2018年の株式市場は大きく荒れました。日本市場は年間を通じて12%ほど下落し、米国市場も振るいませんでした。
そんな厳しい状況の中で、今年はどんな銘柄に投資するべきなのでしょうか?
今回は、2019年に入り注目が高まっている「投資信託にスパークス・新・国際優良日本株ファンド(厳選投資)」に焦点を当ててみたいと思います。
基本的な情報から、ファンドの特色、これまでの実績など順を追って確認していきましょう。
目次
スパークス・新・国際優良日本株ファンドの基本情報
- 商品名:スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)
- 商品分類:追加型/国内/株式
- 信託期間:2028年3月27日まで(2008年3月28日設定)
- 購入時手数料:3.24%(税抜き3.0%)以内
- 信託財産留保額:換金申込受付日の基準価額に対して0.3%
- 運用管理費用(信託報酬):純資産総額に対して年率1.7712%(税抜1.64%)
- 監査費用・印刷費用:純資産総額に対して年率0.108%(税抜0.10%)を上限とする額
- 委託会社:スパークス・アセット・マネジメント株式会社
出典:投資信託説明書(交付目論見書)|スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)
https://www.sparx.co.jp/mutual/uploads/pdf/prosk-gen.pdf
スパークス・新・国際優良日本株ファンド3つの特色
① 企業の競争力を見極める
スパークス・新・国際優良日本株ファンドの特徴の1つ目は、企業の「競争力」を重視して投資をしている点です。
ファンド名に「国際優良株」とあるように、今後グローバル市場で活躍できそうな日本企業に投資をしていきます。
出典:投資信託説明書(交付目論見書)|スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)
https://www.sparx.co.jp/mutual/uploads/pdf/prosk-gen.pdf
目論見書によると、新・国際優良企業の候補となる会社には、「競争力の源泉」としてグローバルに活躍するためには、高い技術力やブランド力が必要だとしています。
世界のニーズは変わり続けるので、どんな商品が必要とされているかは時代とともに移り変わります。
出典:投資信託説明書(交付目論見書)|スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)
https://www.sparx.co.jp/mutual/uploads/pdf/prosk-gen.pdf
鉄鋼・造船が必要とされた時代から、電化製品・精密機器、そして、医療機器や小売、消費財等への変遷が見て取れます。
スパークス・新・国際優良日本株ファンドでは、新国際優良企業は次のような企業だとしています。
- 国内市場で圧倒的なシェアを持つ
- 海外売上高比率の拡大が期待できる
- 世界的なブランド力を有することが期待できる
確かにこのような企業群に投資をすれば株価上昇にも大いに期待できるかもしれません。
競争力のある企業に投資をするというのは、本質的に価値がある企業に投資をすることを意味しています。
最近では「テーマ型」の投資信託(AIや新興国など特定の業界や地域に投資するもの)も流行っていますが、テーマで絞るというのは本質的ではありません。
確かにその時々に流行っているテーマに投資をすれば一時的に上昇するかもしれませんが、それは会社の価値が評価されたわけではありません。
価格の上昇は長く続かないですし、同じ業界に属する企業同士はいずれ勝ち負けがつくでしょうから株価が下がる企業も出てくるはずです。
一方で、本当に価値がある企業を選定して投資することは理に適っており、特に「長期投資」において収益が見込めます。
かの有名なウォーレン・バフェット(Warren Edward Buffett)も、競争優位性のある企業に長期投資をすることで資産を築きました。
しかし、肝心なのは、「本質的に価値がある企業をどのようにして見極めるのか」という点にあります。
スパークス・新・国際優良日本株ファンドでは投資プロセス(銘柄選びの方法)を以下のように説明しています。
出典:投資信託説明書(交付目論見書)|スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)
https://www.sparx.co.jp/mutual/uploads/pdf/prosk-gen.pdf
- 企業収益の質
- 経営戦略
- 市場成長性
の3つの着眼点から実態価値を計算するとのことですが、その内容は抽象的で具体的な基準は明らかになっていません。
この銘柄選びこそがファンド運用の肝であり、パフォーマンス(成果)に直結するポイントになります。
② 約20銘柄への集中投資
スパークス・新・国際優良日本株ファンドではむやみやたらに分散投資をせず、少数精鋭の集中投資をするとしています。
出典:投資信託説明書(交付目論見書)|スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)
https://www.sparx.co.jp/mutual/uploads/pdf/prosk-gen.pdf
愛称も「厳選投資」としているくらいですから、投資対象は本当に少なく20銘柄程度となっています。
銘柄数が少ないということは、値動きが大きくなる可能性が高くなるということです。つまり、儲かるときは大きく儲かりますが、下がるときは大損する可能性も高くなります。
③ 長期保有
スパークス・新・国際優良日本株ファンドでは原則として短期売買を行いません。
出典:投資信託説明書(交付目論見書)|スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)
https://www.sparx.co.jp/mutual/uploads/pdf/prosk-gen.pdf
特色の①でも示した通り「競争力」のある企業に投資するので、長期保有するというのは整合性がとれています。彼らの銘柄選択が正しければ、長期的に収益が見込める素晴らしい投資となるでしょう。
一方で、投資期間が長期なるということは、それだけ先のことを予測しなければならず難易度が上がるというデメリットもあります。10年後、20年後、本当に活躍している企業がどれなのかを見極めることは決して簡単ではありません。
これまでの運用成績
それでは、最後に気になる運用成績を見てみましょう。
出典:投資信託説明書(交付目論見書)|スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)
https://www.sparx.co.jp/mutual/uploads/pdf/prosk-gen.pdf
安定してプラスの成績を収めており、平均すると+17.8%となっています。
これまでの成績は悪くないと言えますが、やはり投資する銘柄数を絞っている分、ボラティリティ(振れ幅、不確実性)は高くなっています。
一方で、今後の成績はどうなるでしょうか。
これまで見てきた通り、投資銘柄も少ないですし長期保有ですので、当たれば当たるが外れれば外れるといった投資になりそうです。
まとめ
ここまで見てきた特色と運用成績をまとめると以下のようになります。
- 競争力の高い企業を見極めて集中して投資する
- 銘柄を厳選するため値動きは大きくなりやすい
- これまでの運用成績は悪くない
ここまでの運用成績を見ても決して悪くはなさそうですが、結局は不透明な彼らの銘柄選択に賭けることになります。
真に「競争力のある企業」を選び出し投資し続けることができれば引き続き大きく儲けることができるでしょう。
ただし、大切な資産を預けるにあたって1点だけ気になる点があります。
それは、スパークス側になんのリスクもインセンティブもない点です。
彼らは運用が失敗したところで何も困らないですし、逆に運用が成功したとしても何のリターンもありません。
彼らの報酬は投資家が商品を売買をした時や、預かっている資産額に対して支払われる手数料であり、運用で成果を得られなくても困りませんし、成功しても特別報酬はありません。
彼らの銘柄選定が運用のキモとなるこのファンドにおいて、この「運用にコミットできるかどうか」は非常に重要なのに対し、このような報酬体系(手数料の仕組み)でファンド側がきちんと運用にコミットしてくれるかは大いに疑問です。
結果、(平たく言えば)手を抜かれてパフォーマンスが下がってしまう可能性も否定できません。
過去の運用成績についても、実は相場(日経平均)の良い時の成績がよく、なかなか振るわなかった2018年などは結果が出ていないことがわかります。
今後、より厳しい市況となったときに、このファンドが成果を出し続けられるかどうかは十分注意が必要でしょう。