このサイトでは資産運用の必要性を再三にわたって説いていますが、「いざ資産運用を始めようにも何から手をつけていいか分からない」という方も数多くいるようです。

 

こうしてインターネットを使って自分で勉強しようと思っている方(このサイトに辿り着いた皆さん)は、それはそれで素晴らしいとは思いますが、一方、"生で"会って誰かに資産運用の相談をしたいとも考えている人もいるはずで。

 

投資の初心者が「最初の相談相手を誰にするか」は資産運用における非常に大きな分かれ道です。

良くも悪くも、最初に相談をした人の質によってその人の資産運用の質があらかた決まってしまいます。

 

今回は、よく資産運用(お金のこと)を相談しがちな代表的な相談相手について、それぞれのメリットやデメリットについて考えていきたいと思います。

今回の話はかなり重要です。

 

一般的なお金(運用)の相談相手

家族

これは割と日本固有の風潮ではありますが、お金の話はまず家族に相談するという人が非常に多いようです。

典型的なのは「貯金ができたんだけど、どうしようか」と親にまず連絡をいれる20代、30代の人たち。親も可愛い子供の大切なお金の話なので熱心に相談に乗ってくれるでしょう。

 

家族に相談をすることのメリットは、相談相手が本当にあなたのことを考えてくれるということです。

実はこれは非常に大きな価値で、こと"お金のこと"となると親身になって相談に乗ってくれる相手は実はそう多くはありません。

 

あなたの親は、あなたのお金のことについては自分のことのように真剣に考えてくれるでしょう。悪意をもって損しそうな投資先を助言する両親はまずいないと思います。

 

一方、決定的なネガティブポイント(デメリット)は、その「金融リテラシー」です。

親というのは必ずしもお金・投資に関するプロではありませんし、加えて、生きてきた時代が違うために投資に関する大前提が、若い人たちとは大きくかけ離れている傾向があります。

 

20代30代の方は想像もできないかもしれませんが、かつては日本でも銀行に預けているだけで8%もの金利が付く時代があったのです。

日本全体が大きく成長している時(高度経済成長期)には、資産運用についてあれこれと頭を悩ませる必要は皆無でした。

 

また、バブル期に多くの投資話(不動産投資、土地転がしなど)に飛びつき、バブル崩壊と共に大きく損をした人たちを多く目にしてきた人たちは「投資=リスキー」という偏見を持ってしまっているかもしれません。

 

親世代は、この「一昔前の常識」にそって資産運用の提案をしてしまうことでしょう。

このような考えは、銀行に預けているだけでは0.001%しか金利がつかないような現代には全く適合しません。

 

日本の国民の資産のうち約半分が銀行預金という形になってしまっている現状は、親世代の考えを子供世代が引き継いでしまっているというのも原因の一つとして十分に考えられます。

 

金利の下がった今、大事なお金・資産だからこそ、銀行に眠らせることなく適切に運用する必要があるにも関わらず、「貯金こそが正義」と言わんばかりの考えが蔓延しています。

よほど金融に造形が深くない限り、家族に相談することや、その意見をそのまま取り入れることはおすすめしません。

 

銀行の窓口

次に身近な相談相手は、銀行の窓口ではないでしょうか。

特に退職金を受け取った際などは、預金額を把握している銀行側から資産運用について提案してくることもよく聞く話です。

それ以外にも、預金残高が一定金額を超えると、投資信託の紹介やニーサ活用の説明など、運用を提案してくる銀行もあります。

 

お客さんの資産を誰よりも把握しており、資産運用の潜在顧客へ最もアプローチしやすいのが銀行です。

ですが、銀行の提案や、銀行に運用の相談をすることは、顧客にとってポジティブな要素はほとんどありません。

というのも、銀行はあなたの給料や資産状況を正確に把握しており、それに合わせた「ギリギリ買える範囲の高額商品」を提案することができます。

預金額から逆算し、ギリギリ手が出てしまうほどよい金額の運用を提案してくることでしょう。

 

あなたは自分懐事情を銀行に見せてしまっているのです。

 

また、銀行の勧めてくる金融商品(投資信託などの証券)やサービスが粗悪なのも見逃せません。

彼らの本意は「運用を進めることで顧客(私たち)が儲かること」ではなく、「顧客に運用をさせることで、手数料で彼ら(銀行)が儲かること」です。

 

そのため、特別リターンの良い投資先を紹介してくれるということもありません。

本当に大損するようなものばかりでは、投資家が離れてしまいますが、付かず離れず程度のもので十分なのです。

 

