投資を始めた直後の人であれば、どのような聡明な人でも失敗をしてしまうものです。

投資というのはそれほど難しく、億の深いものなのです。

今回は、財務省、マッキンゼーを経てウェルスナビを創業した柴山和久さんも、実際に投資をはじめた頃は失敗の連続だったと言います。

彼のような素晴らしい経歴の方でも最初はうまくいかないものなのですね。

実際の体験談を参考に、投資の初心者がやってしまいがちな代表的な失敗例を見てみましょう。

 

失敗1:銀行の特別な待遇に舞い上がってしまう

柴山さんが最初に投資を始めたのは、ボストンから日本へと帰国するタイミングだったそうです。

もう日本に戻るので残ったお金を日本へ送金し口座を解約したいと、ボストンのとある銀行の支店に伝えたところ、営業員が急ににこやかになり、彼は銀行の2階の部屋へ案内されました。

そこは、資産運用についての説明をする特別な部屋だったのです。

銀行というのは、通常の出入金の業務を行うフロア(通常、1階)の他に、ある程度資産がある方に資産運用をおすすめするための部屋が設置されています。

つまり、営業をするための空間ということです。

柴山さんはこの金融商品を売るための部屋に一度も入ったことがなかったそうで、そのラグジュアリーな空気感に感動したと言います。

さらに、おすすめされた投資信託もなかなか安心できそうだと判断した為、彼は結局口座に入っていた30万円のお金を、すべて投資信託として運用することにしました。

 

しかし、それからというもの投資信託の価格は下がり続け、毎年損が出るようになったそうです。

数年後に解約したそうですが、その頃には、「本人ですら、一体どのような運用を行う投資信託だったか覚えていない」というありさまだったとのこと。

銀行員の雰囲気に流されて投資先を決めるというのは、初心者がやってしまいがちな、最もアルアルな失敗だと思います。

 

失敗2:過去のリターンの実績が良い投資信託を選んでしまう

柴山さんは、この銀行の雰囲気にやられてしまった経験を生かし、次に、過去のリターン実績の高い投資信託を選んで投資を開始したそうです。

この投資は、60万円ほどを投入したそうですが、購入した投資信託は、「アメリカの伝統ある資産運用会社が運用する日本の小型株」をメインの投資先としていました。

小型株に興味があったわけではなく、この投資信託が一番過去の運用成績が良かったので、これに決めたそうです。

さて、こちらの投資信託ですが、結果から言うと一つ目の投資信託以上の損失(数十パーセント以上の損失)を出し、数年内に完全に資金を引き上げたとのことです。

なぜこのような結果になってしまったのでしょうか。

 

詳しく投資信託の中をみてみると、日本における小型株の中でもこの投資信託は創業間も無いIT企業を中心としてポートフォリオが組まれていたのでした。

過去のリターンが高かったのは、これらのうち一部のIT企業の株価が異常なほど高騰していたからだったそうです。

つまり、投資している数百銘柄のうちいくつかが異常なほどの値上がりをみせ、全体として成長しているように見えていたのです。

簡単な話、この投資信託というのは、「テーマ型投信」だったのです。

権威ある米国の運用機関が投資する日本の小型株、と書かれていたのですが実態としては「中小のIT株投資」だったということになります。

さて、「テーマ型投信」の危険性は、このサイトでも何度も指摘していますが、柴山さんはまさにテーマ型投信の一番危険なタイミングであるブームの真っ只中に掴まされてしまいました。

柴山さんの投資後、IT企業のブームは完全に過ぎ去り、この投資信託の投資しているすべての企業の株価が、軒並み下がっていったのです。

 

過去の投資実績をもとにして投資信託を買う、というのがどれだけ危険なことか、お分かり頂けたかと思います。

過去に良い成績を出しているからその投資信託がその後も上がり続ける、ということは成り立たないのです。

 

失敗3:銀行の名前で投資信託を選んでしまう

柴山さんがテーマ型投資信託と同時に投資を行ったのは、全世界の資産に分散して投資する、バランス型の投資信託でした。

このような全世界型と呼ばれるようなバランス型の投資信託には色々な種類がありますが、柴山さんは銀行の名前を冠しているものを選んだそうです。

やはり有名な銀行の名前が商品の中に入っていると安心感もありますし、同じような全世界型の商品であればネームバリューのあるものを選びたくなる気持ちもわかります。

この全世界型投資信託の中でも柴山さんが選択したのは債券中心のもので、年に数パーセントという、大きくはないものの最低限の利回りを続けていたと言います。

何が失敗だったのかと言うと、この投資信託が突然、運用を続けていけないという状況になり「早期償還」といって手元に現金が戻ってきてしまったことです。

現金が戻ってきただけなので、これだけで損失が出たわけではありませんが、機会の損失や心理的なショック、また税金の面まで考えるとやはりネガティブな影響は無視できません。

 

このように投資信託が運用をやめてしまうことというのは、実はよくあることなのです。

例え大手の銀行の名前がついているような一見安心感のあるような投資信託でも、ある日突然ぱたりと運用をやめてしまうことはあります。

これは投資信託というもの自体が、金融機関にとってはそれぞれがコストの発生するプロジェクトであり、そこからお金が取れないようであれば事業として運営をしていくことができないからです。

投資信託における主なコストとは、投資先の選定にともなう人的リソースの確保、システム等のアップデート、顧客の資産保全、顧客管理、等々です。

これらのコストが発生しながら、大手であるほど顧客からとる手数料を下げることにこだわり、それによって結局採算が合わなくなってしまい一つの投資信託というプロジェクトが閉じる、ということが起こります。

銀行名がついているかどうか、という視点で投資信託を選ぶというのはあまり本質的ではないのです。

 

失敗4:オススメされた株を買ってしまう

投資信託での失敗に懲りた柴山さんは、財務省の出向でイギリスにいた頃に、株式に投資をします。

この株式投資は、自分が利用している銀行からきた案内に基づいて行ったそうです。

「あなたにおすすめの株はこちら」という案内がメールできていて、それに従う形でとある個別銘柄に投資を行ったのです。そして、この株式投資も大きく失敗に終わります。

数年後、財務省をやめてビジネススクールに通っていた柴山さんは、授業のケーススタディとしてこの、かつて株式投資をしていた企業に再び出会ったそうです。

そこでの分析によれば、ストックオプションの価値の希薄化によって従業員のモチベーションが下がり、業績不振におちいることでさらに従業員のモチベーションが下がるという負のスパイラルに入っている企業の典型とのこと。

当時の柴山さんは、そのようなことを何も知らずに投資をしていたのです。

恐らく銀行は悪い商品を売りつけてやろうという悪意があったわけでなく、ただ単に彼らとしても全くの無知だったということなのでしょう。

例え大手の企業であったとしても、会社の内部まで正確に理解するということはなかなかに難しいことです。

オススメされたからといって迂闊に個別銘柄に投資してしまうというのは非常に危険なのです。

 

まとめ

財務省、マッキンゼーというキャリアを経てウェルスナビを起業した杉山さんですら、投資の素人だった頃には様々な失敗をしてきたことがお分かり頂けたかと思います。

銀行におすすめされた投資信託を買ってしまう。なんとなく過去のリターンの高い投資信託を買ってしまう。こういった安易な判断というのは、杉山さんに限らず皆さんにもあることなのではないでしょうか。

投資というのは、フワっとした表面的な情報で行うのは禁物です。

自分でしっかり勉強するか、本当に投資のプロと呼ばれるような人に任せてみるか、このどちらかが長期的に勝ち続ける方法だと言えるでしょう。

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