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注目度は高いが危険な運用方法
資産運用をする人が増えてきており、いろんな金融商品に注目が集まっています。
ある程度の貯金がある人などは、銀行から営業の電話がかかってきたり、証券会社からおすすめの投資信託を紹介されたりしているかもしれません。
投資に興味を持つ人が増えるのは良いことだとは思いますが、一方で「一見すると良さそうに見えるものの、よく考えると実はロクでもないもの」も数多く存在します。
また、そういった「粗悪な金融商品」を大手の証券会社などが堂々と紹介してくることもあるので、注意が必要です。
うちの親が野村からアメリカ株の投資信託案内されて
— まみー (@mamie_kabu) July 25, 2020
「500万で毎月8万円貰えるんですって。どう思う?」と言われたんだけど…
いやいやいやいやいやいや() pic.twitter.com/xL1ls9oedM
そこで、今回は、特に初心者や投資に詳しくない人が食いついてしまいそうな、注意すべきNG投資を3つ紹介しましょう。
- 仮想通貨
- 不動産
- アメリカ投資
これらの投資がなぜ「NG」なのか、一つ一つ解説しつつ、投資をする時に考えるべきポイントや、おすすめの運用方法についても考えていきたいと思います。
おすすめできない3つのNG投資
NG投資① 仮想通貨
仮想通貨は、オンライン上で取引される新しい形の通貨です。「円」や「ドル」「ユーロ」と同じように取引され、為替があり、日々価格が変動しています。
BTC(ビットコイン) や、ETH(イーサリアム)、XRP(リップル)など、通貨の種類もいろいろとあります。
最もメジャーな通貨であるビットコイン(BTC)は、2009年1月に初めて発行され、2010年時点の価格は、1BTC≒0.2円でした。それが、仮想通貨の普及(ブロックチェーン技術が認められ、通貨の流通が広まる)と共に少しずつ価格を上げ、2012年頃には1BTC≒1,000円を超えます。
その後も紆余曲折を経ながらも、大いに価格が上昇したビットコインは、2017年末には1BTC≒2,000,000円(200万円)を超えました。
ビットコインが一般でも注目され始めた2015年前後の価格は、1BTC≒3~5万円だったので、このときに購入した人は、わずか2~3年で40倍〜60倍のリターンを得たことになります。
もう少し前の2012年頃(1BTC=1,000円の頃)に投資していれば、わずか5年で2,000倍になっています。たったの10万円投資していただけでも、資産は2億円になります。
このように、一気に価格が高騰した仮想通貨に投資した人たちの中には、億万長者になる人が数多く生まれました。
普段あまり投資をしないような人たちが一気に大金持ちになったことで注目を集め、今後さらに勢いが加熱していくことが予想されます。
この勢いに便乗して「自分も億万長者に!」と考えている人も多いのではないでしょうか?
仮想通貨の問題点
仮想通貨に投資することは、間違ってはいませんでしたが、今となってはもう遅すぎるというのが正直なところでしょう。
既にテレビなどでも取り扱われ、若い子たちまでもが手を出しているのが仮想通貨です。
億万長者になった人たちが、我がもの顔で独自の理論を語ったりしていますが、それが今後も続くとは到底考えられません。
既に価格は十分に高騰しており、今後は一気に暴落してもなんら不思議はありません。
既に儲かった人の話を聞くと羨ましく感じるかもしれませんが、彼らは宝くじに当たったようなものだと思って、うかつに手を出さないことが賢明です。
既に多額の資産を手にしている人たちも、「ここまではラッキーだった」と早々に割り切って撤収する方が賢明でしょう。
「まだまだ上がるはずだ」「独自の理論で、値上がりのルールを見つけた」などと根拠のない考えを振りかざしていると、いつ利益が吹き飛ぶかわかりません。
また、少し話題はそれますが、オンラインで取引される仮想通貨は、ハッキングによる流出事件も後を断ちません。
最近の事例では、2019年7月にビットポイントジャパンの仮想通貨交換所から約35億円分が流出しました。
2018年にはコインチェックが580億円分の仮想通貨を流出させており、その被害金額は最大級となっています。流出事例はこれらに止まらず数多く発生しています。
取引所 | 時期 | 被害額 |
コインチェック | 2018 | 約580億円 |
マウントゴックス | 2014 | 約470億円 |
ナイスハッシュ | 2017 | 約70億円 |
ビットフィネックス | 2016 | 約65億円 |
ザ・ダオ | 2016 | 約65億円 |
ビットポイント | 2019 | 約35億円 |
パリティーウォレット | 2017 | 約30億円 |
ビットスタンプ | 2015 | 約5億円 |
このように、まだまだ未熟で不確実。しかし、訳もわからず人が殺到し、価格が異常に高騰している仮想通貨に投資することはおすすめできません。
NG投資② 不動産
不動産投資の懸念点 - 東京オリンピックによる不動産価格の高騰 -
一昔前までは、大金の投資と言えば不動産投資がメジャーな投資手法でした。
今でも、投資用マンションなど、不動産投資の手段はいろいろありますが、この時期に不動産投資を始めるのはおすすめできません。
