グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)とは

近年、運用として、投資信託を利用する人が増えていますね。特に投資初心者の方にとっては始めやすい商品だと思われているようです。そんな中、私自身が個別の商品(銘柄)について相談を受けることも増えてきました。

今回は、約5,000億円もの純資産額を誇る『グローバル・ロボティクス株式ファンド』について徹底解説します。

 

グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)の基本情報

  • 商品名:グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)
  • 主要投資対象:グローバル・ロボティクス株式マザーファンドを通じたロボティクス関連企業の株式
  • 商品分類:追加型/内外/株式
  • 信託期間:2015年8月31日~2025年7月22日
  • 購入時手数料:3.78%(税抜き3.5%)以内
  • 信託財産留保額:なし
  • 運用管理費用(信託報酬):純資産総額に対して年率1.9008%(税抜1.76%)
  • 為替ヘッジ:なし
  • 委託会社:日興アセットマネジメント株式会社

 

結局どんな運用をしているのか

さて、それでは「グローバル・ロボティクス株式ファンド」がどんな運用をするのかから確認していきましょう。ファンドな名前からある程度の予想はつきますね。さっそく目論見書を見てみましょう。

 

出典:グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)|目論見書
http://www.nikkoam.com/files/fund_pdf/642878/file/642878moku.pdf

 

色々と書いてありますが要約すると以下のようになります。

  • ロボティクス企業関連の株式へ投資
  • 為替ヘッジは無し
  • ロボット業界はこれから成長していくハズ!

つまり、今後の成長が期待できるロボット関連やAI関連の株式にどんどん投資をしていこうというファンドです。

 

これだけ聞くと、

「ロボット関連とか確かに成長しそう」
「AIとか絶対来るよね」
「それならこの投信は儲かるかも!」

と期待感を持たれるかと思います。ここで重要となってくるのは、具体的にどんな銘柄に投資をしているかです。具体的な投資銘柄も見てみましょう。

出典:グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)|マンスリーレポート(2018年7月30日現在)
http://www.nikkoam.com/files/fund_pdf/642878/file/m_robo_6m.pdf

 

こちらが組入銘柄上位10社の一覧です。1位のキーエンスに始まり、2位のロックウェル・オートメーションなど、制御機器や情報機器を販売する会社となっています。

これらは、ロボットやAIの発展には不可欠な製品となっており、社会における技術発展という点においてはとても重要な役割を担っていると言えるでしょう。

一方で、「株式投資の対象」としては、どんな特色を持つ企業なのでしょうか。組入率第1位のキーエンスについて解説していきたいと思います。

 

組み入れ比率の高いキーエンスの投資先としての特徴とは

キーエンスとは1974年に設立された制御機器などを開発生産するメーカーです。キーエンスのオフィシャルの事業紹介を転載します。

キーエンスは、ファクトリー・オートメーション総合メーカーです。

キーエンスは1974年の会社設立以来、FA(ファクトリー・オートメーション)用センサをはじめとする高付加価値製品を通じて、生産現場の生産性・品質向上に貢献して参りました。

自動車、半導体、電子・電気機器、通信、機械、化学、薬品、食品など、製造業のあらゆる分野において20万社以上のお客様にお取引いただいております。

また、海外においても1985年のアメリカ現地法人設立を皮切りに、現在では45カ国200拠点で事業を展開しております。
今後も世界初を連発する“企画開発力”と、顧客に密着した“コンサルティングセールス”で、世界の“ものづくり”をサポートして参ります。

 

ファクトリーオートメーションとは、工場等において生産工程を自動化する仕組みの事です。“ものづくり”において生産工程の自動化は必須の命題ですが、それを実現するための機器を開発していくメーカーなのです。

また、大学などの研究機関において必要となる顕微鏡などの各種実験機器の開発も行っています。日本の強みである「技術力」を体現する優良企業と言えるでしょう。

それでは、キーエンスの特徴を見ていきましょう。

 

30歳で家が立ち、40歳で墓が立つ

キーエンスでよく注目される点として、「年収が高い」という点があります。いきなりお金の話なんて、、、と思うかもしれませんが下記の年収ランキングを見て下さい。

出典:平均年収「全国トップ500社」最新ランキング | 賃金・生涯給料ランキング | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
https://toyokeizai.net/articles/-/202820?page=2

 

高年収企業として知られている、フジテレビやTBSなどのテレビ業界、三菱商事や住友商事などの総合商社よりも年収が高くなっています。その額は何と1,861万円。第3位です。

 

一方で業務は激務だと指摘されることがあり、深夜残業や中々休みが取れないなんてこともあるようです。この「収入は多いけど、業務は激務」ということを表して「30歳で家が立ち、40歳で墓が立つ」などと揶揄されています。

