資産運用を考える人が増えてきていますが、運用する金額によって適切な方法が何かを考えなければいけません。
今回は「1,000万円」という金額を運用しようと考えたときに、どんな方法が適しているのか、代表的な
- 投資信託
- 不動産投資(REIT)
- ヘッジファンド
という選択肢を比較しながら、2019年の相場の中でのおすすめを考えていきたいと思います。
目次
投資信託の見通し2019
投資信託の特徴
投資信託には様々な種類があり、一概に、「今年は投資信託は儲かる!」だとか「今年は投資信託は危険!」というような言い方は出来ません。
しかし、投資信託(一般的な株式投資の投資信託)には、それがインデックス型であれアクティブ型であれ、とある共通の特徴があります。
それは、マクロ経済の動向と強い相関を持つということです。
皆さんが普段目にするような人気の投資信託は、数百〜数千億円という資産を集めて運用するため、日本やアメリカの「大企業」に投資することになります。
運用する金額が増えれば増えるほど、時価総額の大きな企業に大きな金額を投じる傾向が強くなるのは自然なことです。
ですが、この「大企業」の株価は、それがどんな業態でどんな業績であろうと、世界的な株価の上下(マクロ経済の動向)に影響を受けてしまいます。
そのため、簡単に言ってしまうと、世界的な恐慌の際には、ほぼ全ての投資信託が大きく値下がりすることになります。投信というのは景気と非常に強い関係があるのです。
では、景気は今後どのように推移するのでしょうか?次に世界経済の状態を確認してみましょう。
日経平均の推移と景気の動向
世界の経済情勢、つまり景気が今後どのような動きをするかを考えていきます。
まず初めに、日経平均(円建て)の推移から確認します。
日経平均を過去30年ほどを遡ってみると、2009年頃から株価は右肩上がりに上昇していることがわかります。
好景気を実感している人は少ないかもしれませんが、株式市場だけを見ると、実はここ10年弱は空前絶後の好景気なのです。
ですが、このような好景気に後には、景気の大きなより戻しがあることは確実です。
過去を振り返ってみても、日経平均は「ジワジワと上がって、一度ストンと一気に下がる」というのを繰り返しています。
その「ストンと一気に下がる」のが2019年なのか、翌年以降になるのかを考えるのはまた難しい問題ですが、マクロ経済は今、不安定な状態にあるのです。
次に、米国株の動向を見てみましょう。S&P 500の動向は以下の通りです。
こちらも、日経平均以上に好景気が続いていることが確認できます。アメリカ経済も、いつ大きく価格が下がってもおかしくない状態なのです。
投資信託の見通し
プロ投資家の間では、日本の株式市場もアメリカの株式市場も、「行き過ぎた過熱感がある」というのが共通の認識になりつつあります。
日本に関して言えば、2020年に東京オリンピックも控えているため、この「お祭りムード」はもうしばらく続くのかもしれませんが、いつ暴落してもおかしくない状態です。
そして、この「大きな価格の下落(暴落)」は、何かしらの偶発的なトリガーによることが多いため、そのタイミングを見極めるのは困難を極めます。
ある出来事をきっかけに一気に暴落する危険を孕んではいるものの、それが"ナニ"になるのかは誰もわからないのです。
ある企業の不祥事かもしれませんし、某大統領の発言かもしれません。政治家の失言の可能性もあれば、国際情勢や地球レベルの気候問題の可能性もあります。
投資信託は、先述の通り、景気動向の影響を大きく受けるため、経済が不安定になる2019年現在においては、同様に暴落するリスクを孕んだ金融商品ということになります。
つまり投資信託の見通しを一言で言うなら、「2019年に始めるのは危険」と言えるでしょう。
不動産の見通し2019
さて、不動産市場はどうでしょうか。
オリンピック開催に伴い不動産需要が高まった影響で「2020年までは上げ相場」ということが巷では定説となっているようです。
では、2019年に不動産を購入するというのは正解なのでしょうか?
