投資経験の全くない初心者の方から、時々「投資信託って何パーセントくらいの利回りになるんですか?」と聞かれることがあります。

 

もちろん、投資信託で運用したことのある方なら、「そんなの商品によりけりだから一概には言えない」ということをご存知でしょう。しかし、こういった初心者の方の感覚は実は非常に重要です。

 

なぜかと言うと、多くの個人投資家が、自分の投資における適正な利回りというものを理解していないからです。

ほとんどの人は、「とにかく儲けられるだけ儲けたい」としか思っていません。そして、このように自分の目指す利回りを具体的に設定しない投資は多くの場合失敗に終わります。

今回は、個人投資家が資産運用する際に目標とするべき適正な利回りについて考えてみましょう。

 

年利20%超えの目標は、アリ?

「こちらの商品は昨年、20%以上の利回りが出ました。いま非常に注目が集まっている投資信託です。」

このように銀行の窓口や証券会社の担当者から高い利回りの商品を提示された時、あなたはどう思うでしょうか?

最近は世界的に株式市場が好調ですし、テーマ型ファンドや新興国系のファンドで高い利回りを出すものもあるので、単年で20%超えという商品はしばしば見られます。

 

しかし、「年20%」という利回りを、10年以上に渡って成し遂げることは容易ではありません。20年以上、ずっと20%超えという利回りを記録することは、まず起こりえないと思った方が良いでしょう。

以下は、100万円を元手に年利20%で運用すると、どのように増えていくかを示したものです。

初年度 100万円
1年目 120万円
2年目 144万円
3年目 173万円
4年目 207万円 元本の2倍!
5年目 249万円
6年目 299万円
7年目 358万円
8年目 430万円
9年目 516万円 元本の5倍!
10年目 619万円
11年目 743万円
12年目 892万円
13年目 1,070万円 元本の10倍!
14年目 1,284万円
15年目 1,541万円
16年目 1,849万円
17年目 2,219万円 元本の20倍!
18年目 2,662万円
19年目 3,195万円 元本の30倍!
20年目 3,833万円

 

こんな運用がほとんど不可能なことが感覚的にも理解いただけるはずです。

年利20%という利回りが継続されれば、20年目には初期値の約40倍に当たる、3,800万円という金額にまで膨れ上がることになります。

 

ちなみに、投資の神様と言われたウォーレン・バフェット氏(Warren Edward Buffett)が率いるファンドのパフォーマンスが平均で約22%です。彼はこの利回りを37年に渡って成し遂げました。

バフェットにお金を100万円預けていたら、なんと37年後には18億円になっている計算です。投資の世界で歴史上トップの選手で、年22%ということはよく覚えておいて下さい。

 

年間で20%以上のパフォーマンスを記録する金融商品は確かに存在します。ですが、それが長い期間継続することはまずあり得ません。

資産運用で重要なのは、安定した利回りで長期にわたって継続的に運用していくことです。たとえ単年の利回りは大きくなくとも、安定して運用していれば、複利の効果で雪だるましきに資産が増えていくことは先述の通りです。

30%超えの年もあるが、マイナス20%の年もある、というようなリスクの高い資産は資産運用には向いていません。

あなたがよほど優れた先見の明を持ち投資の歴史に名を刻むような人でもない限り、自身の運用の目標を年20%などとはしない方が賢明です。

 

年3%以下の低い目標はどうか

高すぎる利回りは現実味がなく、不必要だということがわかりました。では、反対に年2%, 3%といった、低い利回りの目標はどうでしょうか?

