ある程度の資金がある方であれば、投資信託や国債ではなく私募の「ファンド」への投資を検討しているかもしれません。

私募ファンドには預け入れ資金1億円以上と異常なまでにハードルが高いものもありますが、一方で、1,000万円程度の現実的なラインを設定しているファンドも少なからず存在します。

 

そんなファンドの中でも、今回は「PEファンド」と呼ばれるファンドにフォーカスし、PEファンドが発揮する代表的な4つの機能について説明したいと思います。

投資家にとってのファンドとは、あくまで「投資先」ですが、ファンドから投資を受ける会社の目線では、また彼らの見え方は変わってきます。

 

そもそもPEファンドって?

PEファンドとは、プライベートエクイティ(Private Equity)ファンドの略称です。

これは、投資家から集めたお金を元手に、未公開の株式を取得する(=上場していない企業へ投資する)ファンドのことです。

 

未公開株式を取得した後には、既存の経営者とともに経営を改善・改革していき、企業自体の価値を高めることを目指します。これにより投資先の株自体の価値を高めます。

無事、投資先の会社が良い状態になれば、投資を受けた企業としても、ファンドとしても、投資家としても収益を得られる、という構造です。

 

PEファンド4つの機能

経営への深い関与

今説明したポイントでもありますが、経営自体に深く関わっていくというのがPEファンドの重要な機能の1つです。

どのようにコストをカットすべきか、どのドメインに進んでいくべきか、どの事業は畳むべきか、人事制度はどうするべきか、と様々なポイントに対してPEファンドは意見を出します。

 

これを聞くと、「コンサルティング会社のようなものか」と思われる方もいるかもしれませんが、やっていることは似ているようであっても実態には大きく差があります。

 

コンサル会社とPEファンドとの最大の違いは、「様々なアドバイスの結果、当該企業が上手くいかない場合、アドバイスをした会社が実損をこうむるのかどうか」という点です。

コンサルティング会社は、あくまでアドバイス料としてお金を貰っているので、その結果企業の経営が改善しても/しなくても損はしません。

 

一方、PEファンドは、株式を取得し、つまり「株主」として自らリスクを取っています。投資先の経営を改善できなければ、実損を被ってしまうのです(またこれに伴いPEファンドに投資している投資家も実損を被ります)

このような「自らリスクに晒されているのかどうか」という違いは、実際の現場では想像以上のコミットの差となって現れます。

 

PEファンドと(投資先)企業とは、企業を再生しないと自分達も死ぬという「運命共同体」なのです。

会社が傾いているときは、得てして第一にコンサルティング会社を雇い、それで数年経っても成果が得られないので、PEファンドに泣きついてくるというパターンが多いのです。

 

資金調達の代弁者

資金を注入して会社を立て直す、となった場合に、PEファンドの投資金だけでそれがまかなわれるということはありません。やはり、銀行の力を借りない訳にはいかないのです。

しかし、そういった企業というのは、経営状態が芳しくないため、銀行に見放されてしまっています。

 

そこで、PEファンドが介入することの価値が発揮されます。

彼らは、企業の経営者にかわって銀行へと出向き、融資をしてくれるようにプレゼンします。

事業計画を提示して融資を募るというのは、簡単な仕事ではありません。企業の経営者にとっても、これは非常に億劫な仕事の一つとなっている場合が多いはずです。

そこを、資金調達のプロであるPEファンドが代行してくれるのですね。

 

また、銀行にしてみても、PEファンドが後ろ盾についていることが、担保になります。銀行はリスクのある融資を嫌いますが、仮にその企業単体の業績が良くなくても、最悪ファンド本体から回収できると考えて融資を受けることができるでしょう。

また、PEファンドという優秀な人間が在籍する組織が自らの資金で投資しているというのも、融資の際の有力な根拠となり得ます。

こうして、ひとつPEファンドから出資を受けることができれば、様々な形で資金を集められる可能性がグっと広がるのです。

 

必要な人材の供給

経営難に陥っている状態に会社にPEファンドが株主として入り経営改革に着手すると、確実に新たな人材が必要となります。

例えば、よくあるケースは海外進出です。日本固有の技術であり、海外でもニーズがあるようなものであれば、それを輸出することで売上を伸ばし、業績を改善していこうというアイデアが生まれます。

 

しかし、日本の中小企業の多くは、この海外進出をどのように進めれば良いか分かりません。

どのような現地パートナーと組めば良いのか、どのような物流業者を起用すれば良いか、海外展開をする上で必要となる外貨はどのように獲得すれば良いか、このあたりがチンプンカンプンというのが通常の企業です。

 

このような状況においても、PEファンドのサポートが役に立ちます。

彼らは色々なパートナーと常に協業しているので、このような新市場の進出にあたるスキーム作りは非常に得意ですし、その為に必要な人材を、投資先へ送り込むこともできます。

企業の戦略策定から、その実行、そして人材の投入に至るまで、PEファンドは全面的にサポートをするのです。

 

風評被害の対策

企業の経営が行き詰まったときの選択肢としては、関連企業への「売却」も考えられます。同業者や、関連会社に、会社をそのまま買い上げてもらい、企業を存続させるという方法です。

 

しかし、この「売却」をすべく様々な会社と交渉を進めると、どうしてもその過程で悪い噂というものが市場に出回ることになってしまいます。

「あの会社、身売りするらしい・・・」と言ったように、身売りという言葉とともに、色々な憶測が飛び交います。

この風評被害は予想以上に大きく、客離れをもたらしたり、従業員の退職をもたらしたりと悪い循環に入ってしまう可能性があるのです。

 

一方、PEファンドからの投資を受けることで再生を目指すのであれば、色々な人に会社譲渡の話をする必要はなく、会社の風評が広まることもなければ、風評被害を受けることも回避できます。

PEファンドが株式を取得する(株主になる)際には、事前に守秘義務についての契約を交わし、様々な経営改革の過程でその噂が悪い形で広まるということはありません。

ファンドという第三者とともに会社を立て直すことには、このようなメリットもあるのです。

 

まとめ - PEファンドへ投資する価値 -

以上、今回はプライベートエクイティファンド(PEファンド)と呼ばれる組織の機能について説明してきました。

このサイトを読んでいる皆さんは、恐らく資金を調達する会社の社長ではなく、こういった私募ファンドに一投資家として出資を考えている方が多いと思います。

自分たちの出資(投資)するファンドが、その投資活動においてどのように価値を発揮し、どのように投資家や投資先に収益をもたらすのかという部分について、少しでも理解が深まれば幸いです。

 

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