それにしても、なぜこれほどの給与を社員に払えるのでしょうか。その秘密は収益性の高さにあります。キーエンスの2010年からの業績ハイライトは以下のようになっています。

出典:業績ハイライト | 経営情報 | 会社情報 | キーエンス
https://www.keyence.co.jp/company/outline/finance-highlight.jsp

 

2010年から継続して営業利益率は40%を超え続け、2017年度には55.6%という驚愕の数字を残しています。

経済産業省の商工業実態基本調査によると製造業の営業利益率は平均4%です。キーエンスは平均の約14倍もの利益率を誇っているのです。

 

私も大学時代に友人の研究室を訪れた際に、キーエンス製の研究機器を見せてもらったことがあります。そちらは手に持てるサイズの顕微鏡でしたが約800万円ほどするとの事でした。慌てて壊さないよう棚に戻したのを覚えています。

そういった高付加価値、高額商品がこの利益率を支えているのでしょう。

 

キーエンス株の特徴とは

キーエンスが優良企業だという事は分かりました。それではキーエンスの株式にはどのような特徴があるのでしょうか。下記はキーエンスの株式の詳細情報です(2018/8/15時点)。

出展:キーエンス (6861) : 株価/予想・目標株価 [KEYENCE] - みんなの株式 (みんかぶ)
https://minkabu.jp/stock/6861

 

注目すべきは

  • PER 34.54倍
  • PBR 5.26倍

非常に割高となっている点です。

 

日経平均PERは13.08倍、PBRは 1.20倍ですので、それぞれ約2.6倍、4.4倍となっています。これは、日経平均を構成する銘柄群に比べて、収益ベースでみて2.6倍の株価、資産ベースでみて4.4倍の株価となっていることが分かります。

特にPBRが5.26倍というのは異常な数値と言えるでしょう。非常に端的に言えば、100万円の価値の会社を526万円の価格で買うというのと同じことなのです。

 

これらの数字だけを見ても、キーエンスの株価は非常に割高であるということが言えると思います。キーエンスは高い技術力に裏打ちされた高い収益性が魅力であり、今後も高収益体制を維持しながら成長し続けていくと考えらえているのでしょう。

 

現状で、キーエンスが優良企業なのは間違いありません。ただし、「株価」という点で見ると割高であることも間違いありません。こういった割高な株式は何かのきっかけでマーケットが下がったり、市場参加者が弱気になった時に一気に売られ急落する可能性があります。

トランプ大統領などの影響もあり、株式市場急落の懸念も指摘されている昨今、割高の株式を保有するというのはリスクが大きいと言えます。

 

分配金システムにも要注意 - パフォーマンスを出しづらい理由 -

さらに気になる点として、「グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)」では、年2回決算があり分配金が支払われるという点があります。支払条件を満たしていれば、毎年1月20日と7月20日に決算が行われ分配金が支払われることになります。

 

ただ、この「分配金」というのが実は非常にやっかいです。誰でも、「毎年2回もお金がもらえますよ!」と言われたら嬉しいですよね。"残念ながら"分配金と言うシステムは一般の投資家の方にとっては甘い誘い文句となっているようですが、実際にはとてもおすすめできるシステムではありません。

分配金として現金を支給されることは、一見すると投資家にとってプラス(良いこと)のように思われがちですが、実は投資の機会を失うという大きなデメリットがあります。

 

分配金とは、強制的に部分解約していることと変わりありません。それによって運用の原資(純資産)は減り、いわゆる「複利の効果」も得られません。

運用資金が減るというのはとても不利なことです。分配金というシステムはこの不利な行為を問答無用で実践してしまうので、一見お得に見えますが、実は損失を呼び込んでしまう避けるべき行為なのです。

長期的に資産を形成しようと思ったら、そういった目先の、甘い言葉に騙されないように注意が必要です。

 

まとめ

それでは、グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)についてまとめてみます。

  • ロボティクス分野がこれから成長するハズ!と見込んで投資をしている
  • 収益性が高い優良企業も組み込まれている
  • ただし、組み入れ銘柄の株価は割高となっており急落する可能性も見込まれる
  • 分配金システムはおすすめできない

 

いかがだったでしょうか?

一見すると成長する銘柄のようにも見え、定期的に利益が還元される「旨味たっぷり」の投信にも思ましたが、その裏には割高銘柄を組み入れているリスクや、分配金という制度のデメリットが隠されていました。

このように、パッと見では魅力的に思ても、本質が伴っていない投信は少なくありません。

 

投信に限らず、ヘッジファンドなど、資産運用の方法は数多くあります。

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