分散投資は大きく2つ

銘柄を分散

「分散投資」と言われてまず思いつくのは、銘柄を分散させることでしょう。1つの銘柄に資金の全てをつぎ込むのではなく、複数の銘柄に分けて保有することでリスクを分散します。

例えば、自動車関連の企業に投資しようと思ったとして、トヨタ自動車に全ての資金をつぎ込むのはリスクが高すぎます。日本の自動車産業の企業が明るくとも、1社にしか投資しなかった場合には、その会社の業績が、自身のポートフォリオに100%反映されてしまうためです。

 

業界が順調でも、優良な企業に思えたとしても、経営には何が起こるかわかりません。急な合併や買収などがあるかもしれませんし、ファーウェイ問題(※)のときのように、政治的な背景から特定の企業が突然不利益に晒されることもあるでしょう。

最近はSNSなどでの「炎上」や不祥事などもありますし、いつ何が起こるのかを予想するのは困難です(トヨタ自動車がリスキーだと言っているわけではありません)。

 

しかし、複数の企業に分けて投資することで、この"特定の企業"に起こりうるリスクを回避・軽減することができます。また、これは1つより2つ、2つより3つと、数を増やすにつれて分散の効果は高まってきます。リスクヘッジの超基本として分散投資は必須と言っても良いかもしれません。

 

タイミングを分散

分散投資というと、先述の「銘柄の分散」を思い浮かべる人が多いでしょうが、もう一つ「タイミングの分散」があります。特定の投資先についても、株を取得(売却)するタイミングをズラすことで価格変動のリスクを軽減するのです。

 

代表的なものに「ドルコスト平均法」などが、ありますが定額で積み立てていくことで、株価が高い時の株式取得数を減らし、株価が低い(安い)時の株式取得数を増やすという方法です。

例えば120万円の資金があったとして、いきなり120万円を全て費やすのではなく、10万円を12ヶ月(1年)に分けて投資することで、価格変動のリスクを軽減することができます。

積み立て投資は、投資資金の少ない人が「少額からコツコツと」投資を始めるためにするものだと思われている方も多いようですが、このようなリスクヘッジの効果も期待できるのです。

 

分散投資の注意点とは

分散投資の難しさ

分散投資の「銘柄の分散」について、同じ業界の競合に分散する方法を先ほど紹介しましたが、分散投資の方法はこれだけではありません。

為替による影響を考慮するのであれば、輸出産業と輸入産業のそれぞれに投資をすることでリスクを分散することができますし、米中関係を考慮するのであれば、主要取引先に注目して投資先を検討すると良いでしょう。

外食産業が盛んになれば、家食が減りスーパーや食器を扱う企業の業績は下がるかもしれませんし、もしかしたら、食器を洗う洗剤を製造・販売している日用品メーカーの業績にも影響があるかもしれません。

 

業界内での分散や、競合との分散、代替品との分散、取引先での分散など、分散投資の基準になる考え方・比較の軸は無数に存在します。また、国内に止まらず、活動する地域やマーケットなど、世界目線で見た地域での分散も考えられます。

 

分散投資は、その組み合わせによって得られる効果が変わってきます。いくらたくさんの銘柄に分散したとしても、同じ業界の似たような企業にばかり投資していては、あることをきっかけに総崩れしてしまうことも考えられます。

例えば、全て自動車業界に投資すると、自動車は基本的に(日本においては)輸出事業のため、円高によって総じて大きく業績を悪化させる可能性もあるのです。

 

銘柄の数を増やせば増やすほど、分散投資の効果は高まりますが、自分がどんな分散をしたいのか、どんなリスクをヘッジ(軽減)したいのかを考えてポートフォリオを組むことが求められます。

 

分散投資のデメリット(リスク)

分散投資(複数の企業に投資)するということは、それだけ多くの企業を分析しなければならないということです。つまり、投資の際に調査・分析・評価しなければならない企業の数も増えることになります。

当然、売買の数も増えるため、手間の増加は避けられません。平たく言ってしまえば、分散投資は面倒臭いのです。

 

もう1つ、分散投資のデメリットとして、リスクを軽減する代わりにリターンも得難いというものがあります。リスクだけを回避して、同じようにリターンを得られるようなオイシイ話はないのです。

分散投資をすることで、リスクだけでなく、リターンも分散されてしまいます。1つの銘柄が大きく値を上げた時に「もっとこの会社に投資しておけばよかった!」と思ったことがある投資家は数えきれないでしょう。

 

また、タイミング(時間)の分散についても同様です。安値の時に全ての資産を投入するのが最も儲かりますし、価格の推移が一定であるならば、最初に全ての資金を投じた方が、得られるリターンも大きくなります。

 

「分散投資は富を守り、集中投資は富を築く」とも言われています。

数千億円を運用するような、国や年金機構のような組織では、資産を大きく増やすこと以上に、減らさないようにすることが求められるので分散投資はとても重要です。

ですが、ある程度のリターンをもって資産を増やしていきたいと考える個人投資家の場合、不要に分散投資をしすぎると、手間やコストばかりがかかって、結果として何も得られないということも考えられます。

分散投資は重要ですが、一方で、やみくもに取り組めばよいというものでもないのです。

 

分散投資の方法は?誰でもできる簡単な始め方

このように分散投資にはメリット・デメリットがあるだけでなく、そもそもが非常に面倒で難しいという問題があります。

「個別の銘柄に投資するのは勇気がいるが、分散投資も難しい...」という人に、簡単に分散投資ができる方法を活用しましょう。

 

誰でもできる分散投資の代表格は「投資信託」です。

投資信託は、それ1つを買うだけで、多くの企業に投資するのと同じ効果があります。そもそも投資信託とは、特定のテーマやルールに則って投資されるものです。例えば、「グローバル・フィンテック株式ファンド」であれば、FinTechに関する有力銘柄に複数投資していることと同じ効果が得られます。

 

また「ETF(上場投資信託)」も同様で、例えばTOPIXに連動するETFに投資するということは、東証一部に上場している全ての企業に分散投資していることと同じ価値があります。

 

そして最後に忘れてはいけないのが「ヘッジファンド」です。ヘッジファンドも複数の企業に投資して運用するため、当然分散投資の効果が期待できます。また、投資先の企業を一つ一つ丁寧に分析する作業も担っているため、投資家(出資者)の手間もありません。

「分散投資に興味はあるけれど、自分自身では難しい」という人こそ、これらの投資先を検討してみるとよいでしょう。

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