意しなければならない点が存在します。何かしらの制度を活用する際には、必ずきちんと調べるか、有識者・専門家などに相談するなどして、正しく注意点まで理解できるようにしましょう。