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ファンドとは
投資・運用をしていると必ず触れるものに「ファンド」があります。
ファンドとは、複数の投資家から集めた資金で運用し、投資で得られたリターンから報酬を得つつ、出資者(投資家)に利益を還元する「基金」のことです。
元々は、アメリカンの富裕層などが、一部の優秀なトレーダー(プロ投資家)に資産を預けて運用を依頼していたことに由来しますが、この仕組みが一般にも広まり、様々な形のファンドが生まれました。
元来のファンドである「ヘッジファンド」はもちろん、日本においては「投資信託」も「ファンド」や「投資ファンド」などと呼ばれることがあります。
いずれのファンドも「(複数の)投資家から資金を集めて運用する」点は同じですが、それぞれにルールが異なり、募集の仕方や運用の仕組みが異なります。
あるタイプのファンドでは必要な認可も、別の形態のファンドでは不要なことがありますが、それらを一括りにして「違法だ!無許可だ!」と騒ぎ立てる人たちがいるようです。
そこで今回は、様々なファンドに関わる認可や登録の仕組みについて調べていきたいと思います。
少し小難しい話になるので、全てを理解する必要はありませんが、「こんなものがあるのか〜」程度に心に留めておいてもらえたらと思います。
様々なファンドごとの募集スキーム
投資信託の場合
証券会社を通じて売買(取引)されている一般的な投資信託の多くは「委託者指図型投資信託」に分類されます。
これは、投資によって利益(or損失)を受ける「受益者(投資家)」から預かった資産を、信託銀行(受託者)が管理し、運用会社(委託者)の指示によって運用する形態です。
このスキームの場合、「投資信託」という証券を売買するために「第一種金融商品取引業」として登録する必要があり、また実際に集めた資金を運用するためには「投資運用業」として登録する必要があります。
このように、一般的な投資信託を組成、販売するためには金融庁への登録が必要になるのです。
自己募集の場合
一般的な投資信託は、運用会社や信託銀行とは異なる、第三者の「証券会社」が有価証券(投資信託)を売買するため「第一種金融商品取引業」の登録が必要になりますが、自己募集の場合には「第二種金融商品取引業」での登録が必要です。
(プロ)ファンドの場合
一般的な投資信託とは異なる方法で投資家に募集をかけているファンドもあります。
その中で代表的なものの一つが「適格機関投資家等特例業務」です。
これはいわゆる「プロの投資家」である、適格機関投資家を相手に募集する場合は、登録する義務がなく、届出のみで済むというものです。
ここでの「プロの投資家(適格機関投資家)」をもう少し丁寧に説明すると、関東財務局のHPでは「投資判断能力を有すると見込まれる一定の者」と説明されており、いわゆる金融業を営む法人や、ファンドの運用者、外国法人、1億円以上の金融資産を1年以上保有している個人などがこれに該当するとされています。
要するに、しっかりと自分自身の頭まで判断できる人たちだけを相手にするのであれば、面倒な登録をしなくてもよくなっているのです。
その他の投資スキーム
上記で説明したもの以外にも、ファンドごとに様々なスキームで資金を調達しており、それぞれによって登録の必要性が異なります。
投資事業有限責任組合、匿名組合、合同会社社員持分など、様々な方法(スキーム)があり、それぞれによって必要な登録や免許、認可は異なるので注意してください。
特に「ファンド」という言葉に引っ張られてしまい「ファンド=投信=第一種が必要」などと考えていると、不用意に「違法だ!」などと声を上げてしまう人がいるようですが、一概にそうとは言えません。
スキームによっては、登録が不要なものや、別の形で登録していることもあるので、それぞれ確認するようにしましょう。
気になる場合は専門家に確認を
このように、募集のスキームやそこで必要な登録・認可はファンドごとに様々です。
募集の金額や、地域、人数などによっても制限される内容は異なり、ここで全てを説明することはできません。
そのため「(特定の免許で)金融庁への登録がない」からといって、一概に違法だと決めつけてしまうのは早計と言わざるを得ません。
それぞれのファンドのスキームや登録が適法がどうかを判断するのは、素人には難しいものがあります。
興味があるファンドのスキームがどうしても気になる場合は、まずはファンドの人に詳しく確認し、それでも不安な場合は弁護士などの専門家に相談してみるのもよいでしょう。
※あくまでも個人的な見解ですが、一般に知られているファンドで違法なスキームで募集しているものはほとんどないと思います。もしあれば、すぐに摘発されて金融庁などから適切な処分が下されているはずです
さいごに - 絶対に見落としてはいけないポイント -
今回は、募集のスキーム(仕組み)や、そこで必要になる認可・登録などについて解説してきましたが、仮にこれら全てに問題がなかったとしても、詐欺を働くファンドは存在します。
むしろ、怪しいファンドこそ、体裁を取り繕い、見栄えの良いHPを作成し、立派なオフィスを構えていたりするものです。彼らは、カモとなる人々を騙すためにできるありとあらゆる策を講じてきます。
投資詐欺の手口として名高い「ポンジ・スキーム」も、違法な募集手段であれば、募集以前に適切に処置されていただろうと思います。
パッと見の良さには、むしろ十分に注意するようにしましょう。
重要なのは、そのファンドがきちんと運用し、投資家(出資者)に利益を還元しているかどうかです。
もちろん、詐欺ではなかったとしても運用でリターンが出るかどうかはファンドの実力に左右されます。
きちんと登録して、証券会社で販売されている投資信託も、登録があるからといって利益が還元されるとは限りません。むしろ、投資信託の大部分からはろくなリターンが得られません。
ここまで言ってしまうと「やはり投資はロクなもんじゃない」と考えてしまう人もいるかもしれませんが、世の中にはきちんと(適法)で募集・運用し、成果(パフォーマンス)を上げて、投資家に大きなリターンを還元している優秀なファンドも数多くあります。
ぜひ様々なファンドを比較して、優良なファンドを見つけだしてください。