投資を始めようと思ったときに一番最初に検討する選択肢の一つが「投資信託」でしょう。

ですが投資信託というのはそもそも、一体何なのでしょうか。その本質をきちんと理解している人は少ないと思います。本当に、投資に値するものなのでしょうか。

 

今回は投資の初心者に向けて、投資信託とは何なのか、どんなメリットやデメリットがあるのかを、金融のプロの目線からわかりやすく解説していきたいと思います。

 

投資信託って何?

「投資信託」は、投資・運用をしようと思っている皆さんにとっての1つの「投資(金融)商品」です。そこに資金を投じることで、うまくいけば資産を増やすことができます。

そういう意味では、「株」や「外貨」などと並列で捉えることが出来ます。手元にお金が1,000万円あるのであれば、それを株に投資しても良いしドルに投資しても良いし投資信託に投資しても良いのです。

 

では、「投資信託」にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?それぞれ具体的に見ていきましょう。

 

投資信託のメリット

資産を増やすことができる

余りにも基本的なことなので書こうかどうか迷いましたが(笑)、投資信託を保有することで資産が増えることが期待できますので、これをメリットとして明記しておきます。

 

「投資信託を買うかどうか」を検討をする際の比較対象として「銀行に置いておく」などの選択肢がありますが、今の時代、銀行に預けていても受け取れる金利は0.010%程度です。

1,000万円預けても年間に1,000円しか受け取れません。ATMの手数料数回で簡単に消し飛んでしまう金額です。全く増えていないと言ってよいでしょう。

 

一方、投資信託に投資(保有)すれば、上手くいくと年間で10%といった利回りを得ることもできます。先ほどの1,000万円の例であれば年100万円です。

ただ投資をするだけで、他に何をせずとも手に入るのです。これは「投資信託」の持つ大きなメリットの1つです(あまりにも当然ですが...)

 

分散投資が出来る

ここからは少し掘り下げたメリットについて解説していきましょう。

株などの他の金融商品と比較して、投資信託の優れている点は「分散投資」ができるという点にあります。

投資信託は、皆さんのような投資家からたくさんお金を集めて、集めた資金をひとまとめにして複数の会社(株式)や国(債券)に投資し、運用します。

よって、1つの投資信託に投資する(保有する)ことで、実質的には複数の会社に投資しているのと同じ分散投資の効果が期待できます。

 

投資の世界には、「単一の銘柄に投資をすることは危険であり、複数の投資先に分散させることでリスクを軽減した方が良い」という考え方があります。

つまり、その存在自体に分散投資の価値がある投資信託は、それ自体がメリットになり得るのです。

 

実際のところ、本当に賢明な投資家はむやみやたらに投資先を分散させないのですが、初心者はやはり単一の投資先に集中的に投資せず、分散させておくのが賢明です。投資信託を活かして分散投資をするのは良い方法だと思います。

 

手続きが簡単

投資信託で運用するのに、複雑な手続きは必要ありません。

証券会社や銀行などの販売会社へ行き、取引用の口座を開設すれば誰でも簡単に取引ができるようになります。最近はネット証券も普及してきたので、身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)さえ準備できれば、自宅で全ての手続きを済ませることも可能になってきました。

 

小額から投資することができる

投資信託は、1,000円や1万円といった小さな金額から投資をスタートすることができます。

世の中には、富裕層に向けた「ラップ口座」や、「ヘッジファンド(プライベートファンド)」のようなサービスもありますが、これらは少なくとも数百万円、高いところで数千万円が最低投資金額となっています。

投資を始めるハードルが低いのは投資信託の大きなメリットの1つです。

 

一度保有したらあとは放置しておける

これは、自分で「株」や「FX」との比較になりますが、投資信託には「一度保有したらあとは放置で大丈夫」という特徴があります。

投資信託は、各ファンドの運用担当者が、ファンドの資金をどこに投資するのかを検討し、適宜ポートフォリオを組み直してくれるので、私たち投資家が日々個別の銘柄をチェックする必要もありません。市場の動向を注視して売り買いの判断をする必要もありません。

