2019年現在、世界の株式市場は空前の好景気に沸いています。

この好景気に便乗し、利益を得ている投資家も多いでしょうが、一方で、このアメリカを中心とした株式市場の盛り上がりは、2019年から数年内のどこかで、大きく調整される可能性があると言われています。

つまり、大規模な金融危機が訪れる可能性です。このあたりの話は、以前、以下の記事に詳しく書きました。

 

さて、10年から15年に一度というスパンで世界を襲っている金融危機ですが、次にこのような株式市場の大暴落が発生した際に、一投資家である我々はどうすれば良いのでしょうか。

直近最大の金融危機となったリーマンショックのときに実際にあった話を参考に対応を考えていきましょう。

 

金融危機にはどのような行動が正解なのか

暴落時にやってしまう一般的な失敗パターン

金融危機が発生すると、普段は冷静な投資家でもパニックに陥り正常な判断ができなくなります。

実際、リーマンショックが起こり30%~50%の株価暴落が起きた際、多くの投資家がパニックに陥り、慌てて株を売ったことが分かっています。

 

株を手放した投資家は、リスクの低い債券や金、現金などで資産を保有しました。

暴落しているときは、その暴落が加速し「このまま消えてなくなってしまうのではないか」とまで思ってしまうものなのです。

それにより"売り"が加速し、株価はどんどんと下がり歯止めがきかなくなっていきます。

 

とある富裕層の老夫婦とそのプライベートバンカーの話

とある富裕層の老夫婦も、このリーマンショックのダメージを直接受けました。

彼らは1990年頃から、プイベートバンカーのアドバイスのもと長期・分散投資をしており、幾度かの金融危機も乗り越えていましたが、それでもリーマンショックのインパクトは余りにも大きかったと言います。

 

マスコミは連日悲観的な報道を続け、株式市場は元の1/10の価格が適正だと主張するコメンテーターもいました。

不安を煽るような風潮にさらされてさすがに怖くなり、老夫婦は「もう資産運用はやめた方が良いのではないか」とも考えたようです。

 

しかし、彼らが信頼し続けてきたプライベートバンカーは、この状況でプロフェッショナルとしての真価を発揮します。彼は、老夫婦にこう告げたのです。

「過去に金融危機は何度でもあったが、その後株式市場が低迷したままだったことなんて一度もない。それらは地球に資本主義経済というものがある以上、やがて回復する」

「今回も、長い目線でみれば下落はあくまで一時的なものになるだろう。一番悪いのは焦って今の株を手放し、一時的であるはずの損を完全に確定してしまうことだ」

「何も焦ることはない。手元に余裕資金があるのであれば割安で追加投資をする大いなるチャンスだとすら考えられる。このように群衆が狼狽えている時はいつだってチャンスだ

 

老夫婦は、このアドバイスに耳を傾けることにしました。

さすがに追加の投資をする勇気はなかったものの、株価がどんどん下がっていっても腹をくくって様子見を決め込んだのです。

すると、なんと株価はリーマンショックから2年で、リーマンショックの前の水準まで戻り、それから7年も経つとリーマンショック前の2倍の水準まで上がったのです。

 

金融危機で最適な行動とは

このように、不必要に多くの人が狼狽ているときには、いっそのこと腹をくくって「何もしない」という行動が正解になったりもします。

 

株価が上がれば、このまま上がり続けると報道され、暴落すればこのまま消えてなくなると報道される。

こういった、過度に群衆を煽るような報道のもとでは、もっとも損を出すのはミーハーな人達なのです。

別に暴落だろうが何だろうが、知ったこっちゃないというスタンスを貫ければ、意外と損は抑えられるかもしれません。

 

リーマンショックを乗り越えたヘッジファンド

さて、老夫婦の話は、リーマンショックのパニック化でも冷静になることの大切さを説明しました。

しかし、なかにはリーマンショックを利用して、お金を「儲けて」しまうような凄腕の投資家もいます。

中でも、もっとも代表的なのは、「グリーンライト・キャピタル」というヘッジファンドでしょう。

 

グリーンライト・キャピタルとは

グリーンライト・キャピタルとは、米国の有名投資家であるデビッド・アインホーン氏が率いるヘッジファンドです。ヘッジファンドは、富裕層のみが投資することの出来る、私募のファンドのことです。

 

グリーンライト・キャピタルは、近年でこそ不調が続いていますが、2013年までの20年間は平均で20%近くという驚異的な成績をあげてきました。

 

リーマン・ブラザーズの破綻を見抜いたヘッジファンド

「グリーンライト・キャピタル」を有名たらしめたできごとこそが、リーマン・ブラザーズの破綻です。

2008年5月、アインホーン氏は米国の住宅サブプライムローン問題により、多くの銀行が損失を計上している中、リーマン・ブラザーズだけが損失を計上していない点に注目し、同社を独自に調査し始めます。

 

リーマン・ブラザーズの財務指標を様々な観点から分析したアインホーン氏は、同社が65億ドルもの債務担保証券(ローンなどを担保とする証券)を保有していながら適切な会計処理をしていないという事実を突き止めました。

非常に平たく言えば、損失を隠す粉飾決算を行っていたということです。

 

アインホーン氏はここでリーマン・ブラザーズからの反撃を恐れずにこの事実に言及していく一方で、同社としてリーマン株の「空売り」を開始します。

つまり、リーマン・ブラザーズの株価が大きく下がるということに、賭けたのです。

 

アインホーン氏とリーマン・ブラザーズの戦いは数カ月に及び、結局、粉飾決算が明るみに出たリーマン・ブラザーズは2008年9月に経営破綻しました。

そして、グリーンライト・キャピタルは、リーマン・ブラザーズの株式を大量に空売りしていたことで、金融市場に参加する多くの投資家が大損する中で、1人大儲けすることに成功しました。

 

もちろん、このグリーンライト・キャピタルに投資をしていた投資家も、大きな儲けを得ています。アインホーン氏という才能に賭けることを決めた投資家達は、市場の動きとは全く違うリターンを得ることに成功したのです。

 

まとめ - 投資家がとるべき行動とは -

これまで見て来た通り、リーマンショックにより大きな損失を出す人が続出する一方で、プライベートバンカーのアドバイスにより「ひたすら保有」という選択をできた人や、才覚あるファンドマネージャーに預けていたことにより大儲けすることができたという人がいます。

 

こういったできごと(事例)をいくつも聞いて心底思うのは、「マスコミや噂話の情報に踊らされる人は常に負ける」というものです。

ITバブルや仮想通貨ブームの際にも、メディアの情報に踊らされて損をした人は少なくないでしょう。

 

儲かるらしいという噂や、このまま暴落するらしいという噂など、世の中一般に溢れる浅い情報を鵜呑みにして判断がブレる人というのは常に損を出します。

 

一方で、利益を追求できる投資家は、優秀なプライベートバンカーやヘッジファンドのファンドマネージャのように、どんな状況でも合理的で正しい判断ができる「プロ」と呼ばれる人たちです。

やはり、一般の投資家では、暴落やブームの際には、精神的にも舞い上がったり落ち込んだりと、冷静な判断ができなくなってしまいます。

 

投資は、なにも全てを自分自身で完結する必要はありません。是非、様々な選択肢を検討し、プロの力を借りる(活用する)ことも考えてみてはいかがでしょうか。

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