 

これは、数億円といった資産が、あり、極端に低い利回りでも充分と考えている場合を除き、やはりよくない目標です。

まず、基本的な問題として、全世界の経済成長率は平均で3%になると言われています。そして株式市場の成長率は非常に長い期間でみるとこれと同等の値に収束していくと考えられています。

つまり、理論上、世界中の株を適当に持っても3%の利回りは期待ができるということです。

 

「世界経済の成長」という漠然とした言い方をしましたが、他の言い方では、「インフレ率」もこの3%という数値に収束します。

つまり、非常に広い意味での、物自体の価値が、年々3%で上がっていくのです。あなたが運用をせずに銀行に現金を寝かせていくと、ずるずると目減りしてしまうのです。

日本の銀行に預けることで得られる金利は0.010%という衝撃的に低いものとなっています。銀行に預けていても、あなたの資産は全く増えず、世界経済に取り残されてしまいます。

 

経済成長率・インフレ率から考えても年3%以下の利回りでは、十分ではありません。極端な話、年間で2%しか利益が得られないのであれば、それは「損をしている」ことと同義なのです。

 

個人投資家の運用の適切な利回り目標は「年5%」

さて、では一般的に資産運用において設定するべき正しい利回りはどの程度なのでしょう。私はその答えは「年5%」だと思っています。世界経済の成長(年3%)プラスアルファくらいのレベルを目標にするということです。

 

「年5%の利回りでは不十分なのでは」「もっとしっかり利益が欲しい」などと考える人もいるでしょう。

しかし、"たった"年5%でも、長い期間安定して運用すると、以下のように資産は増えていきます。

初年度 100万円
1年目 105万円
2年目 110万円
3年目 116万円
4年目 122万円
5年目 128万円
6年目 134万円
7年目 141万円
8年目 148万円
9年目 155万円
10年目 163万円
11年目 171万円
12年目 180万円
13年目 189万円
14年目 198万円
15年目 208万円
16年目 218万円
17年目 229万円
18年目 241万円
19年目 253万円
20年目 265万円

利回り20%の驚異的な数字と比べると見劣りしてしまうかもしれませんが、それでも15年後には投資額が2倍以上になります。仮に40歳で2,000万円を運用すれば、55歳時点で4,000万円を超える計算です。

繰り返しになりますが、資産運用で重要なのは「継続的」に「安定して」「長期運用」することです。このような利回り(年5%)であれば十分に現実的です。

 

一部の優秀なファンドであれば継続的に年10%以上も!?

さて「資産運用の目標は年5%にするべき」と説明しましたが、バフェットのファンドに初期から投資している投資家が年20%超えの利回りを享受できたこともまた事実です。

また、最近では国内でも「ひふみ投信」が、2009年から2018年の10年間で平均利回り17.3%という記録を打ち立てています。

 

つまり、一部の優秀なアクティブファンドで運用すれば、市場平均を大きく越える利回りを期待することが可能なのです。このことは頭の片隅に置いておきましょう。

 

運用開始当時のバフェット氏(バークシャー・ハサウェイ,Berkshire Hathaway Inc.)や、2009年時点での藤野英人氏(ひふみ投信)は、ある種キワモノと言われるような投資家でした。

誰でも最初は実績を積んでいないのですから当然です。彼らにはじめに投資をしたのは、彼らの"人"としての優秀さを信じた人たちでした。

 

もしもあなたが、将来有望と思われるような、優秀なトレーダー(ファンドマネージャ)と知り合う機会があるのであれば、いっそのことそのファンドで運用するのも正解かもしれません。

個人で運用する場合は年5%が適性という話をしてきましたが、「投資で事業を営んでいく」「投資で食べていく」「投資の世界で生きていく」一流のトレーダーであれば、それを上回る実績を記録することも可能でしょう。

 

日本人は、とにかく「知名度」や「実績」「歴史」など、目に見えるもので安易に判断してしまいがちですが、本当に優秀だと思える投資家に運用を託すことは、それ自体が投資の側面も持ち合わせています。

どんなに優秀な人物で合っても、はじめは知名度も実績も持ち合わせてはいないのです。

特にヘッジファンドなどでの運用を検討する場合には、過去の実績だけに囚われず、そのファンドの投資手法や戦略、ファンドマネージャの人としての魅力や優秀さを見極めるようにしましょう。

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