「株主優待」という制度を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。最近ではテレビで特集を組まれて取り上げられる事もあったりと、投資に携わる人だけでなく、一般の間でも認知度が高まっているように思います。

今回はそんな株主優待について考えていきましょう。

 

投資信託は株主優待をもらえない?

株主優待とは

「株主優待」とは、その会社の株を保有している株主にその会社から還元される利益の一つです。

配当のように現金が支給されるのではなく、その会社独自のサービスや自社製品、割引券・優待券など、形式は様々です。優待を受けられるかどうかには条件があり、基準日(権利確定日)にある一定の株数以上を保有していると、優待を受けることができます。

株主優待には、単に株主に利益を還元するためのものではなく、その会社のファンを獲得する効果も期待できます。実際に株主優待を目的に、自分の好きな会社の株式を保有する(株主になる)という方も数多くいらっしゃいます。

 


このように、株を自分で保有していれば株主優待をもらえますが、投資信託では株主優待を受けることはできません。投資信託は、間接的に様々な企業の株式に投資しているにも関わらず、です。

株主優待は、投資信託を運営している会社(正確には資産を保有している信託銀行名義ですが)に付与されることになります。

 

我々の出資した資金で購入した株に対する株主優待の取扱はどうなっているのでしょうか。投資信託協会によると以下のようになっています。

投資信託の株主優待物等について

証券取引所に上場している企業の中で、株主優待制度がある企業の株主になると企業から自社製品や割引券などが送られてきます。電車や飛行機の割引券、映画の鑑賞券など、暮らしに役立つものもあり、株主優待を株式購入の選択肢とされる方も多いようです。

では、投資信託が株主優待制度のある企業の株式を組み入れている場合には、どのような取り扱いとなるのでしょうか。2つのケースが考えられます。

一つ目は、投資信託が独自に株主優待制度を採用する場合です。投資信託の一種であるETFには、一定口数以上を保有している投資家に対して、優待品を提供しているものがあります。投資信託が独自に優待制度を採用することはほとんどないので、極めて珍しいケースです。

二つ目は、投資信託が株主優待制度のある企業の株式を組み入れている場合です。これは、株式を組み入れる投資信託のすべてに当てはまるケースですが、当協会では、規則でその取り扱い方法を定めています。規則の概要は、「◆個別に換金する市場が存在するなど容易に換金できるもの、◆基準価額に影響するなど受益者の利益のため必要と判断されるもの、については、受託銀行と協議の上、換金して投資信託財産に繰り入れることができる。これ以外のもので、株主優待物等を一括して換金できる場合は、受託銀行と協議の上、恣意性を排除した一定の配分方法により信託財産に繰り入れることができる。」とされています。
即ち、換金できる優待物はできるだけ換金をして、基準価額に反映するということです。

 

少し長くなってしまいましたが、要するに「受取った株主優待は出来る限り換金・評価して基準価格に反映する」という内容です。しかし、実際にどの程度換金され、また還元されているのかを正確に知ることはできませんん。

そもそも、簡単には換金できない株主優待もある訳ですから、「投資信託やETFでは基本的に株主優待はもらえず、その分に関して損をしている」と言っても良いかもしれません。

 

株主優待で楽しむ株式投資ライフもあり

楽しそうな株主優待ライフの桐谷さん

先述の通り、単純な株価の推移だけでなく、株主優待を目的に投資している(株主になっている)方も少なくありません。もちろん、これは純粋な利益の追求というよりは、あくまで楽しむためのものです。

 

最近では「桐谷さん」という元棋士の個人投資家の方が、テレビなどによく出演しているのをよく拝見します。彼は、資産価値にして億単位の株式を保有しているトレーダーでありながら、生活の全てを「株主優待」に頼っているという、非常に面白い方です。

出典:「株主優待の桐谷さん」と同じ生活をすることは可能なのか? | 東証マネ部!
https://money-bu-jpx.com/news/article008871/

 

身に着けている衣服から食事まで生活のすべてを株主優待で賄っているそうです。

日々の株主優待情報をチェックしたり、講演をしたりとお忙しくされているようですが、自転車を必死にこぐ姿や謙虚な姿勢でお茶の間の人気者となっているようです。

 

