前回の記事で、資産運用の相談相手として、家族も銀行も証券会社も適切ではないことを説明してきました。

 

これらの人たちが適切でないとすると「では、一体誰に相談をすれば良いの?」と思う方もいるかもしれません。

今回は相談先として有力と考えられるいくつかの人達にフォーカスし、そのメリット・デメリットを考えながら比較していきたいと思います。

 

お金に詳しそうな相談相手

保険の担当者

最近は、日系の大手保険会社だけに限らず、外資系の生命保険に加入する人も増えてきています。

いわゆる「生保レディー」のような人たち、バリバリと個人事業主のように働く外資系生命保険の営業マンと接点を持つ人も増え、彼らにお金のことを相談しようと考える人たちも多いようです。

 

彼らの大多数は、成果主義(いわゆる「コミットメントタイプの報酬」)のため、大口の契約を獲得しようと顧客のために尽くし、また金融の知識を身につけようという意識も高く、頼りになるように思えます。

 

保険の担当者に相談するメリットとして、保険以外の金融商品について比較的客観的なアドバイスをもらえるという点が挙げられます。

彼らに繋がりあるファンドや不動産業者などを紹介される可能性もありますが、顧客のためにならないところを紹介すれば、結果的に自分自身が不利益を被ることは彼らも承知しているはずです。

 

よほど悪どい営業マンでもない限り、優良な投資先を紹介してくれるはずなので、彼らに相談してみるのは決して悪くないでしょう。金融業界で働く営業マンたちは、それなりの人脈やコミュニティも有しています。

 

しかし、注意しなければならないのは、あくまでも彼らは「保険の営業」であり、最優先は自社の保険サービスに加入してもらうことです。

当然のことながら、余剰資金の使い道として真っ先に提案を受けることになります。

もちろん、その中で気に入ったものがあれば加入しても良いとは思いますが、生命保険は利回りが低く、長期で運用しても求めるようなリターンが得られないことがほとんどです。

 

ポートフォリオの一つとして保険を組み込むことを否定はしませんが、全体の利回り(パフォーマンス)を考えながらバランスを調整する必要があります。

彼らの営業トークに屈することなく、必要な保険に加入しつつ優良な情報が聞き出せるのであれば、相談してみる価値は十分にあると思います。

 

金融業界の友人・知人

銀行や証券会社に勤めている、いわゆる「金融業界」勤めの友人・知人に相談してみようというケースも少なくないでしょう。

身近にはそういった人がいない、という人もいらっしゃるかとは思いますが、これは非常におすすめできる相談相手の1人です。

 

金融業界に身を置く友人や知人に相談することのメリットは、まず第一に彼らがお金に関する知識を備えており、相談相手として優秀だという点です。

加えて、「営業vs顧客」のような関係にもなければ、特定の金融商品を勧めてくることもなく、できる限りフラットな意見をもらうことができます。

 

特に、アセットマネジメント会社や外資系の投資銀行など、高い能力がないと入社することができないような企業に勤めている友人がおすすめです。

金融の世界は、同じように銀行や証券会社に勤めていても、人によって能力の差が非常に大きいため、できる限りレベルの高い知人に相談できると良いでしょう。

 

ただし、相談するときはかなり踏み込んだことまで話す必要があります。貯金の額や収入など、具体的な金額がわからなければアドバイスのしようもありません。

 

資産運用は、運用資金の額や、貯蓄額、求めるリターンなどによって適した方法が全く異なります。

そのため「なんかおすすめの方法ある?」といったような抽象的な質問では、価値あるアドバイスはもらえないかもしれません。

友人にお金のこと相談するのは気が引けるという人もいるかもしれませんが、ある程度の覚悟は必要になります(自分がどの程度かわからないように、いくつかのパターンを教えてもらっても良いかもしれませんが)。

 