特に、300万〜500万円程度から投資できるものとして、近年銀行が熱心に勧めている「ラップ口座」が最悪で、「顧客に応じた運用を銀行が責任もってやりとげる」と謳っているものの、実態は「顧客に提示されたリスクリターンに合わせて、いくつかのパターンからETFを買う」程度のお粗末なものです。

ですが、大したリターンも得られないのに高い手数料を払うことになります。

 

そもそも、全ての銀行員が特別金融に詳しいわけでもありません。

銀行の中にももちろん詳しい人はいますが、そういったエリートは銀行の資産を運用したり融資の部門に配属されます。私たちの前に現れる人たちは、いわゆる「営業」でありリテラシーの面でも素人と大差がありません。

 

  • 懐事情がバレており、彼らにとって都合の良いラインを攻められる
  • 取り扱っている商品・サービスが粗悪
  • スタッフはあくまでも「営業」で頼りにならない

という3点を考えれば、銀行にお金のことを相談するのは適切ではないでしょう。

 

証券会社

最後に、証券会社の担当者(窓口)に相談する場合を考えてみましょう。

証券会社との接点は主に2つで、株や投資信託を買おうと思って「自分から問い合わせをする」か、もしくは「営業マンの方からアプローチしてくる」かです。

 

証券会社に相談するメリットは明確で、取り扱う金融商品が多いことです。

銀行の窓口では購入できないのような、様々な投資信託や個別株、外国債券なども購入することが可能です。

より多くの選択肢からおすすめを紹介してくれる可能性があります。

 

一方で、証券会社も銀行と同様に顧客の利益を優先しないというデメリットもあります。

 

銀行はそもそも顧客に資産を預金してもらうだけで、一応銀行として一定の機能を果たしています。つまり銀行にとっての資産運用の営業は「資産運用もしてくれたら嬉しい」というアップセル営業に過ぎません。

 

一方、証券会社の営業マンは、それこそが本業であり本質が大きく異なります。

彼らは一人一人に厳格なノルマが設定されており、1ヶ月で何人の顧客にいくらの投資をさせるのかということを必死に考えています。

とにかくお客さんに投資信託を買ってもらうことがゴールであり、その人に本当に合っている商品はどれか、どの商品が本当に儲かりそうかといった顧客の未来は二の次三の次になっています。

 

また、証券会社の販売する金融商品は、商品毎に証券会社のリターンが決まっており、これが個人の業績と連動するようになっているため、とにかく「証券会社側が儲かる(会社のリターンが高い)商品を売りたい」という思いが証券会社の営業マンにはあります。

 

これは手数料を通じて投資家のリターンに反映されるため、究極的には、証券会社の営業マンとそのお客さんは利害が対立しています。

そんな証券会社の営業マンを信じて相談するのは、非常に危険です。

 

加えて、投資信託を組成しているようなアセマネ会社の社員ならまだしも、販売に特化した証券会社という営業会社の性質上、営業マンの金融リテラシー高くないというものいただけません。

 

証券会社の人間は以降「投資のプロ」ではなく「販売(営業)のプロ」になるように訓練されます。

実際、どこに投資をするかという能力と、どれだけの人に売るかという能力は全くの別物であり、証券会社の営業員は金融リテラシーが育たないまま、小手先の営業力だけがどんどん伸びていくのです。

 

実際、証券会社出身で偉大な投資家になったというような人の話は聞いたことがありませんし、逆に証券会社でいい成績を出した人達が自分の資金の投資がうまくいかず頭を抱えている場面を何度も目の当たりにしました。

 

総じて、営業員と顧客の関係性から言っても、またその投資に関する能力から言っても、証券会社の営業員を頼りにするのは避けるべきでしょう。

 

誰に相談するべきか

家族も銀行も証券会社も、

  • リテラシーが低く
  • 懐事情を把握されており
  • 手数料目当てで利害が一致しない

といった理由から相談相手としては適していません。

 

本当に頼りになる相手は、実際に運用をしている人たちや、あなたが資産を預けている(預ける可能性がある)投資先の金融機関の人間です。

決して、運用をしたことも無いような人や、金融商品を販売しているような仲介の人間ではありません。

 

実際に運用している人たちの方がリテラシーが高いのは間違い無いですし、直接資産を預かって運用する人たちは、投資家(出資者)の利益と、運用者の利益が一致するため、彼らの利益こそが私たちの利益に還元されます。

 

詳しくは以下の記事でも解説しているので、興味のある人はぜひ参考にしてみてください。

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