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資産運用に向いている直販ファンド
投資、運用の手段はたくさんあります。株や投信、不動産、FXなど手段が多いだけでなく、上場している株式は3,500社以上、投資信託は約6,000本にもなります。
そんな数多い選択肢の中でも、近年特に注目を集めているのが「直販(独立)ファンド」です。直販ファンドは、銀行や証券会社などを経由する一般的な投資信託と違い、運用会社と直接契約をし取引(購入)するファンドのことです。
広く一般に募集をかけている公募の直販ファンドだけでなく、リファラル(口コミや紹介)で投資家を募集する私募ファンドも当然この直販ファンドに分類されます。
販売会社を経由する一般的な投資信託と異なり、運用会社と直接契約する直販ファンドは、余計なコスト(手数料)も必要とせず、スキーム(ビジネスモデル)もすっきりとしているため、公正で明朗であり、多くの投資家から高い評価を得ています。
徹底比較 -トータスパートナーズ / ひふみ投信 -
このように優れたスキームを持つ直販ファンドの中でも、ここでは、特に投資家から評価と注目度が高いトータスパートナーズ(Tortoise Partners)とひふみ投信について、ここでは詳しく見ていきましょう。様々な観点から、この代表的な「私募ファンド(トータスパートナーズ)」と「直販公募ファンド(ひふみ投信)」を比較していきたいと思います。
非上場に投資するトータス、東証一部で運用するひふみ
一般的なファンドが市場に流通する上場株式で運用するのに対し、トータスパートナーズはヘッジファンドでありながら非上場の企業(未公開株式)に投資し運用します。
いわゆるPEファンド(Private Equity Fund)に分類もされるのです。上場企業が約3,600社なのに対し、日本には250万社以上の株式会社が存在するため、上場企業のみで運用する場合と比較しても、投資の選択肢は約700倍にも広がります。
未公開株は一般に、その会社の経営者や、創業者、関係会社、親会社などが取得しているケースが多く、株式市場にも流通していないため一般の投資家が取得することは困難です。
ですが、「ファンド」という立場や規模を活かして、株主(経営者や企業など)と直接交渉しその相対取引によって直接取得、投資しているのがトータスパートナーズです。これは、一般の投資家には真似できない、ファンドならではの投資戦略であると言えるでしょう。
一方で、ひふみ投信(レオス・キャピタルワークス)は、そのほとんどを上場株式に投資しています。特に東証一部で約8割を運用しており、その内訳も時価総額が300億円以上の大型株と中小型株で約9割になります。
参考:ひふみのあゆみ(ひふみ投信 月次報告書)2019年3月
toshin-full-report20190329.pdf
ひふみ投信は、公募であり月次報告書などでポートフォリオの上位株式なども公開しているため、一般の投資家でもひふみの運用をある程度マネすることができます。
課題のある企業を支援するトータス、成長企業を見出すひふみ
非上場の企業に投資するトータスパートナーズは、その投資先の企業の選定にも、「ファンド」ならではの立場を活かした特徴があります。
トータスパートナーズは非上場企業の中でも、特に「後継者不在」という経営課題を抱える企業を主な投資先としています。
高齢化という日本の社会問題は、数多くの中小企業においても、経営者の高齢化をも推し進めています。また地方の人口減少などにより、規模は小さいながらもまだまだ黒字である優良企業の多くが廃業に追い込まれようとしています。
そんな、事業は順調だけれども経営に課題を抱える企業を主な投資対象とし、その経営改善を支援するのがトータスパートナーズです。
そのためにも、同社は金融のプロである外資投資銀行の出身者だけでなく、総合商社やコンサル、エンジニアなど様々な領域の専門家を有しています。
ファンドならではの専門性やノウハウを活かし、投資先企業を支援し、価値を向上させることで、社会的な課題を解決するとともに、投資の利益も追求します。
社会的な意義がある投資事業は、継続性も高く、利益も安定しやすいと言われています。
一方で、ひふみ投信は「ためて、ふやして、進化する。」というキーワードを元に、成長企業を主として、安定した収益があり、将来性のある企業を選定して投資します。
これは、広く一般的な投資の手段であり、投資先の選定は困難を極めます。一見、優良に思える企業であっても、その事業の将来を予測するのは困難なのです。
