「老後に備えて2,000万円の貯蓄が必要」ということが、金融庁の報告で話題になりました。
残念ながら我々が老後に備えて、資産を蓄えなければならないのは逃れようのない事実です。
また、労働によって得た賃金(給料)を貯蓄をするだけでなく、「運用」によってそれを増やしていくことも必要であり、その方が効果的だという話もあります。
誰でも資産運用をするのが当たり前になりつつあり今、これまではあまり気にしていなかった人も、一度運用の世界に目を向けてみると、世の中には色んな投資話がある事に気づくでしょう。
もちろんそのほとんどは「真っ当な」投資会社であり、きちんと運用をしているものですが、中には詐欺だったり、詐欺に近いようなことをやっている会社があるのも事実です。
そこで、今回はこれから資産運用を始めるあなたに「気をつけた方が良い投資話」についてお伝えしたいと思います。
詐欺やそれに繋がるような話に巻き込まれることのないよう、どんな点に注意すればよいのかを一緒に考えていきましょう。
目次
怪しい投資話を見極めるポイント
ポイント①:高配当に注意する
ケフィア事業振興会という組織をご存知でしょうか。
ケフィアは「オーナー制度」という方式で、買戻し特約が付いた売買契約を販売していました。
「オーナー制度」とは、オーナーの権利を買うと、その資金を元に、ケフィアが干し柿やジュースなどの製造を外部に委託します。委託された業者が、製造したものを、ケフィアが買取り、販売し得た利益の中から、10%の利子を上乗せした金額で、権利を買い戻すものです。
一見しただけで、「そんなにオイシイ話があるわけない」と思えるようなスキームですが、ケフィア事業振興会の被害総額は1,000億円以上とも言われています。
では、なぜこれだけ拡大するほど長続きし、また多くの人が騙されてしまったのでしょうか。
ケフィアは、はじめのうちは5万円や10万円といった少額からスタートし、実際に利子がついてお金が返ってくることを示していました。
そこから、徐々に大きな金額を引き出しており、中には1,000万円や2,000万円といった金額を出資した人もいるようで、最高で1億円もお金を出してしまった人もいるとの報告が消費者庁よりされています。
小口で信用させてから一気にお金を奪うのは、詐欺の常套手段です。
実際、このスキームは上手くいかず、ケフィアは経営破綻しました。出資したお金は戻ってこず、10%の利子が付くことを期待していたつもりが、出資金100%を失うことになってしまったのです。
冷静に考えれば、半年で10%の利子が得られる話が、まっとうな訳がありません。銀行に預けたときの利子が年0.001%なことと比較しても、おかしいのは明らかです。
もちろん、世の中にはそういった高い利回りを実現しているものもありますが、高利回りのものは、それ相応のリスクをとっており、成功の影で、多くの会社や人が失敗を繰り返しています。
高い利回りのオイシイ話には、相応のリスクが伴うか、詐欺である可能性も十分に考えられます。
そもそも「元本保証」を約束し、不特定多数の出資者から資金を調達することは、銀行や郵便局、信用金庫などを除いて、法律で禁じられています。
高い利回りのものには必ず裏があります。
金融の世界では、非常に低リスクなもので年1~2%前後、世界でも有数のヘッジファンドのような、超一流の投資機関でも、年10~15%程度が運用益の限界だと言われています。
安易にオイシイ話に飛びつくことのないよう、十分に注意してください。
ポイント②:看板だけで信用しない
また、ケフィアの周到なポイントに、投資家を信用させるための施策がいくつか用意されていたことが挙げられます。
また、ケフィアは頻繁に投資家と交流する機会を作っていました。
シルク・ド・ソレイユの貸切イベント、飛行機をチャーターしての海外旅行、コンサートや演劇に招待、、などなど、華やかなイベントを実施することで、経済的に余裕があることをアピールし、「これだけの事をしてくれる会社がまさか詐欺なわけがないだろう」「こんなお金がかかりそうなイベントをやっているから会社は儲かっているはずだ」と、投資家を信用させたわけです。
また「野村證券の元社員」に投資詐欺の疑いがあることがニュースになったように、その人の肩書きや経歴にも十分に注意しなければいけません。
