資金を預ける先として、最近注目が高まっているファンドにトータスパートナーズ(Tortoise Partners)があります。

トータスパートナーズはいわゆる「ヘッジファンド」と呼ばれるタイプのファンドであり、一般的な投資信託やひふみ投信やセゾンなどに代表されるような公募の投資信託とは異なる特徴があります。

今回は、一般的な投資信託と比較しつつ、トータスパートナーズの特徴やメリット・デメリット等を解説していきたいと思います。

 

投資信託とヘッジファンドの違い

構造的な違い

まず、一般的な「投資信託」と「ヘッジファンド」の構造的な違いから見ていきましょう。

 

投資信託は、皆さんがネット証券会社や銀行などでよく目にする最もポピュラーな投資商品でしょう。

アセットマネジメント会社(運営会社)が投資先を決定して商品として組成し、それを銀行や証券会社(販売会社)を通じて購入することができます。

 

基本的な構造は、上図の通りですが、一般的な投資信託の多くは、直接、株や債券に投資していません。

大元となるファンドを経由して市場に投資しているもの(ファミリーファンド形式)や、複数のファンドに投資することで間接的に市場に投資しているもの(ファンド・オブ・ファンズ形式)など、実態はより複雑になっています。

 

また、投資先の選定に関してもアセットマネジメント会社だけでなく、投資先のアドバイスを行う会社を起用したりと、商品として色々な会社が複雑に絡み合っているのが投資信託の実態です。

 

一方の、私募ファンドは、投資先の選定や「販売(契約)」にいたるまで、そのファンドで完結しています。

 

ヘッジファンドは、「私募」のため自身で募集・契約し、運用も完結するため、他の会社が介入することもなく不必要に複雑になることもありません。

投資信託のように様々な会社を起用しない分、目に見えない間接的なコスト(アセマネ会社の手数料、マザーファンドの手数料、販売会社の手数料、etc.)が掛からないというのが投資家にとってのメリットです。

 

一方、募集(販売)にコストをかけていないため、多くの投資家にとっては認知するのが難しいという難点もあります。「知る人ぞ知る投資先」という立ち位置になりがちです。

     

    投資戦略の違い

    投資信託とヘッジファンドでは、投資における「戦略」にも差が見られます。

    投資信託の運用結果は、アクティブファンドであれインデックスファンドであれ、基本的にはファンドマネージャーの実力ではなく「マーケットの動向」に左右されることになります。

     

    そもそも投資信託とは、「どのような投資戦略でどのような銘柄に投資を行うのか」ということが事前に決められており、それが大きく変わることはありません。

    この投資信託ごとの戦略は『交付目論見書(投資信託説明書)』によって開示されており、詳しく確認することができます。

     

    例えば、最近流行りの「テーマ型投信」を例に見てみましょう。

    テーマは様々ありますが、特定の業界や業種(AI、介護、医療など)や、地域(新興国、アジア、インド、など)など、特定の分野に投資するのがテーマ型投信です。

     

    投資先となる個々の企業は投信ごとに吟味されることになりますが、そもそもその「テーマ(業界や地域)」が伸びるのかどうかは、投資家自身が考えなければならないのです。

    もっと極端なことを言えば、投資信託とは「〇〇な投資をします」とは謳っているものの、「儲かる」とも「資産が増える」とも言ってはいないのです。

    投資信託で運用すると言うことは、結局は自分自身でマーケットを選んでいるのと何も変わりありません。

     

    一方の、ヘッジファンドは、「選んだマーケットがどうか」ではなく、基本となる戦略を元に「利益が出ること」を目的としています。

    もちろん、ヘッジファンドにも、それぞれメインとする戦略やマーケットはありますが、あくまでもファンドごとの運用の特色であり、利益が出なければ何の意味もありません。

     

    同じような戦略やマーケットに投資するファンドであったとしても、運用成績がファンドによって全然違うということはザラです。

    これは、私募ファンドの場合、ファンドマネージャの力量によって、投資先やポートフォリオが大きく異なるためです。またファンドによっては、投資先に株主として積極的に介入し、投資先のバリューを引き上げる活動をする場合もあります。

    ファンドへの投資は、そのファンドマネージャがしっかり「利益を出せる」実力があるかどうかを見極めることが重要なのです。

       

      トータスパートナーズについて

      運用の特徴

      ここからは、ヘッジファンドの中でも最近注目が高まっているトータスパートナーズ(Tortoise Partners)について掘り下げていきたいと思います。

       

      トータスパートナーズの主な投資先は、日本の「未上場企業」です。

      未上場企業の株式は、英語でプライベート・エクイティ(Private Equity)と表記され、このように未上場企業に投資するファンドを「PEファンド」と呼びます。

       

      未上場企業への投資は、上場企業への投資と違い以下のような特徴があります。

      • 株式を市場で買うことができないので、企業と直接交渉し買収の交渉をする必要がある
      • 株式の売却も市場ではできないので、少なくとも一定期間は自社で投資先の企業を経営する
      • 投資先(未上場企業)は、M&A会社等を用いて自社で発掘する必要がある