 

投資家として生計を立てようとしているような方を除いて、多くの個人投資家の皆さんにサラリーマンとしてのは本業と思います。運用かかる手間が小さいのは立派なメリットです。

 

投資信託のデメリット

資産が減る可能性がある

当たり前ですが、投資した資産が増える可能性もある一方、減る可能性もあります。

投資信託は元本が保証されているわけではありません。ヒドイときは、年間で30%近く資産が減る可能性もあります。

仮に1,000万円を投資をしていたら、何もしていないのに300万円が減ることになるわけです。この喪失感は計り知れません。

デメリット、という表現が正しいかは分かりませんが、投資信託で運用することには相応のリスクが伴うということはしっかりと覚えておいてください。

 

手数料を取られてしまう

投資信託へ投資するというのは、先ほど図で説明した通り、投資信託という資金プールを通じて「株」や「国債」といった他の投資先へ投資することなのですが、自ら個別の株を買う場合に加えて、手数料がとられてしまいます。

 

手数料を支払う先は、直接取引を行うの「販売会社(証券会社、銀行等)」と、実際に運用する「運営会社(アセットマネジメント会社)」の2つです。

下図のように、投資信託を通じて投資する際には、2つ(以上)の会社を経由し、それぞれの会社に費用を支払うことになります。

 

手数料の割合は商品毎に様々ですが、購入時に投資金額の数%、そして毎年投資金額の数%が引かれます。

手数料を払う分、自ら色々な投資先に投資することに比べて、「手間」や「運用の実力」面でのリターンが得られます。このバランスをよく考え、特に自分で銘柄分析をするような時間がない忙しい人や、あまり金融の知識がない人などにはおすすめできるかもしれません。

 

どの投資信託にするか選ぶのが難しい

投資信託に関する公的なデータを扱っている、一般社団法人投資信託協会によると、2018年現在、一般人の買える投資信託は6,204本も存在するそうです。

そして、金融庁のデータによればこういった投資信託のうち約半数が損を出していることがわかります。つまり、あなたが投資信託を買うと、半分の確率で損をしてしまうのです。

 

更に厳しいことに、あなたに投資信託の営業をしてくる証券会社の販売員や銀行の営業担当員は、金融のプロとは言えません。つまり彼らはどの投資信託が儲かって、どの投資信託は儲からないのか、判断する力がないのです。

 

結果的にあなたは投資信託を買うにあたって、ある種の「賭け」をすることになります。たまたま良い投資信託に投資をすることが出来るかどうかは運次第といったところです。

これは投資信託のもつデメリットの中で最も深刻なものでしょう。

 

運用担当者が優れたトレーダーとは限らない

投資信託にはそれぞれ運用の担当者がいて、彼らが適宜適切に運用してくれると説明しました。

それ自体は間違いない事実なのですが、しかし運用担当者が投資家として優れているかというとそうとは限りません。

多くの場合、日本に存在する投資信託の運用担当者は、ただのサラリーマン。いわゆる一流のトレーダーとは限らないのです。

結局、これこそが日本の投資信託の半分が損を出してしまっている背景の一つなのですが、大船に乗ったつもりでいられるほど期待の出来る投資信託というのは中々ないと思って間違いないでしょう。

 

まとめ - 投資信託は資産運用に適しているのか -

ここまでの話を整理して結論言うと、投資信託で資産運用をするのはおすすめできません。

投資信託は、みなさんが思っている以上に仕組みが複雑で手数料もかさみますし、なんと言っても「儲かりにくい」という最大の欠点があります。

投資信託で運用し、資産を増やそう(利益を得たい)と思うのであれば、6,000本以上ある商品の中から、全体の半数にも満たない商品を自分自身の力(or 運)で見つけ出さなければいけません。

 

投資初心者が運用を始めるのであれば、シンプルなETFを持つか、ヘッジファンドのような資産運用サービスを活用する方がおすすめです。

資産運用の方法は一つではありません。是非いろいろな選択肢を見て検討してみてください。

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