以下のグラフをご覧ください。
出典:日本不動産研究所 東京 23 区のマンション価格と賃料の中期予測(2018~2020 年、2025 年)/2018 下期
https://www.reinet.or.jp/wp-content/uploads/2018/09/b39b656ddb92e5fd427a2f48d05f4777.pdf
2002年には60万円/㎡ほどだったマンション価格は、2019年には101万円/㎡近くにまで上昇しています。
2013年頃から一気に価格が上昇していますが、これは東京オリンピックの誘致が決定した時期と一致します。
「オリンピックによって不動産の価値が上がる」などと言われていますが、マンション価格は既に高騰してしまっているのです。
2020年に東京オリンピックを迎えますが、この「オリンピックバブル」によって高騰した不動産価格は、一気に下がることが予想されます。
オリンピック特需にあやかろうと考えても、もう時期を逸してしまっているのです。
投資の基本は「安いとき(=人気のないとき)に買って、高いとき(=人気が出たら)売る」です。
不動産投資をするには時期が遅すぎます。
NG投資③ アメリカ株
世界の経済を牽引するアメリカの株式や、それに関連する投資信託に興味を持つ人も少なくありません。
「アメリカ経済は好調なので、今後も成長が期待できます」などと言われるとそれっぽく感じてしまいます。
ですが、こちらも不動産投資と同様に、高騰しているからこそ注意が必要です。
アメリカ経済の懸念点
こちらはアメリカを代表する株価指数「S&P500」の推移を見てみましょう。
出典:SPX
https://jp.tradingview.com/chart/?symbol=SP%3ASPX
リーマンショックで大きく落ち込んだ2009年と比較して、約4.5倍にまで膨れ上がっています。右肩上がりに堅調に推移していることがわかります。
しかし、不動産投資でも説明しましたが、資産運用では高値掴みは絶対に避けるべきです。
今まで、右肩上がりで成長し続けていたからといって、今後も右肩上がりで成長していくとは限りません。むしろ、株価のような指数の場合は、根拠のない高値の場合、必ず適正価格に収束するべく値下がりします。
また、アメリカ経済を左右するトランプ大統領についても注意が必要でしょう。
過激にも見えるような、トランプ大統領の数々の政策や発言は、今のところ株価には好感されて反映されていますが、今後もそれが続くとは限りません。
過激な発言で、一気にアメリカ経済を窮地に追いやる可能性も大いにあるでしょう。
そんな時、アメリカ経済(や、それに関連するもの)に投資していると、大損をする可能性があります。
投資先を選ぶときの注意点
ここまで見てきた通り、仮想通貨にしろ不動産投資にしろ、アメリカ経済にしろ、「みんなが注目しているもの」や「それで利益を得た人がいるもの」に投資するのはおすすめできません。
既に話題になっているものや、利益を得た人がいるものは、十分に価格が高騰している(割高になっている)可能性が高く、そのあとは一気に値下がりすることが容易に想像できます。
何度も言いますが、投資の基本は「安いとき(=人気のないとき)に買って、高いとき(=人気が出たら)売る」です。
有名な逸話に、ジョセフ・P・ケネディ氏(第5代アメリカ大統領ジョン・F・ケネディの父親)と靴磨きの少年の話があります。
ケネディ氏は投資で大きな利益を得ていましたが、ある時靴磨きの少年が「〇〇株がいいらしいよ」などと投資の話をするのを耳にして、株価が天井に差し掛かっていることを察知し、保有していた株式を全て売ったと言われています。
その後、1929年の大暴落は有名な話ですが、ケネディ氏は直前に株を手放したことで、暴落による損失を回避することができました。
この逸話でもわかるように、普段投資に明るくない人たちまで株の話をするようになったら、その投資には限界が迫っており、高騰から一気に大暴落がくる予兆とも言えます。
今回紹介したNG投資の仮想通貨、不動産投資、アメリカ経済も全てこれに当てはまります。
投資の世界では、まだ誰にも見つかっていない優良なもの(割安なもの・価値があるもの)をいち早く見つけ出し、それに先駆けて投資することで、利益を得ることができます。
次に来るもの、本当に価値があるものをいち早く見出す調査力や分析力、審美眼などが重要になります。
人に勧められた、テレビで話題になっていた話などもっての外です。
この「安く買って、高く売る」という投資の基本は、決して忘れないようにしましょう。
おすすめの運用方法
「〇〇が来るらしい」「次は△△がアツい」などという話をいくら聞いたところで、本当に価値のあるものを見出すのは簡単ではありません。
重要なのは「どうやって価値のあるものをきちんと見出すか」です。
そのための方法は、人それぞれですが、資産運用のプロであるヘッジファンドなどは「バリュー投資」によって株式の価値を評価したり、緻密な調査・分析によって、株式市場が未成熟な新興国を見出したりしています。
「ESG投資」や「SDGs」といったキーワードも、これから成長する会社・業界を見出すためのキーワードにかもしれません。
投資先を選ぶ時には、話題性やメディアの情報などに左右されることなく、価値あるものを見出す方法やプロセス、考え方にも注目してみてください(ファンド選びの際にも、そういった基準で評価してみるとよいでしょう)。