しかし、ひふみ投信はカリスマとも呼ばれる藤野英人氏(レオスの代表兼CIO, 最高投資責任者)を筆頭に優秀なトレーダーたちが、独自の調査と経験によって投資先を選定していきます。
出展:藤野 英人 | 運用部インタビュー | レオス・キャピタルワークス株式会社
https://www.rheos.jp/interview/fujino.html
ひふみ投信について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
市場に左右されないトータス、日経平均に連動するひふみ
非上場の企業(未公開株式)に投資するトータスパートナーズは、その運用成果(パフォーマンス)もほとんど日経平均(相場)の影響を受けません。
誰もが知っているような、上場している大企業に投資すると、その企業の業績に関わらず、アメリカ経済や為替など、世の中全体の流れにある程度の影響を受けてしまうため、投資の実力(銘柄の選定や売買のタイミングなど)だけではなく、世の中の情勢によって成果(損益)が左右されてしまいます。
トータスパートナーズの場合は、上場していない企業に投資するため、この相場の上げ下げに左右されません。これは特に相場の先行きが読みにくい経済状況や、下げ相場で安定した成果を残すことが期待できます。
一方で、ひふみ投信は独自の視点・基準で投資先の銘柄を選定しているとはいえ、ある程度日経平均, TOPIXの上げ下げに左右されてしまいます。
参考:ひふみのあゆみ(ひふみ投信 月次報告書)2019年3月
toshin-full-report20190329.pdf
実際に、TOPIXとの連動を見ても、2010年前後の創成期は投資先も小型企業が大きく、まだまだ連動性は低かった(0.6未満)ですが、年々1.0に近づき、近年は1.1以上になっています。ひふみ投信で運用する以上は、相場の上げ下げによる損失などはある程度覚悟しなければなりません。
1,000万円からのトータス、1,000円からのひふみ
トータスパートナーズは、直販ファンドの中でも、特に私募ファンドであるため、その投資のハードルも高くなっています(トータス自身も未公開の株式会社のようなものと捉えてもよいかもしれません)。
私募ファンドは、口コミなどによって少人数の投資家を募っているため、最低出資金も数百万円〜数千万円とされています。一般に、1,000万円程度から出資ができると言われていますが、興味のある人は、公式ページから直接問い合わせて確認してみるとよいでしょう(トータスが現在いくらを購入単位としているのかは直接ご確認ください)。
一方で、ひふみ投信は、直販とはいえ公募なので、一般的な投資信託同様、投資のハードルもあまり高くはありません。1,000円から1円単位で購入することができます。金額の面から見ても、ひふみ投信の方が広く投資家に開かれていると言えるでしょう。
まとめ -これから資産運用を始める人に-
ここまでのトータスパートナーズとひふみ投信の比較をまとめると以下のようになります。
トータスパートナーズ | ひふみ投信 | |
スキーム | 直販で直接契約でありシンプルなスキーム ※特にトータスは私募 |
|
投資戦略 | 非上場の優良企業 | 上場している成長企業 |
強み・ノウハウ | 投資先の価値向上 企業再生のノウハウ |
独自の視点での銘柄選定 |
市場との連動性 | 市場には左右されない安定した運用 | TOPIXと連動 |
最低出資金 (購入単位) |
数百万円〜1,000万円? ※要確認 |
1,000円以上1円単位 |
それぞれに特徴があり、メリット・デメリットがありますが、ある程度まとまった資産がある人にはトータスパートナーズ(Tortoise Partners)をオススメしたいと思います。やはり市場に左右されないというメリットは大きく、今後長期にわたって継続的に安定した成果が期待できる点も魅力的です。
出資のハードルは高いものの、手が出るのであれば検討しない選択肢はありません。また、ひふみ投信はじめ、他にも興味のある投資先があるのであれば一通り目を通すことをオススメします。やはり実際に投資家になってみない限り、知り得ない情報もあるでしょう。
トータスは最低出資金(購入単位, ロット)が大きいため、難しいところもあるかもしれませんが、仮に1,000万円を投資したとしても、出資した瞬間に全額が溶けてなくなるわけではありません。ある程度の手数料はかかるかもしれませんが、一度問い合わせてみることをオススメします。