また、あくまでも「金融の世界」できれば「投資に近いところ」で働いている人にアドバイスを求めるべきです。「優秀だから」「知識がありそう」などという理由で、総合商社やコンサルのような他業界の人に相談しても大したアドバイスは得られません。

 

それほどまでに、金融の世界は専門的で奥が深く、外部の人間には知り得ない情報も多いのです。業界外部の人間は、いくら優秀でも素人同然になってしまいます。

誰にでも当てはまる選択肢ではないかもしれませんが、金融業界に精通した友人・知人がいる方は、ある程度腹の中を見せる覚悟を持って相談してみても良いでしょう。

 

お金のプロに相談する

最後に「お金のプロ」に相談することを考えてみましょう。

ここでは相談相手としてのプロである「ファイナンシャルプランナー(FP)」と、運用のプロである「ヘッジファンド」の2つに絞って考えていきたいと思います。

 

ファイナンシャルプランナー(FP)

ファイナンシャルプランナー(Financial Planner, 通称FP)とは、資産運用から保険、貯蓄ににいたるまでお金まわりの相談を一手に引き受けてくれる、まさに「お金に関する相談のプロ」です。

何でも話せる幅広い知識を持っており、相談相手として頼りになります。

 

しかし、ファイナンシャルプランナーの多くは特定の金融機関とコミッション契約をしており、上手く顧客の話を誘導しながら自分の売りたい(契約先の)商品を営業してくるという点に注意しなければいけません。

確かに知識や人脈を有しているかもしれませんが、特定の金融商品にバイアスをかけられてのではたまったものではありません。

 

そういったリスクも排除した、IFA(Independent Financial Planner)というプランナーもいます。

彼らは「Independent(独立)」というその名が示す通り、特定の金融機関とのつながりを持たず、独立して、中立的な立場からアドバイスをしてくれます。

 

IFAは、金融に関する十分な知識があり、なおかつ特定の商品を売りつけようとうバイアスもないため、相談相手としてこれ以上ない存在にも思えますが、相応の手数料(相談料)が必要になることは覚えておきましょう。

 

ヘッジファンド(ファンドマネージャ)

ヘッジファンドは、投資・資産運用の専門機関であり、そのトップであるファンドマネージャをはじめ、ファンドに属する人間はみな金融業界のトップを走るエリート集団です。

 

ファンドは、あくまでも投資家の資産を預かり、それを運用して利益を得ていく組織のため会話をすれば必ず出資の話に展開することが予想されます。

ただし、彼らは「顧客のために〜」などという甘い仮面を着けることもなく、正面からファンドの魅力と運用のクオリティについて説明してくれることでしょう。

 

投資の専門家である彼らの考えや意見を取り入れることで、自分自身の運用計画や資産運用に対する考え方などを測る試金石としてもよいかもしれません。

こちらの質問に答えてくれるような相談相手としてではなく、先生やお手本として話を聞いてみる価値は大いにあるでしょう。

 

また、仮にそのファンドに魅力を感じ出資することになった場合、今度は投資家(出資者)としてファンドの恩恵を受けることができます。

彼らは投資家の資金を守り、育てる(増やす)存在であり、出資者を決して蔑ろにはしません。そのときは、最善の相談相手として、最も頼りになる存在となるでしょう。

 

まとめ

お金のことを相談するのは決して簡単ではありません。

前回の記事でも触れたように、安易に身近な存在にアドバイスを求めると痛い目を見ることになります。また、頼りになる友人や知人にも、あまり話したくないような懐事情もあるでしょう。

 

そんなときやはり最も頼りになるのは「お金のプロ」たちです。

ここで注意しなければならないのは「金貸しのプロ」である銀行や、「金融商品の販売のプロ」である証券会社などではなく、「相談のプロ」であるIFAや、「運用のプロ」であるファンドに相談することが重要だという点です。

 

決して簡単な話ではありませんが、資産運用についてしっかりと学び・考えるためにも、是非様々な方法を検討してみてください。

▼おすすめファンドランキングはこちら▼

おすすめの記事