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ここ最近のヘッジファンドの変化
ヘッジファンドとは、投資家から集めた(調達した)資金を、投資のプロであるファンドマネージャが運用し、利益を追求する資産運用専門の金融機関(運用サービス)です。
投資家は、ファンドに出資(投資)することで、運用益に応じたリターンを受け取ることができます。
一昔前まで、ヘッジファンドとは「ごくごく一部の富裕層」の間でのみ話題になる資産運用機関でしたが、最近では富裕層とはでは言わない「高所得者層」にとっても身近な存在になってきました。
恐らく、日本でもいくつか有望なヘッジファンドがでてきたことや、それら新鋭ファンドの最低投資額が1,000万円程度と比較的手の届きやすいところに設定されていることが要因と考えられます。
また、日本でも資産運用そのものに対する興味・関心が高まっており、実際に投資をはじめる人の数が増えていることも背景にあるでしょう。
とはいえ、まだまだ欧米のように一般的な選択肢と呼べるほどメジャーな選択肢ではありません。
そこで、今回はヘッジファンド投資の初心者に向けて、「ヘッジファンドへ投資する時に気をつけるべき5つのポイント」を整理していきたいと思います。
ヘッジファンドに投資する時に気をつけるべき5つのポイント
1. ファンドの戦略を確認する
ファンドの投資戦略は、そのファンドの運用成果に直結します。
ヘッジファンドには、ロングショート戦略、マネージドフューチャー戦略、グローバルマクロ戦略、ディストレス戦略、グロース株戦略、バリュー株戦略、アクティビスト投資、プライベートエクイティ投資、イベントドリブン投資、、、と様々な戦略があり、多くのファンドはこれらを複合的に組み合わせながら投資・運用していきます。
このように専門用語を並べられると「わからない!」と拒否反応を示したくなる方もいらっしゃるかもしれません。
専門的なことを聞いても完全に理解するのは難しいでしょうが、ここではざっくりとした戦略と、どの程度のリスク・リターンを見越しているかを重点的に確認しましょう。
ファンドによって、目標するリターン(利回り)は大きく異なります。
狙うリターンが大きくなればなるほど、リスクも高くなります(ローリスクローリターン/ハイリスクハイリターンの法則です)。
やたらと高いパフォーマンスをアピールするファンドにはそれ相応のリスクも潜んでいるので十分に注意してください。おすすめは年5~10%程度のリターンを目標しているファンドです。
また、リスクについては、「どの程度レバレッジをかけているか」である程度予測することができます。
自己資金以上の資金を運用する「レバレッジ」はリスクに直結します。
4倍、5倍のレバレッジをかけて強気に投資するようなファンドは、投資より投機の側面が強くなってくるので、長期での資産運用には向かない(安定しない)傾向があります。
レバレッジをどの程度かけているかはきちんと確認しておきましょう。
2. 最低出資額を確認する
ヘッジファンドは、投資信託などと違い、投資(出資)をするに当たってある程度の資金が必要になります。
最低出資額は下がってきているものの、ハードルの低いところでも1,000万円程度は必要になるので、出資をする前にどの程度資金が必要か、またどの程度の運用資金が用意できるのかをしっかりと確認をしておくようにしましょう。
ファンドによっては、最低出資金額をあくまでも目安とし、将来的な増資や長期運用を前提に出資を受け付けている場合もあります。
まずは、興味のあるファンドに連絡し、投資戦略やその他のポイントと併せて、きちんと確認する必要があります。
3. ヘッジファンドの流動性(解約方法)を確認する
ヘッジファンドに投資する場合、その資金がどの程度の流動性になるのかをきちんと確認する必要があります。
ヘッジファンドは、比較的、流動性の低い金融商品です。株や投資信託などのように、解約の申込(決済注文)をしてすぐに現金化することはできず、解約(出金)のタイミングが年に1回~数回と決められています。
資産の流動性を決定する、解約の頻度については、ファンドごとに異なりますが、数ヶ月に1回〜1年に1回が一般的です。
これを「ロックアップ期間」と呼びます。中には「最低でも3年間は引き出せない」というファンドもあります。
一度出資したら、最低でも3,4ヶ月は資金を動かせなくなってしまうので注意してください。
ヘッジファンドがこのようにロックアップ期間を設けているのは、ファンドとして運用する資産が大きく変動することを防ぐためです。
投資信託などのように、不特定多数から資金を調達するものとは違い、ある程度限られた投資家一人ひとりからまとまった資金を調達するヘッジファンドは、一部の一度に投資家が大量に出金するとポートフォリオのバランスを大きく崩す可能性があります。
ファンドの中には、特定の企業の株式を大量に取得しアクティビストとして働きかけるものも少なくありません。また、PEファンドの中には、100%取得し子会社として経営する場合もあります。
こういったファンドは、運用計画を長期で設計しており、ファンドの運用資金の大きな変動を防ぎ、また仮に出金がある場合にも前もって把握する(計画を修正する余力を残す)ために、長いロックアップ期間を設けています。
投資家側は、「入出金がどのくらいの頻度でできるのか」「投資/解約の場合にはどのような手続きが必要か」を事前によく確認し、いざとなったときに必要になる現金を手元に残しておくようにした方がとよいでしょう。
ただし、そもそも論として、ヘッジファンドは年に何回も出し入れするようなタイプの投資商品ではありません。数年単位の長期運用を念頭において投資することをおすすめします。
4. ファンドマネージャーの実績を確認する
ファンドマネージャは、そのファンドの運用の全責任を負い、ファンドの運用方針や意思決定の全権を担う、最高投資責任者です。
ファンドマネージャの判断がそのファンドの運用の全てを左右すると言っても過言ではありません。
ファンド自体の利回りを確認するのも良いですが、特に新設のファンドなどの場合、実績からの判断が難しい場合もあります(ファンドは、時流や市況に合わせた投資戦略ごとに設立されることも多く、新設ファンドは珍しくありません)。
そのような場合には、特に、ファンドマネージャの「人物」にフォーカスしてチェックしましょう。
学歴、経歴、ファンド経験歴、ファンドを始めたきっかけ、人柄、等々をきちんと確認すれば、その人物が投資家としてどの程度優れているのかの見込みを立てることができます。
ごく稀に、ろくな経験もないマネージャーがなんちゃってファンドを立ち上げている場合もあります。
ファンとして応援するならよいですが、大きな金額を預けるに当たってはやはり運用者の実力が大切です。ファンドマネージャーがこれまでどのような経験を経てきているのか、運用したファンドはどの程度の利回りだったのか等をよく確認するようにしましょう。
5. 契約方法・送金方法について確認する
契約の方法ですが、こちらもヘッジファンドによって違いますので、投資前にきちんと確認しておきましょう。
一般的には「投資家(出資者)とヘッジファンドが直接契約を結び、指定の口座に振り込んで運用開始」となります。
最近はペーパレス化なども進み、契約のプロセスも多様化しています。契約手順をきちんとファンドに確認してください。
ヘッジファンドの中には、海外(タックスヘイブン)に本社を置いている場合も多く、海外送金な場合もあります。送金の具体的な方法についても、確認するようにしてください。
おわりに
今回はヘッジファンド初心者に向けて重要なポイントを整理して解説しました。
具体的なファンドについては、以下のページでおすすめを紹介しているので、興味がある人はぜひ参考にしてみてください。