       

      また、一般に非上場企業(未公開株)に投資するためには、数千万円単位の資金がなければ投資できません。

      このように非上場企業への投資は、「ファンド」としての資金や組織力がなければ実現することはできません。

       

      投資の社会的意義

      トータスパートナーズ(Tortoise Partners)の投資の社会的な意義について考えてみたいと思います。

       

      日本は、いま世界でも有数の「廃業大国」となっており、黒字のまま会社を閉じる優良企業が後を断ちません。

      一昔前までは、会社を閉じるに当たって一番メジャーだった理由が経営が立ち行かなくなる「倒産」だったのですが、今では廃業という形で自ら会社の歴史に幕を閉じるケースがトップになってしまいました。

       

      廃業が増えている理由は、少子高齢化による「後継者の不在」です。

      日本の労働者における人口ピラミッドは、年々いびつになってきており、若い世代の働き手が減少しています。

      それが、中小企業における後継者の不在という形で現れているのです。

       

      こうした優良企業の廃業が進むと、当然ですが、日本の国力(経済力、国際競争力)は削がれていきます。

      中小企業の売上げが消滅することでGDPにネガティブな影響を与え、雇用は喪失し、それぞれの企業が持つ独自の技術やサービスは廃業と共にで失われてしまいます。

       

      トータスパートナーズは、このように廃業してしまう、上場もしていないような中小企業〜零細企業に投資をすることで、日本経済の課題に直接的取り組んでいます。

       

      後継者不在によって廃業の危機に面している優良企業を、投資(買収)という形で存続させることで、失われるはずだった売上、雇用、技術を維持・発展させるようというのです。

      「ファンド」というお金儲けのイメージが強い業種でありながら、世の中に求められていることに答えるビジネスを展開しているというのがトータスパートナーズの最大の魅力でしょう。

       

      社会的に意義のある事業・サービスが結局は強固なビジネスへと発展していきます。

      未上場企業、特に廃業間際の企業への投資は、まさにこういった世のため人のための側面をもつ投資です。

      ビジネスとして見た場合にも、優良な企業の株を魅力的な価格で購入するというモデルなので、もちろんファンドとしてのパフォーマンスにも期待が持てます。

       

      また、トータスパートナーズ(Tortoise Partners)は、投資先に対して付加価値を提供し会社の存続・発展に寄与します。

      外資系投資銀行から独立して自らヘッジファンドを立ち上げた人間がトータスパートナーズのファンドマネージャーを勤めています。

      プロの投資家の判断で、しっかりと投資先を選定し、経営・改善していくというのは、ファンドに預ける投資家にとっても安心感があります。

       

      また、投資先へ働きかける部隊として、大手コンサルや総合商社でエース級だった社員を引き抜いてチームを組成しています。

      上場企業の株式投資に比べ、未上場企業の投資というのはどのようにバリューアップを図るかという点が非常に重要です。

      そういった事業運営に関しても、一線級の人材を取り揃えているというのは同社の強みでしょう。

      社会的意義の高い事業を、能力の高いメンバーが営んでおり、ファンドとしての完成度の高さが伺えます。

       

      運用のリスク

      一方で、トータスパートナーズに出資することには少なからずリスクが存在します。

       

      もっとも大きなリスクは「流動性」でしょう。

      トータスパートナーズは、ファンドとして資金を集め、それを未上場の企業へと投資していきます。未上場企業への投資リターンは、上場企業への投資と違い数年の月日を経て徐々に回収していくものです。

       

      このような投資形態をとる以上、出資額(ファンドの運用資産額)があまりにも激しく増減するとビジネスが成り立たないので、流動性はその他の投資商品と比べて劣るのが一般的です。

      トータスパートナーズの場合には、年に4回、出金および追加出資のタイミングがあるようですが、投資信託のように即日でお金を引き出せない点には注意が必要です。

      長期的な視点で、最低でも数年間は預け入れようというような余裕のある方が、トータスパートナーズへの投資は向いていると言えるでしょう。

       

      まとめ

      ここまで解説してきた投資信託とヘッジファンドの違いや、トータスパートナーズの特徴をまとめると以下のようになります。

      投資信託 ヘッジファンド
      複雑なスキームで関連する企業も多い 自社で全て完結
      ルール(テーマ)に沿って運用することが目的 戦略はファンドごとに様々
      儲かる補償なし 資産を増やすことが目的

       

      トータスパートナーズ(Tortoise Partners)について

      • 未上場企業に投資するPEファンド
      • 投資には社会的意義もある
      • 優秀なメンバーによって組成されたチーム
      • 流動性には注意

       

      ヘッジファンドには、投資信託とは全く異なる特徴と、資産運用における強みがあります。これまであまり詳しくなかった人も柔軟な考えで運用を検討してみてはいかがでしょうか。

       

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