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三井住友・配当フォーカスオープンとは
「三井住友・配当フォーカスオープン」という投資信託が好調です。
過去にFund of the Yearにも選出されたことのあるこのファンドは、2004年に設立されて以来、13年以上に渡って同時期のTOPIXを上回るパフォーマンスを記録し、モーニングスターレーティングで最高の5ツ星を記録しています。
出典:三井住友・配当フォーカスオープン 特設サイト - 三井住友アセットマネジメント
https://www.smam-jp.com/sp/focusopen/index.html
今回は「配当」に注目するという、一風変わった投資戦略(銘柄選定)をするこのファンドを詳しく紐解いていきたいと思います。
三井住友・配当フォーカスオープンの基本情報
- 商品名:三井住友・配当フォーカスオープン
- 商品分類:追加型投信/国内/株式
- 投資対象地域:日本
- 投資対象資産:その他資産(投資信託証券(株式一般))
- 投資形態:ファミリーファンド
- 設定日:2004年6月22日
- 信託金の限度額:1兆円
- 申込手数料:1.62%(税抜き1.5%)を上限
- 運用管理費用(信託報酬):年0.9072%(税抜き0.84%)
- 信託財産留保額:なし
- 委託会社:三井住友アセットマネジメント株式会社
参考:三井住友・配当フォーカスオープン 投資信託説明書(請求目論見書)
https://www.rakuten-toushin.co.jp/fund/nav/ribla43/pdf/ribla43_P.pdf
三井住友・配当フォーカスオープンの特徴
三井住友・配当フォーカスオープン最大の特徴はなんと言っても、「配当に注目した銘柄選定」という投資戦略にあります。
このファンドは東証一部・二部に上場する企業のうち、配当性向や予想配当利回りが高い企業に、収益性・財務健全性を考慮した上で、投資しているようです。
もちろん、銘柄選定はそれだけに限らず、独自の指標(収益性や株価の割安度など)によってスコアリングした銘柄にも「追加収益銘柄」として投資しています。
「配当による銘柄選定」と「追加収益銘柄」の組入比率は7:3ほどになっています。
この「配当」に注目するという投資戦略はなかなか他に例を見ません。この投資戦略を支えるポイントは、中小型株の選定にあります。
というのも、配当利回りが高い(2.5%以上)銘柄は中小型株の方が銘柄数、割合共に多いのです。時価総額が1,000億円以上の大型株の場合709銘柄中98銘柄(13.8%)なのに対し、50億円〜1,000億円の中小型株の場合1,638銘柄中251銘柄(15.3%)となっています。
そのため、中小型株を効率的・効果的に選定するスキルやノウハウが必要になります。そこで同ファンドは、中小型株の運用に長けた専門家をファンドマネージャに起用しています。
ファンドマネージャを務める木村忠央氏は三井住友アセットマネジメント株式運用グループシニアファンドマネージャを務め、三井住友・中小型株ファンドや三井住友・フォーカス・ジャパン・オープンも担当する、まさに中小型株運用のプロです。
その甲斐もあってか、同ファンドの運用成績は好調です。
2004年の設定来の騰落率が+169.3%(年利+8%超)という高利回りを記録しています。
出典:三井住友・配当フォーカスオープン 特設サイト - 三井住友アセットマネジメント
https://www.smam-jp.com/sp/focusopen/index.html
利回りの高さもさることながら、TOPIXと比較して常に順調に推移している点も評価できます。このファンドが人気の理由にも納得です。
「高配当」は本当に優れているのか?
このように「高配当」の銘柄を選定して利益を出しているファンドを見ると、「自分でも高配当の銘柄を買って投資してみたい」と考えてくる人もでてくるでしょう。
そもそも配当利回りが高いというだけで、投資家にとっては魅力的に映りますし、それだけで株式としての魅力も高まります。結果、株価が上がることもあるでしょう。
一見すると配当の高い配当を出す銘柄は、企業としても優れているようにも感じられます。確かに高配当の背景には
- 配当の原資となる利益があり、借入金が少ない
- 過剰な投資をしていない
- 投資家へ利益を還元しようとする経営姿勢がある
といったものが考えられます。もちろんこういった背景を理由に、健全に高い配当を出す企業も少なくありません。
一方で、投資家の注目を集め、時価総額を上げるために配当を出す銘柄もあるのが事実です。
特に未熟な投資家の多くは、詳しいこともわからないまま「配当」という目に見える目先の利益に飛びついてしまうため、経営上の合理的な判断のない配当を出す企業も少なくありません。
そもそも配当というのは、企業の財産を削って出すため、実質的に投資家にとっての利益となっているかは判断が難しいところがあります。
もちろん意味もなく企業が現金を社内に貯めこんでいる場合は、現金が腐るため投資家に還元することに意味があります(これは個人が必要以上に資産を貯金に回し、消費が進まない日本経済の停滞に等しいものがありますね...)
一方で、企業が資金に余裕のある場合、それを投資に回すこともできます。研究開発費を増やし新たなビジネスに挑戦することもできますし、設備投資をして最新のテクノロジーを駆使することもできるでしょう。
未来の利益や発展のために、利益(資金)を適切に使うこともまた企業にとって重要なことです。
一口に「高配当」といってもその企業の評価は詳しく見てみなければわかりません。安易に高配当の銘柄を買えば利益が出るとも言えないでしょう。
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まとめ - 銘柄選びで考えなければいけないこと -
単純に高配当の銘柄を買えば良いというわけではないという点からも、三井住友・配当フォーカスオープンが高いパフォーマンスを記録している背景には、当ファンドならではの銘柄選定が成果に結びついていると考えられます。
中小型株運用のエキスパートをファンドマネージャに起用している点は、ファンドのパフォーマンスに大きく寄与していると考えられるでしょう。
今後もこのファンドが同様のパフォーマンスを維持できるかは意見が分かれるところかもしれません。
仮に過去の運用で成果が出ているからといって、同じように運用して同様の成果が得られるとも限りません。このファンドの場合は、独自の選定基準(スコアリング)や専門家(ファンドマネージャ)の存在は見過ごせないでしょう。
「配当」のように定量的で誰の目にも見えやすいものは、ついつい銘柄選定の基準に選んでしまいたくなる魅力があります。
確かに「配当」や「手数料」はわかりやすく比較も簡単なので、安易に飛びつきたくなってしまうポイントです。
ですが、重要なのはそこに隠された、経営の意図や運営の裏事情にあります。
企業経営にとって現金の使い方は非常に重要で、ただ単に配当として出せばよいものではありまんせん。適切に研究開発などに費やした方がよいこともあるでしょう。
また、手数料も一見すると安い方がよいようにも感じられますが、適切なコストが払われないことで「安かろう悪かろう」なものでは元も子もありません。
株や投資信託、ファンドなどを選ぶ際には、安易な基準に飛びついてしまわないよう注意してください。