株主優待だけで生活しているなんて、なかなか想像できません。

ここまで徹底されるかどうかは、個人的に興味のある会社やよく使う製品の株を買ってみるのはおススメです。例えば、どんな株主優待があるのか見ていきましょう。

 

色々楽しめる株主優待

日本マクドナルドホールディングス株式会社

出典:株主優待・配当金|個人投資家の皆様へ|IR情報|McDonald's
http://www.mcd-holdings.co.jp/ir/individual/shareholder_benefits/

 

マクドナルドでは、バーガーやサイドメニュー、ドリンクと引き換える事の出来るチケットが届きます。これは、6枚セットで1冊となっています。マクドナルドをよく使う方にとっては、とても使いやすい優待だと思います。

マクドナルドのセットでも高いものだと1,000円弱にはなりますから、1冊あれば5,000円~6,000円程度の価値です。これが、最低単位の100株持っているだけでも、年に2回送られてきます。年間で見ると1万円くらいの価値でしょうか。

株価は大体5,000円前後(2018年10月時点)ですから、100株=50万円で1万円程度の価値、つまり約2%の還元率です。

 

日清食品ホールディングス(株)

出典:株主さまご優待 | 日清食品グループ
https://www.nissin.com/jp/ir/investors/preferential/

 

日清食品では、3,000株以上保有している株主に対して、5,500円相当の製品詰合わせと1,500円相当のオリジナルのグッズを受け取ることができます。

ここ数年の株価が6,000~8,000円程度であることを考えると、20万円分の株式に対して7,000円、つまり、約3~4%程度の還元率です。

しかし、日清の株主優待には、グッズだけでなく、製品にも株主限定のオリジナル品が含まれているようなので、その会社のファンにとっては、それ以上の価値があるかもしれません。

 

株式会社エクセディ

ここまでは、その会社の製品・サービスがそのままもらえるようなものを紹介してきましたが、最後に少し毛色の違うものを紹介しておきましょう。

エクセディという、自動車の部品である変速機や、建設・産業機械用製品などを製造・販売している会社があります。


参考:製品情報
http://www.exedy.com/ja/product/index/

 

この会社は、100株以上の株主に対して3,000円相当のカタログギフトを優待しています。


出典:エクセディ (7278) : 株主優待・優待利回り [EXEDY] - みんなの株式 (みんかぶ)
https://minkabu.jp/stock/7278/yutai

 

カタログの中身は、グルメからファッションまで様々なもので、株主はそこから自由に商品を選ぶことができます。このように、会社の事業とは関係のない株主優待を行っている会社もあります。

ちなみに、株価は2,500~3,000円程度なので、還元率は1~1.2%程度です。

 

株主優待はあくまでもサービス

このように、株主優待には、様々なものがありますが、あくまでもサービスの一貫であり、経済的な価値はそれほど大きくありません。

先ほど、還元率についても概算しましたが、実際には現金のように全てを利用・消費できるとも限らないので、実際の価値はそれ以下になってしまうとも考えられます。

先ほど紹介した桐谷さんは、株主優待だけで生活しているとのことでしたが、数億円単位の株式を保有していれば、年間で数百万円単位の株主優待を受けていることになります。そのため、優待生活ばかりがフューチャーされていますが、実際には株価の変動によって運用している立派な投資家です。

あくまでも、株主に与えられる「おまけ」としての位置付けで問題ないでしょう。

 

やはり、純粋な投資・資産運用がしたいのであれば、きちんと株式価値を分析し、株価の変動によって利益を追求しなければなりません。

優待目的で株を保有することを否定はしませんが、やはりそれだけでは資産を築くことはできません。

 

もし、自分自身で運用するのが難しいというのであれば、ヘッジファンドのような資産運用サービスを活用するのも一つの手段です。こちらは、純粋な株価の推移によってリターンを追求します。

面談による審査や最低額など、出資のハードルもありますが、きちんと投資家に利益が還元されるものです。

 

「最低限の株式を"自分で"保有し株主優待を受けつつ、メインはヘッジファンドで運用する」など合わせて活用することもできます。ぜひ、様々な選択肢を組み合わせることも検討してみて下さい。

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