投資に関する理論や法則は数え切れないほど提唱されていますし、色々な人が様々な事を言っています。
一口に「投資家」と言っても、様々な立場や違いがあり、ウォーレン・バフェット(Warren Edward Buffett)やジム・ロジャーズ(Jim Rogers)のような著名な投資家から、個人で億をトレードする有名な個人投資家まで実に様々です。
「投資で何とかお金を増やせないかなぁ」と考えている方の多くは、こういった成功している投資家の理論や考え方が気になるのではないでしょうか。
今回は、個人投資家として230億円もの巨額の資産を運用する「cis(しす)」さんを紹介したいと思います。
個人投資家「cis」とは
cis(しす)は2000年、21歳の時に300万円の資金を元手に株式投資を始めています。
着々と資産を積み上げていくのかと思いきや、運用をスタートした初期はなかなか利益を得ることができず、104万円まで資産を減らしてしまったそうです。
200万円の損かと思われるかもしれませんが、実際には給与や貯金も投資に充てていて損失額は2年半で1,000万円を超えたとされています。
しかし、その後投資のやり方を工夫し、短期トレードを主体としてメキメキと資産を伸ばしています。
2005年の「ジェイコム株大量誤発注事件」の際にわずか10分で6億円もの利益を獲得したことで話題にになり、某電子掲示板でも一躍著名な投資家の仲間入りをしました。
そして、2019年現在の運用資産は230億円です。
cisの投資哲学
「本能に克てねば投資に勝てない」
これは、cisが語っている投資哲学です。その中でも典型的な負けパターンとして「損を認められない気持ちが敗北につながる」としています。
投資では、自分の選択や判断が正しかったのかどうかがはっきりわかります。自分が間違った投資をした場合には、「損失」という形で目に見えるのです。
ですが、多くの人はこの「損失」を受け入れられません。自分の投資が間違っていたと認め、損失を確定させることがなかなかできないのです。
投資の世界できちんと勝ち続けるためには、この「損」とどのように向き合うかが非常に重要です。
重要な投資の判断の一つに「損切り」があります。買った株が値下がりしてしまったとしても、その株を買った判断が誤りだったと見極めて、損(失敗)を受け入れて損失を確定させることが求められます。
もしこれが正しくできないと、ダラダラといつまでも損を出し続ける株を保有すること(いわゆる"塩漬け"状態)になってしまいます。
確かに一時的に株価が下がっても、いずれ持ち直せば損失はなくなります。あなたの判断は間違ってなかったことになるでしょう。
ですが、この「希望的観測」をしているようでは投資の世界では成功できません。
仮に損をしてしまったとしても、その被害を最小限に抑え、次の投資に資金を投じることこそが重要なのです。
自己能力と自己認識が乖離している人は相場の世界では勝てない。簡単に言うと、自分の状態を直視できない人が負ける、という事です。
投資の世界では、自分の気持ちを別にして、自分の状態と現実を冷静に認識する必要があります。
とは言え、損(間違い)を認めるのは難しいことです。
特にこの「自分を冷静に認識する能力」は生まれつきの部分が大きく、努力によって伸ばすのが難しい分野とも言えるかもしれません。
生活に直結する「お金」を扱う投資の世界においては、この冷静で客観的な判断を繰り返す行為は特に難しいかもしれません。
これこそが、投資家として重要な資質の一つでしょう。
cisにとっての投資とは
cisは資産を増やすため、生活のために投資をしているわけではないようです。あくまでも投資自体が「楽しい・面白い」から続けているのだと言います。cisはとにかくゲームが得意で学生時代もバイトはせずパチンコなどで稼いでいたようです。
確かに既に230億円の資産があれば、投資を続けて稼ぐ必要はありません。それでもまだまだ続けているということは、単に「投資が好き、面白い」のでしょう。
cisについては、様々なエピソードがありますが、トレードに没頭し過ぎて体調を崩したこともあるようです。
トレードに集中している間はアドレナリンが出過ぎて、白血球数が通常の3倍以上になるという話もあります。一時期は、抜け毛がすごかったり、腹水がたまったりと不調に陥ったこともあるといいます。
それでも投資を続けたいと思えるほど、没頭できるゲームの1つなのでしょう。
このようにゲーム感覚で没頭できるからこそ、冷静で合理的・客観的な判断を繰り返せるのかもしれません。これは、彼の投資哲学「本能に克てねば投資に勝てない」に通ずるものがあります。
投資家に向いている人材
cisの例を見てもわかるように、個人投資家が成功するためにはそれなりの資質が求められます。
朝6時に起きてニュースをチェックし、その日のトレードを計画する。9時になったら取引を始め、休憩をはさんで15時まで取引を続ける。夜までは銘柄研究をして、夜中は株価や海外の動きが気になって起きてしまうこともしばしば。
これほどまでに時間や労力をかけ、生計を立てるべく資産を増やすために没頭しなければなりませんが、一方で客観性と合理性を失わず、一歩引いた立場から冷静に取引を進めなければなりません。
投資家は、金融の世界におけるアスリートとも言えるでしょう。
日々勝ち負けのある世界で勝ち続けなくてはならない。トレーニングや鍛錬(勉強)を怠ってはいけませんが、それ自体を楽しめる余裕も求められる。
個人投資家として成功するのは本当に限られた人たちでしょう。投資の世界で生きていくことは、スポーツの世界でプロの選手になることと同じようなものだと思います。
これは、普通の人、それも本業が別にある方(いわゆる会社員)には非常に難しいでしょう。
なので、一般の方が資産運用に興味がある場合、個人投資家を目指すのでなく、他の方法を選択することをおすすめします。
自分自身がプロにはなれずとも、運用をプロに依頼するなどその方法は様々です。代表的なものとしてはヘッジファンドなどが挙げられるでしょう。
投資で利益を得る方法は一つではありません。ぜひ様々な方法を検討してみてください。