一般顧客相手ではなく、一部の投資家のみを対象に募集をしているような会社は、必要最低限にコストを抑え、意外と質素な作りだったりします。
事業の本質である投資でリターンが出ることが重要であり、見た目を着飾ることになんの意味もありません。
みなさんも投資先を選ぶときに豪華なオフィスや立派なパンフレット、経歴や看板(ネームバリュー)に騙さされないように注意して下さい。
世界最大の巨額詐欺 - バーナード・マドフ事件 -
バーナード・マドフ事件をご存知でしょうか。
「金融市場最大の投資詐欺」とも言われているこの事件の被害総額は、なんと650億ドル(約7兆円)とも言われています。
被害にあったのは個人投資家だけではなく、「BNPパリバ」や「野村證券」といった、著名な金融機関がいくつも含まれていました。
バーナード・マドフ(Bernard Lawrence Madoff)が、これほどまでの資金を集められた背景には、彼自身がNASDAQの会長だったというのが起因しています。
やはり「権威」の前では多くの投資家の目がくらんでしまうようです。
また、実際に運用をせず、資金を集めているだけだったのにも関わらず、彼は出資者にリターンを還元することで、その信用を確固たるものにしました。
リターンの源泉は、次々に集められる新たな資金であり、集まった新たな資金を既存の投資家に流すだけの、典型的な「ポンジ・スキーム」です。
マドフは、25年にも渡って、年10%の高いリターンを出し続けていましたが、その実態は中身のないものでした。
どんなに著名な投資家が絡んでいる案件であっても、高利回りが「確約」される事はありえない。そういった投資は全て詐欺であると思ってください。
投資詐欺を見分ける方法
損をする可能性がある
これから運用をはじめようという人には残念なお知らせかもしれませんが、投資は必ず損をする可能性があります。
投資とは、利益が出るかもしれないし損するかもしれないものです。
そのリスクをとっているからこそ、リターンが得られるのであり、リスクとリターンのバランスを調整することが重要です。
つまり、「損しない話=詐欺」と考えて、まず間違いありません。
一方で、「損をする可能性もある」と言われたら、それはまっとうな運用をしている商品・サービスです。
もちろん、運用する側は少しでも損をしないように、大きなリターンが得られるように努力しますが、リスクをとっている以上、その可能性は決して避けられません。
また、出資・契約の際に「損をするリスク」のことを説明するのは、募集している側としても言いにくいことだろうとは思うので、その点を正直に伝えてくれる人の方が信用できるかもしれません。
「強気の運用姿勢」と「リターンを約束」してしまうことは大きく異なります。その点には十分注意してください。
投資の実態がある
また「投資の実態」について確認できるとさらに安心材料になります。
株式なら株式、債券なら債券、不動産なら不動産など、具体的に何に投資をしているのか分かるものに投資をしましょう。これらのようなシンプルな投資先の方が分かりやすいと思います。
逆によく分からない事業投資には注意してください。
東南アジアのインフラ事業に投資する、中国の奥地で取れる香木に投資する。本当かもしれませんが実態の確認のしようがないものの場合、仮に写真などががあったとしても注意が必要です。
株式投資などの場合、ヘッジファンドなどがある程度の資金を投資していると、大株主(株式の5%以上を取得)となって、『大量保有報告書』を金融庁に提出する必要があります。
また『有価証券報告書』に、代表的な株主として名前が列挙されることもあります。
運用先を検討するにあたって、仮に今現在の投資先は教えてくれなくとも、過去の事例などは聞き出すことができるかもしれません。
そこで仕入れた情報と、公に入手できる情報が一致するかを確認することで、その会社の投資の実態をより確実に把握することができます。
運用を検討する会社が、本当に運用してきたのかどうかも、きちんと検討・考慮するようにしてください。
まとめ
今回は、少し「怖い」投資の一面を紹介しましたが、資産運用はこれからの時代必ず必要なことであり、きちんとした投資先を見極める目を養うことは非常に重要です。
もちろん、詐欺ではなくとも、投資信託やラップ口座のような粗悪な金融商品も市場には溢れています。
以下のランキングでおすすめの投資先も紹介しているので、是非そちらも参考にしてみてください。