ヘッジファンドは、資産運用の専門機関として注目度の高いサービスです。

年金問題や「老後資金2,000万円問題」などを筆頭に、個人でも資産運用の重要性が高まってきている中、自分で直接株や投資信託などを買って運用するだけでなく、ファンドのようなサービスを活用する方法も今後ますます加熱していくことが予想されます。

 

従来のヘッジファンドというと、富裕層を中心に億単位の資産の運用を任せる「超ハイエンド層向け」のものでしたが、投資/運用が一般化する中で、一般の投資家にも裾野を広げたサービスが増えてきています。

とはいえ、投資信託のように「1,000円〜誰でも!」といったものではなく、1,000万円単位での出資になることが多いですが、ある程度の収入・貯蓄のある方であれば、十分検討の余地があるはずです。

 

ファンドだけに限らず、セミナーなどに参加して知識を身につけ、自分自身の力で運用をしたい・ファンドの手法をマネたいと考える投資家の方もいらっしゃるかもしれません。

 

確かに、運用のプロであるファンドの手法は参考になる部分も多く、勉強するに越したことはありませんが、一方で、「ヘッジファンド」とには、プロ組織ならではの決してマネできない強みがあります。

ここでは、ヘッジファンドが高い評価を得るポイントをいくつかご紹介いたします。

 

ヘッジファンドのマネできないポイント

組織力がある - 様々な分野の精鋭が集まっている -

ヘッジファンドは、会社・組織であり、ファンドマネージャを筆頭に複数の人間によって運営されていることがほとんどです。

運用の最高意思決定者であるファンドマネージャはもちろんですが、他のメンバーも「粒ぞろい」の」精鋭であることが容易に想像できます。

 

あるファンドを一例に考えても、そのバックグラウンドは様々であり、様々な専門性が総合的に集まって投資成果を最大化できるのがヘッジファンド最大の強みかもしれません。

例えば、

  • 投資銀行出身者 >>> 金融のプロであり、証券取引や財務への理解に長けている
  • 総合商社出身者 >>> 事業のプロであり、外部環境の分析や将来の展望の見極めに長けている
  • コンサル出身者 >>> 経営のプロであり、企業の内部評価や課題の発見・解決に長けている

というメンバーが揃っているヘッジファンドに、一個人が対抗するのは決して簡単ではないでしょう。

必要に応じて、様々なプロフェッショナルがそれぞれの専門性を最大限に発揮できる組織力がヘッジファンドには備わっています。

 

そして、もう一つ大事な点が、ヘッジファンドでは複数の人間がそれぞれ仕事をしているということです。

当たり前のことかもしれませんが、1人より2人、2人より3人の方が、使える時間も増えますし、できる仕事の量も増えます。

組織 vs 個人で考えたときに、専門性などを無視したとしても対抗するのは簡単ではありません。

 

資金力がある - 大株主になれる -

ヘッジファンドは複数の投資家から資金を集めてまとめて運用します。ファンドの規模にもよりますが、純資産(運用の規模)が数十億〜数百億円であることも決して珍しくはありません。

個人投資家で、この規模の資金を運用している人はほぼいないでしょう。

 

ヘッジファンドは、この莫大な資金力を活かし、個人投資家には決してマネできないような買い付けをすることもできます。

例えば、時価総額20億円の中小企業の場合、1億円あれば全体の5%を取得することができます。2億円を投じれば10%です。

 

『大量保有報告書』を出すことになりますが、すなわち企業から見て大株主になりうるということです。大株主になれば株式総会での発言権も大きくなりますし、実際に大きな議決権を持つことにもなります。

発言権が増えれば、会社の経営に対して意見や考えをぶつけることもできますし、投資家の利益になるように働きかけたりと、会社に対して存在感を示すことができます。

 

会社は株主のものです。

ヘッジファンドは「株を買って終わり(上がるのを待つだけ)」ということはなく、その権利を駆使して様々な活動をすることができます。

 

これは個人投資家にはマネできないでしょう。仮に1億円を運用していたとしても、1つの企業に1億円全てを費やすことはないと思います。大きな資金を活かして、株を売買する以上の影響力を持つというのは、数十億円規模の資金力があるファンドならではの魅力でしょう。

 

情報収集力がある - ネットワークが広い -

ヘッジファンドは、運用の手法や資金力、またアクティビストとしての存在感も含めて、業界界隈では注目を集めやすい傾向があります。

そのため、同業の金融機関や投資対象となる企業との繋がりも深くなる傾向があり、独自のネットワーク(情報網)を構築できます。

 

それは何も国内に限ったことではありません。

海外の投資家や、現地の起業家、経営者など、様々な分野の人たちとネットワークを持つファンドは、海外に拠点を構え、現地の企業に投資することもあります。

 

それによって、ヘッジファンドは一般に広まる前の情報を拾うことができたり、個人レベルではなかなか知れないような組織の内情まで理解できたりと、情報の速さ・広さ・深さが段違いです。

 

交渉力がある - 非上場企業に投資できる -

一般投資家の場合、証券会社で取引できる株や投資信託での運用がほとんどでしょう。つまり、上場している株式にしか投資することができません。

 

一方で、ヘッジファンドはその「資金力」や「ネットワーク」を活かして、非上場企業(未公開株)に投資することもできます(もちろん上場株でも運用しますが)。

 

株主である企業の経営者や創業者、オーナーと相対で取引しなければなりません。未公開株は、上場株のように市場で取引できるわけではないのです。

非上場株の取引の場合、そのほとんどが一括(全株)譲渡であり、数千万円〜数億円を要することが一般的です。

そもそも個人投資家ではそういった話を耳にすることすらほとんどないでしょうし、仮に耳にしたとしても取り合ってもらえないことがほとんどです。

 

