藤野英人氏とは
藤野英人氏をご存知でしょうか?
藤野氏は今、大人気の「ひふみ投信」を運用するレオス・キャピタルワークス株式会社の代表取締役社長、兼最高投資責任者(CIO)を務め、メディアにも度々登場する有名トレーダーです。
ひふみ投信に限らず、投資信託に投資(購入)するということは、そのファンド、ひいてはファンドマネージャに資産を預けることに等しい意味があります。今回は、日本を代表するカリスマトレーダーとして名高い藤野英人氏に焦点を当ててみましょう。
出典:藤野 英人 | 運用部インタビュー | レオス・キャピタルワークス株式会社
https://www.rheos.jp/interview/fujino.html
これまでの経歴
藤野氏を知るにあたって、まずは経歴から見ていきたいと思います。
藤野氏が代表兼CIOを務める、レオス・キャピタルワークスのホームページによると、以下のように記されています。
ふじの ひでと。野村投資顧問(現:野村アセットマネジメント)、ジャーディンフレミング(現:JPモルガン・アセット・マネジメント)、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントを経て2003年レオス・キャピタルワークス創業。CIO(最高投資責任者)に就任。2009年取締役就任後、2015年10月より現職。
中小型・成長株の運用経験が長く、ファンドマネージャーとして豊富なキャリアを持つ。東証アカデミーフェロー。
野村アセットマネジメント、JPモルガン、ゴールドマン・サックスと国内外問わず金融の超エリート企業に在籍しています。Facebookページによると、野村アセットマネジメントに在籍したのが1990年からで、30年近くも金融の第一線で戦ってきていることがわかります。
その後、2003年にゴールドマン・サックスを退職し、レオス・キャピタルワークスを立ち上げ、同社が運用する「ひふみ投信」「ひふみプラス」の最高投資責任者(CIO)を務める今に至ります。
富山県で生まれ、愛知県で育ち、早稲田大学では法学部に在籍していました。裁判官や検察官を目指していたものの、司法試験に受からなかったために、社会勉強として野村アセットマネジメントに就職したようです。それが現在"投資のカリスマ"としての地位を築いているわけですから、人生何があるかわかりませんね。
運用の中心は「中小企業」と「社会貢献」
藤野氏が代表を務めるレオス・キャピタルワークスの経営理念は「資本市場を通じて社会に貢献する」となっています。つまり藤野氏は、資産運用を通じて投資家の資産形成に貢献することはもちろん、日本の成長企業に投資し、日本社会に貢献することを重要視しています。
このことは藤野氏の著書『投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)』の中でも語られています。
また、成長企業の中でも特に「中小企業」に中心に投資しているようです。
これは、藤野氏のキャリアが野村投資顧問(現:野村アセットマネジメント)の中小型株運用部門からスタートしていることとも関係しているとは思いますが、次に説明する「定性的な情報」や「人の感覚・感性」を重視するという投資哲学とも密接に関係しているとも考えられます。
詳しく見ていきましょう。
投資哲学は「定性的な情報」を重視
藤野氏が重要視しているものの一つに、「定性的な情報」や「暗黙知」があります。
どのようなファンドでも銘柄ミーティング(どのような銘柄に投資するかを検討する会議、それぞれが調査・分析してきた内容を共有し議論するのが一般的)を実施しますが、ひふみ投信では、雑多な会話を積極的に行なっているようです。
このことからもIR情報のような数字に表れない、人が感覚的に知る情報や知識、信頼しているトレーダーたちの感性を大切にしていることがわかります(もちろん一般的なIR分析や定量的な評価もしているようです)。
合わせて、お店や工場などの現場、(藤野氏の言葉を借りると)「フィールド」から得られる情報も重要だと言っています。このことからも、藤野氏が資料や数字などの一元的な情報ばかりでなく"生の"情報を大事にしていることがわかります。
他にもアニュアルレポートに顔が乗っている、会社を経営している人の顔が見えることを重要視したりしてもいます。藤野氏が、社会を形成する"人"を重視していることが、あらゆる彼のインタビューや著書から垣間見ることができます。
このような、定性的な・フィールドから得られる情報から経営を読み解くというスタイルは、まさに中小企業の分析でこそ力を発揮するでしょう。規模の小さい企業こそ、そこで働く人や、現場の空気、感覚的な理解が、経営や業績を大きく左右します。
「中小企業を中心に投資する」という投資手法と「現場の情報を重視する」という哲学は上手くかみ合っているのです。
ちなみに、この考えの根底には「長期的に利益と株価が一致する」という大原則があります。この大原則があってこそですが、会社の成長が「現場」や「人」によって支えられているという藤野氏の考え方が根底にあると伺えます。
著書『スリッパの法則―プロの投資家が明かす「伸びる会社・ダメな会社」の見分け方 (PHP文庫)』の中でも、たくさんの"法則"が明かされていますが、この「定性的な情報」や「人や感性」を重視するという考え方はいたるところに垣間見えます。
ひふみ投信のCIOとして期待すること
このように"現場の理解"や、"人の感性"といった「定性的な情報」を信じ、社会の貢献も重視する藤野氏ですが、実際に運用の成果はどうなっているのでしょうか?
藤野氏が最高投資責任者(CIO)を務める「ひふみ投信」は、2018年7月現在、年利18%という驚異的な成果を残しています。
出典:運用レポート(ひふみのあゆみ) 2018年7月度
https://www.rheos.jp/toushin/pdf/toshin-hp-report20180807_H87.pdf
TOPIXと比較しても驚異的な成績であり、今最も人気・注目を集めている投資信託の一つとなっています。純資産総額もひふみプラスと合わせて8,000億円近い額に達しており、国内最大のファンドと言って差し支えないでしょう。
ひふみ投信については以下のページでも詳しく解説しているので興味のある人はぜひ合わせてご一読ください。
藤野氏の投資哲学や投資手法も気になるところですが、やはり投資家としては、ファンド(ひふみ投信、ひふみプラス)が高い運用成果を残すことが重要でしょう。そこには、投資に対する考え方や哲学が密接に関係しています。
投資信託に預け入れる(出資する)際には、投資信託の運用ポリシーだけでなく、ファンドマネージャの投資哲学も合わせて確認しておきたいところです。