まずは、2018年の一年間、不動産市場がどのように動いたのかを確認します。
都内の新築・中古マンションの平均価格
不動産の動向を知る上では、「都内のマンション価格」が参考になります。
良くも悪くも全体の影響が最も反映されるのが、都内のマンション価格なのです。
2018年を振り返ると、新築マンションの平均販売価格は「5,860万円」となっており、前年と比較してほぼ横ばいを維持しています。
一方、2018年の中古マンションの販売価格は、前年比 5%ほど上がっています。
2018年以前まで遡って調べてみると、2018年"までは"新築マンションの価格もじわじわ上がっていたことを考えると、都内の新築マンションの価格は高止まりし、それに伴って中古マンションの購入を検討する客層が増えているということが分かります。
全国の貸家(かしや)の着工件数
もう一つ、不動産投資市場の動向を把握する際に参考になるのが「貸家の着工件数」です。
国土交通省の調べによれば、前年比 5.3%のマイナスとなっています。
- 参考:新築に関する住宅投資予定額の推計について http://www.mlit.go.jp/common/001263383.pdf
貸家とは、つまり「投資用不動産」のことであり、この件数が減少しているので、足元のトレンドは、イケイケドンドンで不動産投資が行われているわけではない、ということが分かります。
不動産投資の見通し
不動産投資の場合、株式市場や投資信託と比べて、トレンド以上に物件ごとの差が大きくなるという大前提がありますが、全体で見ると多くの人が考えているほどの上昇トレンドではないと言えるでしょう。
2020年の東京オリンピックを控えての「オリンピック特需」すでに加味されての現状ですから、ここから5年10年と見据えた場合に、魅力的な投資という考え方をするのは難しそうです。
ヘッジファンドの見通し2019
ヘッジファンドの特徴
投資信託や不動産投資に比べて、「ヘッジファンド」はあまり聞き慣れないかもしれません。
どのような特徴があるか、簡単にまとめると以下のようになります。
- 絶対収益追求型の投資戦略
- 成果報酬制度の採用
- 金融のプロによる運用
1つ目の「絶対収益追求型」というのは、景気の動向や、特定の市場の動向と関係無く、どのようなトレンドにおいても収益を出すことを目指して運用がなされるということです。
そもそもヘッジファンドというのは、「富裕層の資産を世界的な恐慌から守る」ということを目的として発足した背景があり、現在でも、大きなダウントレンドでも収益を上げることを目指すという姿勢は変わっていません。
2つ目の「成果報酬」というのは、この絶対収益と関連のあるヘッジファンドならではのシステムです。
一般的に、資産運用は運用すること自体にコストがかかります。投資信託は、運用の成果に関わらず信託報酬を支払いますし、不動産投資には管理費用が求められます。
しかし、成果報酬というのは、運用で得られた「成果(利益)」に対して課されるものです。
運用によって利益が得られた場合はその一部をファンドに支払いますが、利益が出ない場合は求められません。最低限のコストは別にしても、運用にかかる手数料としてはこちらが正当な形と言えるかもしれません。
3つ目は、運用の責任を持つファンドマネージャが「投資のプロ」であるという点です。
投資信託などの場合、結局はアセットマネジメント会社で働くサラリーマンが運用しているにすぎませんが、ヘッジファンドのファンドマネージャは運用の成果によって"食っている"正真正銘のプロフェッショナルが運用します。
給料をもらっている人間と、投資の成果によって生計を立てている人間のどちらが信頼できるかは考えるまでもありません。
ヘッジファンド投資の見通し
マーケットが下がっていても、収益を上げる(ことを目指す)というヘッジファンドの特徴は、現在の不安定な市況に非常にマッチしたものとなります。
これまでにも、リーマンショックのような世界恐慌の際には、多くの個人投資家が資産を減らしました(大損しました)が、一方でヘッジファンドへ投資していた一部の富裕層というのは全くの無傷で乗り切っているパターンが多々あります。
それが2019年なのか2020年なのか2021年なのかは分かりませんが、来たる“下げ局面”に備えるという意味では、ヘッジファンドは、とてもおすすめできる投資先です。
さいごに
「この投資をすれば絶対に儲かる」という方法はありませんが、やはり、株式市場にしろ不動産市場にしろ過熱感がある以上、これから投資を始めるのであれば、大きな下げ局面に備えた投資を実践すべきでしょう。
投資信託、不動産のリスクが高まっている中で、それら景気との連動が避けられない商品ではなく、絶対収益を追求し、市場と違う値動きをするヘッジファンドには、資産を大きく投下してみる価値があると言えるでしょう。
ただし、一口にヘッジファンドと言っても、その種類は様々です。初心者でも始めやすいおすすめファンドを以下のページで紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。