日本の上場企業は3,500社以上もあり莫大ですが、非上場企業も含めるとその数は200万社以上にもなります。つまり99.8%は未公開株であり、投資の幅(選択肢)は500倍も広がるのです。

もちろん未公開株にも良し悪しはありますが、当然優良企業も数多く存在します。投資の選択肢を広げられるのは、ヘッジファンドならではです。

 

多様性がある - 裁判ができる -

裁判というのは一つの例にすぎませんが、ヘッジファンドはその資金力を活かした交渉力(大株主としての権利)や専門性を駆使して、投資先の企業と対等にやり合うことができます。

また、ネットワークを駆使して、大株主たちと一丸となって戦うこともあります。

 

個人投資家であれば、「投資=上場株の売買」にすぎませんが、ヘッジファンドにとっては、上場株はもちろん非上場企業への投資も選択肢の一つになる上に、単に株の売買をするだけでなく、投資先に働きかけ、ときには、法的手続きをとって、交渉することも投資活動に含まれます。

 

あるファンド「X」の例ですが、投資していた企業「A」の株が、親会社によって全株取得(非公開化)されるといったケースがありました。当時の株価が1,000円だったところを、1,050円で全て買い取るというものです。

そのファンドXの買い付け時点の価格は800円であり十分に利益が出る取引でしたが、そもそもファンドはその会社(株価)の価値を1,200円と見積もっていました。

 

そこで、親会社の買付が不当に安いと判断したそのファンドは、買取価格が不当だとして裁判所に異議申し立てをしたのです。他の株主と協力して、裁判所の判断を仰ぎ、最終的には、公正な第三者の判断をもって、最終的に買取価格は1,150円が適正であるとして判決が下っています。

結果、200円の利益を350円の1.7倍にまで伸ばすことに成功しています。

※金額はわかりやすように一部着色しています。

 

「裁判」などと言うと、少し野蛮に聞こえるかもしれませんが、このケースは、株主として適正な評価を求めたものにすぎません。大株主としての権利を行使し、結果として他の投資家の利益を守ることにも繋がっています。

裁判だけに限らず、ファンドにはできることが数多くあります。それによって投資家の利益を守り、確かなリターンを得ることができます。

 

金融市場の特異性

ここまでファンドならではの特徴・強みを見てきました。

  • 高い専門性を有する組織
  • 投資先や市場にまで影響を与える資金力
  • 業界に精通する情報網
  • 優位に取引を進める交渉力
  • その他、様々な事柄に対応できる多様性と専門性

 

ヘッジファンドが優れていることは当然として、ここで一つ立ち返って考えなければならないのは、どんな投資家も、このような専門組織と対等に勝負しなければならないのが株式市場だという点です。

個人も組織も、初心者から熟練者までが、まったく同じ条件で、同じフィールドで戦わなければならないのが、株式投資なのです。

 

株式投資で利益を得るためには「今後値上がりする株式を見出し、安く買って値上がりするのを待ち、高く売る」のが大原則です。

つまり、「将来の収益が期待できる企業」「会社の価値が株価に反映されていない企業」を他の投資家よりも早く発見しなければなりません。もちろん、様々な角度から分析・評価して、その見積もりを誤ってもいけません。

 

この「真っ向勝負」が求められるのが株式市場であり、その中で長い間優位に戦いを進めてきた(利益を得てきた)のがヘッジファンドなのです。

もし個人で投資を考えているのであれば、ヘッジファンドの強さを念頭に置いた上で、そんなファンドと戦って勝たなければいけないということも肝に銘じておきましょう。

 

優れた投資が記録するファンドのハイパフォーマンス

このように様々な"強み"を持つヘッジファンドは、実際に高いリターンを記録しています。

近年のパフォーマンスを見ると、10年で約2倍となっており、年7~8%のリターンを得ています。

出展:日銀レビュー 最近のプライベート・エクイティ・ファンドの増勢について(2018年4月)
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2018/data/rev18j01.pdf

 

年7~8%ではそこまで高い数字には思えないかもしれませんが、これだけのリターンを長期間安定して記録しているのは凄まじいことです。

また、これは手数料を控除した数字です。実際のパフォーマンスはもっと高く10~15%はあると考えられます。このリターンが記録できるのはヘッジファンドの組織力や専門性、資金力、ネットワークなどがあるからこそです。

 

もう少しグラフを分析してみると、リーマンショックのあった2009年を含めてマイナスになることがほぼなく、ボラティリティ(変動幅)も小さく安定したリターンを残していることも読み取れます。

市況に左右されず着実なパフォーマンスを出せるヘッジファンドは投資家にとって非常に魅力的です。

 

ヘッジファンドで運用するには

このように安定して高いリターンが期待できるヘッジファンドですが、「私募」のものが一般であり銀行や証券会社で募集しているわけではありません。

紹介や口コミが主な募集経路であり、直接の繋がり(コネクション)がない場合、ファンドのホームページなどから問い合わせることで出資に応じてくれる場合もあります。

 

紹介や口コミが主な募集経路となっているため、ファンド一つ一つの知名度もあまり高くもなりません。そのため耳馴染みがなく、どんなファンドで運用したら良いのかわからないという人も少なくないでしょう。

個人投資家でも比較的出資しやすい、最低出資金(購入単位)の小さなファンドや、低リスクで安定した運用をするファンドなど、おすすめできるファンドをランキングページで紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

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